医師からのメッセージ

再生医療の分野などから、世界的にも大きな関心が寄せられているさい帯・さい帯血。
その可能性について、医師の方々からのメッセージをご紹介します。

赤ちゃんの未来を見据えて

九州大学病院 産科婦人科 教授
加藤聖子 先生

さい帯血は赤ちゃんがお母さんの子宮にいる間、栄養や酸素などの物質を交換する大切なもので、この中にはいろいろな臓器を作り出す能力を持つ細胞(幹細胞といいます)が含まれていることが報告されています。もし、生まれた後、赤ちゃんに病気が起こった場合、その部分を補ってくれるかもしれません。
まだまだデータは必要ですが、赤ちゃんの未来を見据えてさい帯血を保存することが役に立つ可能性があります。もし、ご興味がある方は担当の先生に相談されてみてください。

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による
再生医療

総合母子保健センター愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さらに高まる、
さい帯血バンクの重要性

慶應義塾大学医学部
産婦人科学教室 教授
田中 守 先生

近年の間葉系幹細胞投与による治療は、対象を脳性まひ、自閉症、心奇形とした臨床試験が世界的に行われるようになってきており、数多くの幹細胞治療研究の中で、もっとも早期に実現可能な分野として大きな期待が寄せられている分野です。
とくに出産したときに、胎盤や羊水と一緒に通常は廃棄されてしまうさい帯やさい帯血を処理して保管するバンキングについては、将来的に、現在治療法が見つかっていない種々の治療に使用できる可能性を秘めており、かけがえのない治療のリソースとして注目を浴びてきています。
もともとお母さんのお腹の中にいる胎児は、母体にとって異物であるにもかかわらず排除されないという、免疫学的寛容状態にあります。すなわち、胎児由来の細胞は、他家移植した場合も拒絶反応がおきにくいという特徴があります。したがって、さい帯・さい帯血バンクで保存されている幹細胞も提供した本人だけでなく、ご家族の皆様の病気に関しても治療に使用できる可能性が指摘されています。
今後、さい帯やさい帯血幹細胞の治療対象が増え、対象患者も拡大して行くことが予想されていますので、さい帯・さい帯血バンクの重要性はさらに高まるものと期待されています。

効果を発揮する
さい帯・さい帯血の幹細胞

淀川キリスト教病院
統括副院長 小児科主任部長
鍋谷まこと 先生

さい帯あるいはさい帯血には、間葉系幹細胞、造血幹細胞、血管内皮前駆細胞など様々な幹細胞成分が含まれています。それらの幹細胞成分は、米国ではDuke大学のグループを中心に、新生児の低酸素性虚血性脳症や、脳性まひや自閉症の治療に用いられて効果を上げています。
日本でも大阪公立大学発達小児科の濱崎考史教授のグループが、小児の自閉症に対する再生医療の研究に取り組んでいますが、その研究推進のためにもステムセル研究所のさらなる継続・発展を期待しております。

赤ちゃんへの初めてのプレゼント、
未来への安心のために

身原病院 産婦人科医
身原香子先生

当院は京都にある産婦人科病院ですが、10年ほど前からステムセル研究所様のさい帯血採取を委託で行わせていただいています。白血病などの治療に用いる公的さい帯血バンクと違い、あくまで自分の赤ちゃんのために使用する目的で採取します。胎盤とさい帯血は分娩が終了すると不要なものと思われがちですがさい帯には細胞の元になる幹細胞が豊富に含まれていて、将来赤ちゃんに予測できない脳の病気(脳性まひ、虚血性脳症、自閉症など)の治療のときにこれ以上にない効果があると言われています。
また生まれて数分の間にしか採取できないとても貴重な唯一無二のものです。万一に備えて赤ちゃんへ贈る初めてのプレゼントと考えてもいいかなと思っています。
当院は母親クラスなどで案内することで患者様にステムセル研究所様の有用性を知っていただき、徐々に認知され希望される方も増加してきました。
さい帯とさい帯血保管を行うことにより、いつか子供やその兄弟の将来に役立つ可能性があるかもしれないという安心を得ることができます。また、子供が大きくなって使用することがほぼない場合はそれを自身の治療にも使うことが可能と聞き、まだまだ再生医療での色々な臨床応用が研究されている分野なのだと感じています。

さい帯・さい帯血保管が
ご家族全員の安心へつながります

神宮外苑Woman Life Clinic
伊沢博美 先生

再生医療の分野は近年、目覚ましい進歩を遂げています。その中でも特に注目されているのが、赤ちゃんのへその緒から採取される幹細胞の利用です。さい帯由来の幹細胞は、再生医療の様々な分野で活用されており、将来的にはさらに多くの病気や怪我の治療法が開発されることが期待されています。
「ファミリー上清」は、保管したお子さんのへその緒の幹細胞から作られる培養上清を指します。
細胞の由来が明確であり、ご家族で安心して利用することができます。また他の幹細胞に比べて高い再生能力と増殖能力を持っているため、細胞の再生や組織の修復をより効果的に行い、老化した体や肌を若返らせる効果が期待できます。
家族のためにさい帯・さい帯血を保管することで、将来的な健康リスクに備え、ご家族全員の安心感を高めることができます。

赤ちゃんの未来を変える、
さい帯・さい帯血

レディーバードクリニック 院長
丸尾 伸之 先生

赤ちゃんのさい帯血に含まれる造血幹細胞は、生まれる際のストレスが強かった赤ちゃんに自己投与することで、脳性まひにつながるような新生児低酸素性虚血性脳症を改善できる可能性があります。
元気に生まれた赤ちゃんでも、将来さい帯血幹細胞やさい帯の間葉系細胞で治療できうる病気にかかる心配があり、その際に赤ちゃん自身のさい帯や、さい帯血が保存されていれば、治療により未来を変えられるかもしれません。
私たちは周産期におけるさい帯血治療に関わり、赤ちゃんの未来に向けてさい帯・さい帯血保存を応援しています。

もしものとき、
お子さまの将来に備えて

産科婦人科舘出張
佐藤病院 院長
佐藤 雄一 先生

当院は、群馬県高崎市に位置する産婦人科の専門病院です。初代が江戸時代に開業ののち、高崎藩医となり、その後代々地域医療に携わり、私で12代目となります。長い歴史の中で、常に患者さま本位の診療を目指し、とりわけ周産期にあたっては、安全で快適な医療の提供を第一に考え、新しい命が誕生する感動を共有する姿勢を職員一同心がけております。また産婦人科病院として、女性が生涯にわたり、健康で美しく生活するため幅広い相談治療や予防医療にも積極的に取り組んでおります。そして最近注目が高まっているお子さまの将来の病気に備えるさい帯血保管についてもご紹介しております。これからも当院は、すべての女性が豊かな生涯を送れるようサポートして参ります。