さい帯をエイジングケアに活用|実施されている美容メニューや利用までの流れを紹介

記事監修者:医学博士 伊沢博美 先生
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医

「さい帯はエイジングケアに使える?」
「本当に効果があるのか知りたい」
「さい帯を保管する価値はあるの?」
このような疑問をもっているのではないでしょうか。
さい帯に含まれる幹細胞が、次世代のエイジングケアとして注目を集めています。
その再生能力は、免疫機能の改善や皮膚の若返りなど、さまざまな可能性を秘めているのです。
この記事では、さい帯のエイジングケアへの活用について、以下の観点から解説していきます。
・さい帯のエイジングケアへの活用可能性
・エイジングケアにさい帯を活用した3つの研究
・さい帯をエイジングケアに活用する際の注意点
この記事を読むと、さい帯とエイジングケアの関係性がわかり、さい帯保管するか判断できるようになりますよ。
さい帯はエイジングケアへの活用が期待されている
さい帯には、体内のさまざまな組織に変化する能力をもつ「幹細胞」が豊富に含まれています。
幹細胞は損傷した組織を修復したり、新しい細胞を生み出す力をもっており、医療分野で大きな注目を集めています。
また幹細胞のもつ組織修復能力や再生能力から、次世代のエイジングケア(加齢に伴う身体機能の低下を予防・改善する方法)としても注目されているのです。
エイジングケアに幹細胞を活用した3つの研究
さい帯や、さい帯血由来の間葉系細胞や、その上清液を用いた研究を3つ紹介します。
・加齢に伴う免疫機能障がいの軽減
・人の皮膚の若返り機能を刺激
・身体虚弱の改善
順番に見ていきましょう。
なおステムセル研究所は、本研究に関与していません。
研究1:加齢に伴う免疫機能障がいの軽減
さい帯血由来の間葉系幹細胞から得られた培養液が、加齢に伴う免疫機能低下を改善する可能性を示した研究です。
この研究では、12か月齢のマウスを用いて実験を行っています。
結果として、培養液の投与によって加齢に伴う免疫機能の低下を軽減する可能性があるとわかりました。
さらに腎臓組織の老化細胞数を減少させ、組織の若返りに効果があることも示されたのです。
培養液には酸化ストレスから細胞を保護する成分が含まれているため、免疫機能の改善や組織の若返りに寄与していると考えられています。
研究2:人の皮膚の若返り機能を刺激
人間の皮膚には自然な若返り機能が備わっていますが、加齢とともに機能は低下していきます。
この研究では、さい帯血由来の間葉系幹細胞から得られた培養液が、皮膚の若返りを促進する可能性が示されました。
さらに培養液を含む化粧品を実際に人の肌に使用したところ、4週間後には皮膚の密度が増加し、目尻のシワが減少するなどの効果も。
研究結果から、培養液が皮膚の若返りを刺激して、肌質を改善できる効果を期待できることが明らかになりました。
研究3:身体虚弱の改善
加齢とともに身体機能が徐々に低下していくことを「身体虚弱」と呼び、高齢者の健康に大きな影響を与えています。
この研究では、身体虚弱の症状がある高齢者に幹細胞を投与したところ、6分間の歩行距離テストの成績が向上しました。
具体的には、歩行距離が約64メートル伸びたのです。
この研究がさらに進展すれば、加齢に伴う身体機能低下を予防、または改善する新たな治療法として期待できるでしょう。
エイジングケアにも利用できる|さい帯を用いたファミリー上清製造サービス
ステムセル研究所では、赤ちゃんのさい帯を活用した「ファミリー上清製造サービス」を提供中です。
このサービスでは、凍結保管されたさい帯から幹細胞を培養し、その過程で得られる「幹細胞培養上清液」を製造しています。
幹細胞培養上清液は、
・エイジングケア
・健康維持
・家族のさまざまな症状の改善
に利用可能です。
幹細胞培養上清液をエイジングケアに利用するまでの流れを、くわしく見ていきましょう。
幹細胞培養上清液をエイジングケアに利用するまでの流れ
幹細胞培養上清液をエイジングケアに利用する過程は、以下のとおりです。
流れ | 詳細 |
1:さい帯の保管 | 妊娠中にステムセル研究所へ保管を依頼 |
2:医師の診察 | 使用したいタイミングで、提携先のクリニックに幹細胞培養上清液の製造を依頼 |
3:幹細胞培養上清液の製造 | 約4か月かけて、幹細胞培養上清液を製造 |
4:提携クリニック受診 | ・幹細胞培養上清液の完成後、クリニックから連絡あり ・医師とスケジュールを調整のうえ使用する (※)なおステムセル研究所の提携先クリニックは以下の3院(2025年5月時点) ・神宮外苑Woman Life Clinic ・レディーバードクリニック ・Men’s Clara Clinic |
出典:ステムセル研究所「ファミリー上清製造サービスのご案内」
幹細胞培養上清液をエイジングケアに活用する際の注意点
現在、エクソソームなどの幹細胞由来成分を含む製品で、有効性と安全性が十分に証明され、薬事承認を得て製造販売されている医薬品は存在しません(※1)(2025年2月時点)。
そのため、信頼できる医療機関や研究機関などの公的な機関で利用するようにしましょう。
利用を検討する際は、かならず専門医に相談して、個人の健康状態や目的に合わせた適切なアドバイスを受けてください。
(※1)出典:厚生労働省医政局研究開発政策課「幹細胞培養上清液及びエクソソーム等を用いる医療について(周知)」令和6年7月31日
さい帯によるエイジングケアに関するQ&A
ここではさい帯によるエイジングケアについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

特に注目されているのは、さい帯から得られる間葉系幹細胞という特別な細胞や、その細胞が出す成分を使ったスキンケアです。
たとえば、出産後にできやすい肝斑と呼ばれるシミに対して、さい帯由来の成分を含むフェイスマスクが有効だったという研究があります1)。
また、肌の赤みや乾燥といった敏感肌の症状も和らげることがわかっており、肌のバリア機能を高める効果があると考えられています。
さらに、さい帯の成分は、肌のハリに関わるコラーゲンを増やし、老化の原因となる酵素(MMP-1)を抑える作用もあるため、肌の若返りにも役立ちます2)。
アトピー性皮膚炎のような炎症性の肌トラブルにも有望で、肌の免疫バランスを整える働きが期待されています3)。
このように、さい帯由来の成分は、シミ・敏感肌・老化・炎症性皮膚疾患・傷あとなど、幅広い肌の問題に対して、再生と修復を助ける自然なアプローチとして注目されています。
参照:
1)
Adelipour M, Sorkheh H, Kiani Z, Bahrami H, Berageah N, Salimi A, et al. Umbilical cord as a source of mesenchymal stem cells improves melasma in parturients: a clinical randomized trial. Physiol Pharmacol. 2023;27:9–15.
2)
Pham PV, Dang LT-T, Dinh UT, Truong HT-T, Huynh BN, Le DV, Phan NK.
In vitro evaluation of the effects of human umbilical cord extracts on human fibroblasts, keratinocytes, and melanocytes. In Vitro Cell Dev Biol Anim. 2014;50(4):321–30.
3)
Hua C, Liang Q, Chen S, Zhu J, Tang Y, Chen X, Song Y, van der Veen S, Cheng H.
Human umbilical cord mesenchymal stem cell treatment alleviates symptoms in an atopic dermatitis-like mouse model. Stem Cell Res Ther. 2023;14(1):147.

近年の研究では、これらの成分が細胞の老化を抑えたり、細胞の働きを活性化させたりすることがわかっています。
たとえば、高齢のマウスにこれらを投与すると、精子をつくる力や男性ホルモンの量が回復し、精巣の老化が改善されるという結果が報告されています1)。
これは、体内の炎症や酸化ストレスを抑え、細胞の環境を整える働きによるものと考えられています。
また、さい帯由来の成分は、若い人の血液と似たような若返り効果を持つとも言われており、脳や心臓、腎臓など複数の臓器で加齢による衰えを和らげる働きがあるという研究報告もあります2)。
ヒトでの研究でも、高齢者の慢性的な炎症を和らげ、体力や生活の質を改善する効果が確認されています。
動物実験では、認知機能や運動能力の向上、DNAのダメージの軽減、腸内環境や代謝の改善といった幅広い効果も示されています3)。
これらの成果は、さい帯由来幹細胞培養液が、再生医療やアンチエイジングの分野で非常に多くの可能性を秘めていることを示しており、今後ますます注目される存在になると考えられています。
参照:
1)
Luo P, Chen X, Gao F, Xiang AP, Deng C, Xia K, Gao Y. Human umbilical cord mesenchymal stem cell-derived exosomes rescue testicular aging. Biomedicines. 2024;12(1):98.
2)
Zhang A, Li Q, Chen Z. Therapeutic efficacy and promise of human umbilical cord mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles in aging and age-related disorders. Int J Mol Sci. 2024;26(1):225.
3)
Zhu Y, Huang C, Zheng L, Li Q, Ge J, Geng S, Zhai M, Chen X, Yuan H, Li Y, Jia W, Sun K, Li Y, Ye T, Zhao Z, Liu H, Liu Z, Jiang H. Safety and efficacy of umbilical cord tissue-derived mesenchymal stem cells in the treatment of patients with aging frailty: a phase I/II randomized, double-blind, placebo-controlled study. Stem Cell Res Ther. 2024 ;15(1):122.

近年では、これらの成分を使った製品が徐々に開発され、安全に利用するための研究も進んできました。
さい帯幹細胞由来の成分は、細胞の成長を助け、老化予防や傷の治りを早める可能性があることがわかってきています。
また、これらの成分はもともとヒトの体に由来するため、理論的には体になじみやすく、炎症を鎮める作用があり、副作用が少ないという利点があります1)2)。
ただし、すべての製品が同じように安全とは限らず、抽出や加工の方法によっては、肌に合わないケースや感染症のリスクも考えられます。
とくに化粧品への利用については、まだ十分なデータが整っていないため、慎重な判断が必要です。
全体としてはさい帯幹細胞由来の成分は高い可能性を持っており、安全性に配慮した製品開発が進めば、今後さらに広く活用されていくことが期待されます。
参照:
1)
Zhang A, Li Q, Chen Z. Therapeutic efficacy and promise of human umbilical cord mesenchymal stem cell-derived extracellular vesicles in aging and age-related disorders. Int J Mol Sci. 2024;26(1):225.
2)
Zhu Y, Huang C, Zheng L, Li Q, Ge J, Geng S, Zhai M, Chen X, Yuan H, Li Y, Jia W, Sun K, Li Y, Ye T, Zhao Z, Liu H, Liu Z, Jiang H. Safety and efficacy of umbilical cord tissue-derived mesenchymal stem cells in the treatment of patients with aging frailty: a phase I/II randomized, double-blind, placebo-controlled study. Stem Cell Res Ther. 2024 ;15(1):122.
まとめ
さい帯に含まれる幹細胞は、その再生能力から次世代のエイジングケアとして注目を集めています。
研究では、幹細胞培養液が以下の効果を示しました。
・免疫機能障害の軽減
・皮膚の若返り促進
・高齢者の身体機能改善
ステムセル研究所の「ファミリー上清製造サービス」では、保管したさい帯から幹細胞培養上清液を製造し、エイジングケアに利用できます。
ただし現時点では、幹細胞由来成分を含む製品で薬事承認を得たものはありません。
利用を検討する際は専門医に相談し、信頼できる医療機関で適切なアドバイスを受けましょう。
さい帯の活用は、将来のエイジングケアに対して大きな可能性を秘めています。
自身や家族の健康維持に興味がある人は、さい帯保管を検討してみてくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
医学博士 伊沢博美 先生
経歴
神宮外苑Woman Life Clinic 院長
獨協医科大学医学部卒業、医学博士。
日本再生医療学会再生医療認定医、日本抗加齢医学会専門医。順天堂医院、婦人科・内科健診施設、再生医療等提供機関に勤務。
2020年に『神宮外苑Woman Life Clinic』を開設。女性内科・不妊・更年期障害など女性特有の健康課題に対し、一人ひとりに合わせた医療ソリューションを提供。
資格
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医