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#さい帯血 #実際のお声

お姉ちゃんのさい帯血を投与した男の子の体験談

はじめに

脳性まひは、胎内あるいは周産期に生じた脳損傷に起因する運動障害で、近年さい帯血を投与することによる運動機能や知的発達の改善の可能性が報告されています。

今回は、当社で保管したごきょうだいのさい帯血を用いて、高知大学の臨床研究へ参加された男の子のお母さまのお声をご紹介します。

 

基本情報

妊娠31週、出生体重1483gにて出生。

アプガースコアは1分 2点、 5分 7点。

 

経緯

私は産婦人科で看護師として働いていた頃に、1人目となる長女を妊娠しました。その際に初めて「さい帯血保管」を知り、費用は掛かるけれど、その子のお守りとしてとっておけることに魅力を感じて保管を決意しました。同じく2人目の次女の出産時もさい帯血を保管しました。

3人目となる長男にも、もちろん保管しようと思っていましたが、妊娠31週に早産で生まれ、残念ながら採取ができませんでした。産声をあげてくれたものの、夜間に呼吸状態が悪くなり、NICUで人工呼吸の管理が必要でした。そして生後2ヵ月頃に、「脳性まひ」と診断されました。医師から「おそらく寝たきりで、足が地面につくことはないでしょう。」と言われたのを覚えています。

しばらくして、さい帯血を採取できなかったことをステムセル研究所へ連絡した際に、ちょうど脳性まひに対して自身のさい帯血をを投与する臨床研究が高知大学で始まったことを教えていただきました。また今後、きょうだいのさい帯血での臨床研究も行われる可能性があることを知りましたが、当時はそんなことを考えている余裕もなく、すっかり忘れていました。

そんなある日、息子が幼稚園のときにステムセル研究所から、高知大学できょうだい間投与の臨床研究が始まったと連絡をいただきました。

しかし、すぐに臨床研究へ参加する決断はできませんでした。「長女と次女のさい帯血は、その子たちが将来もしもの時に使用するかもしれない」「臨床研究で効果がなかった場合に、使用したことを後悔してしまうのでは」と色々な思いが巡り、悩んでは涙しました。

ステムセル研究所の担当者からは、「まずは直接先生へ相談してみては?」と背中を押していただきました。そこで、高知大学の藤枝先生へご相談をし、「さい帯血の型が合わないと臨床研究へ参加ができないので、まずは型が合うか検査をし、その結果で最終的に判断してはどうか。」とアドバイスをいただき、検査をすることにしました。すると、長女のさい帯血は一致、次女のさい帯血は不一致でした。さい帯血の型が一致するかしないかは運命なので、これはもう投与するしかない、と臨床研究への参加を決めました。

 

臨床研究への参加

息子の変化は投与した日の夜から感じました。

舌が筋緊張しているため硬く、歯磨きはいつも内側がうまく磨けないのですが、なんと舌が柔らかくなりスムーズに歯磨きができたのです!そんなに即効性があるの?と疑ったほどでした。

また舌の筋緊張のため滑舌も良くなく、これまではアレクサに正しく音声を認識してもらえませんでした。しかし入院期間の3週間で滑舌が改善し、アレクサと会話ができるようになったのです。

さらに、手の動きがスムーズになったことで、文字を書いたり、箸を使えるようになりました。

投与から約3週間後、お箸が持てるようになりました!

 

投与前の全身の状態については、小さいころからリハビリを開始して「P.C.W.ウォーカー」という4輪の歩行器で、前輪を固定した状態でゆっくりと歩ける状態でした。

しかし投与後、入院中の短い期間で、前輪の固定を外した状態で歩けるまでになりました。入院前後の足の状態の写真を撮影したのですが、使える筋肉が増えて太さが全然違うのです!体幹がしっかりした感覚があります。

(左)投与前の両脚 (右)投与から約3週間後の両脚

 

以前はリハビリの先生から「中学校1年生に頃までに杖で歩行するのを目標に」と言われていました。現在、投与から3年が経ちますが、小学校2年生で既に杖歩行ができ、今では杖を使わずに1分間歩けるまでになりました。車椅子にはほとんど乗らくなりました。想像以上の成長に驚いています。

 

息子自身も「高知大学でのリハビリは大変だったけど頑張った」とよく振り返っていて、達成感を積み上げて、それが力になっていると感じます。入浴やトイレなども自分でできるようになって、彼自身が自分に自信を持てるようになったと思います。

小学校の運動会にて。さい帯血の投与後、できることが増えました。

 

自分でできる事が増えた分、上手くいかなかった時に「悔しい」という感情も、彼の中に芽生えてきて、その心の成長をとても嬉しく感じます。

また、お姉ちゃん達にも変化がありました。当初は障がいのある弟に対して、腫れ物に触るような雰囲気がありましたが、息子が生活の中で出来ることが増えるにつれて、障がいを感じなくなっていったように思います。今ではお姉ちゃん達と息子で、本気のケンカもするんですよ(笑)。普通のきょうだいになれたな、と微笑ましいひとときです。

退院前、高知大学の先生へ書いたお手紙。投与前は筆圧がなく、ミミズのような字を書いてましたが、しっかりとした筆圧で書けるようになりました。

 

さい帯・さい帯血保管を悩まれている方へ

さい帯・さい帯血保管は「我が子への最初のプレゼント」という言葉を聞きますが、今となっては「本当にそうだな。」と実感しています。もちろん妊娠中はおなかの赤ちゃんのことで頭がいっぱいですし、費用もかかりますが、かけがえのない一生のプレゼントになると思います。

私は息子が脳性まひになったことがきっかけで、現在、小児専門の訪問看護ステーションの立ち上げに携わり、管理者として運営しています。利用者さんに息子のことをお話しすると、「妊娠中に知っていればよかった」「知っていれば保管したのに」とおっしゃるお母さんばかりです。ぜひ出産のときだけにできるさい帯・さい帯血保管を考えてみていただきたいです。

 

 

この記事は保管者様のご同意を得た上で掲載しております。

記事内容については個人の感想であり、効果を保証するものではありません。