妊娠後期はいつからいつまで?体の変化や過ごし方など基礎知識を解説

記事監修者:産婦人科医 土肥 聡 先生
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医

「妊娠後期って、いつからいつまで?」
「この時期に起こる体の変化について知りたい」
「出産に向けてどんな準備をすればいいの?」
妊娠後期を迎えると、お腹の大きさや体調の変化に戸惑うことが多くなるのではないでしょうか。
妊娠後期は28〜39週までの期間をさし、胎児の成長に伴い体にさまざまな症状が現れます(※1)。
しかし、これらの症状は出産に向けた自然な変化であるため、心配しすぎる必要はありません。
ただし、安心して出産を迎えるためには正しい知識と適切な対策が重要です。
そこで本記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠後期に見られるおもな症状
・妊娠後期を快適に過ごす3つのポイント
・妊娠後期で出産に向けて準備すること
この記事を読むと、妊娠後期の過ごし方がわかり、出産に向けて自信を持って準備を進められるようになりますよ。
(※1)出典:一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「働く女性の心とからだの応援サイト 妊娠出産・母性健康管理サポート」妊娠中の身体の変化と対応ポイント
妊娠後期に見られるおもな症状
妊娠後期に入ると現れる、おもな症状と詳細は以下のとおりです。
症状 | 詳細 |
お腹の増大 | 赤ちゃんの成長に伴い足元が見えづらくなり、転倒リスクが高まる |
お腹の張り | 胎児が大きくなるにつれて張りやすくなり、長時間つづく場合は早産に注意 |
腰痛 | 子宮の増大により体の重心が前方に移動し、腰への負担が増加 |
関節の痛み | ホルモンの影響で関節が柔らかくなり、手首や指に痛みを感じる場合あり |
足のむくみ | 下半身の血流が滞りやすくなることで発生 |
頻尿 | 子宮が膀胱を圧迫し、トイレが近くなる。我慢すると膀胱炎のリスクも |
睡眠障害 | 大きくなった子宮による圧迫感や出産への不安から、夜間の睡眠が浅くなりがち |
消化器系の不快感 | 子宮が胃を圧迫することで、食事量の減少やつわりのような不快感が生じ場合も |
体重増加と倦怠感 | 妊娠後期は体重が増えやすく、疲れを感じやすい時期 |
ただし妊娠後期に現れる症状には個人差があるため、目安として考えましょう。
それぞれの症状に対応できるように、下記の記事も参考にしてくださいね。
▼お腹の張り
▼腰痛
▼むくみ
▼睡眠
▼体重管理
妊娠後期を快適に過ごす3つのポイント
妊娠後期を快適に過ごすためにも、以下 3つのポイントを意識しましょう。
・無理のない範囲での適度な運動
・バランスのよい食事
・快適な睡眠環境をつくる
順番に解説していきます。
ポイント1:無理のない範囲での運動
妊娠後期は出産に向けた体力づくりが重要です。
日中に30分〜1時間程度の適度な運動を行うと、自律神経のバランスが整い、安眠や熟睡にもつながります(※2)。
ただし、妊娠前に運動をする習慣がなかった人は「15分」程度から始め、少しずつ様子を見ながら増やしていくとよいでしょう(※2)。
おすすめの運動としては、
・ウォーキング
・ストレッチ
・マタニティヨガ
などがあり、激しい動きは避けながら体を動かしましょう。
またデスクワークや立ち仕事をしている人は、休憩時間のストレッチもおすすめです。
(※2)出典:こども家庭庁(出生前検査認証制度等啓発事業)|妊娠の検査に関する情報サイト「妊娠・出産」
ポイント2:バランスのよい食事
妊娠後期は胃が圧迫されて、一度に多くを食べられなくなるため、少量でもバランスのよい食事を心がけることが大切です。
鉄分・カルシウム・葉酸は妊娠中にとくに重要な栄養素とされているため、積極的に摂取しましょう(※3)。
フルーツ・豆類は間食としても摂取しやすく、野菜たっぷりのスープも食べやすいのでおすすめです。
食欲が増している場合は、野菜を多く取り入れ、お菓子などは控えめにして食事日記やアプリで管理するとよいでしょう。
妊娠後期には食欲が増す人がいる一方で、「後期つわり」で食べられなくなるケースもあります。
「後期つわり」で食べられない場合は、少量の食事を回数多く摂ったり、冷たくて口当たりのよいものを選ぶといった工夫をしましょう。
「後期つわり」で食事を思うように摂れないと言った場合は、以下の記事も参考にしてください。
(※3)出典:妊娠・授乳期の食生活のポイント 独立行政法人国立病院機構 大阪南医療センター「栄養士」
ポイント3:快適な睡眠環境をつくる
妊娠後期はお腹が大きくなり、仰向けで寝ると苦しくなりやすいです。
横向きに寝る「シムス位」という方法が効果的で、下記のような姿勢が推奨されています。
1.左側を下にして右足を前に出す
2.右ひざを床につける
シムス体位によって、大きくなったお腹を守れる姿勢がとれ、寝苦しさが軽減されます。
左側を下にして横になると、右側にある肝臓を子宮で圧迫しにくくなり、腎臓や赤ちゃんに血液が届きやすくなるメリットもあります。
また抱き枕やクッションを活用すると体重が分散され、より快適に眠れるでしょう。
寝つきが悪い場合は、寝る前のスマホの使用を避ける、日中の運動を心がける、体を温める、深呼吸を繰り返すといった方法を試してみましょう。
妊娠後期に入って眠れなくなったという人は、下記も参考にしてくださいね。
妊娠後期で出産に向けて準備すること
まず優先すべきは、入院用品の準備です。
医療機関から提供されるリストを確認し、必要なものを揃えましょう。
出産予定日が近づいたら、入院用品は家族にもわかるよう一箇所にまとめておくと安心です。
赤ちゃん用品は最低限必要なものから準備して、必要に応じて買い足すようにします。
とくに退院時から必要となるチャイルドシートは、早めに選び始めるとよいでしょう。
万が一の対応のため、陣痛が来たときや破水した際の連絡方法や、分娩施設までの交通手段を事前に確認しておくことも大切な準備の一つです。
入退院で必要なものはこちらからも確認できます。
妊娠後期に関するQ&A
ここでは妊娠後期について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


しかし、赤ちゃんは動かなくなるわけではなく、臨月に入っても、動き続けます。
胎動がいつもより少ないと不安に感じる場合には、かかりつけ医へ相談しましょう。


ただし、感じ方には個人差があります。
まとめ
妊娠後期(28〜39週)は、出産に向けて体と心の準備が進む重要な時期です。
胎児の成長に伴いさまざまな体の変化が現れますが、出産に向けた自然な変化として理解しておきましょう。
妊娠後期に見られるおもな症状としては、
・お腹の増大
・腰痛
・むくみ
・頻尿
・睡眠障害
などがあります。
快適に過ごすためにも、以下 3つのポイントを意識しましょう。
ポイント | 内容 |
無理のない範囲での適度な運動 | ・ウォーキング ・ストレッチ ・マタニティヨガ など |
バランスのよい食事 | 特に
・鉄分 |
快適な睡眠環境づくり | ・シムス位での横向き睡眠 ・抱き枕の活用 |
出産に向けた準備をする際は、赤ちゃんの万が一に備えられる「さい帯・さい帯血保管」も検討がおすすめです。
チャンスは出産時の一度きりなので、妊娠中の今しか準備できません。
妊娠後期に入ったら、出産に向けた準備をしっかりと進めて、安心してお産に臨めるようにしましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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この記事の監修者
産婦人科医 土肥 聡 先生
経歴
豊洲レディースクリニック院長
2004年北里大学医学部医学科卒業。同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。
昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。
2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
資格
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医