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デューク大学による他家さい帯血または他家さい帯由来間葉系幹細胞を用いた脳性麻痺に対する臨床研究結果が報告されました
米国デューク大学ではこれまでに脳性麻痺のお子さんに対するさい帯血を用いた再生医療研究を数多く行っています。今回、低酸素性虚血性脳症・脳室周囲白質軟化症・脳出血のいずれかにより脳性麻痺を発症しているお子さんを対象に他家さい帯血・他家さい帯由来間葉系幹細胞の投与を行う、ランダム化非盲検第Ⅱ相臨床試験の結果が報告されましたのでご紹介致します。
<表;被験者の情報>
・細胞投与の安全性
安全性評価は、投与から6ヶ月、12ヶ月、24ヶ月目に行われました。合計8名(AlloCB3例、hUC-MSC 5例)の被験者に8件の急性反応が生じましたが、いずれも投薬など医学的処置により改善し、長期的な後遺症は認められませんでした。また、2年間で66名に合計143件の有害事象が報告されましたが、それらは今回の細胞投与とは関連がありませんでした。
<図;GMFM-66の1年後の変化>
・運動機能の評価
1年後のGMFM-66スコアは、実際の値と予想される値の平均の差が、AlloCBでは5.8、hCT-MSCでは4.3、対象群では3.1であり、細胞を投与した群では通常の脳性麻痺児に期待される値より著しい運動機能の向上が確認されました。また、1年後のGMFM-66スコアの変化量の平均はAlloCBでは9.5、hCT-MSCでは7.5、対象群では6.7であり、AlloCBにおいて運動機能が大きく向上することが確認されました。
・結語
本研究により、高用量の他家さい帯血投与や他家さい帯由来間葉系幹細胞の反復投与の安全性が確認され、特に他家さい帯血は投与から1年後の運動機能の向上に大きく寄与することが示されました。
<GMFM-66について>
姿勢保持や歩行など全身を使った運動機能についての評価尺度。2歳から12歳の脳性麻痺児それぞれの年齢に応じた予想される発達度合いのスコアが算出され、それに基づく発達曲線が発表されています。本研究では、実際の患者のスコアと予想されるスコアの差を評価項目としています。
<論文の情報>
Jessica M Sun, Laura E Case, Colleen McLaughlin et al. Motor function and safety after allogeneic cord blood and cord tissue-derived mesenchymal stromal cells in cerebral palsy: An open-label, randomized trial. Dev Med Child Neurol. 2022 Jul 10. doi: 10.1111/dmcn.15325.
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