再生医療におけるさい帯血の最新情報|4つの治療実績も紹介

記事監修者:医学博士 伊沢博美 先生
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医

「再生医療でさい帯血は本当に効果があるのだろうか」
「最新の研究動向が気になる」
「治療事例も知りたい」
このような疑問や関心があるのではないでしょうか。
さい帯血は再生医療の分野で大きな可能性を秘めているため、注目を集めています。
研究は日々進歩し、さまざまな疾患への治療効果が期待されているのです。
しかし最新動向や治療実績、保管の意義については、まだ十分に知られていない部分も多いといえるでしょう。
そこで本記事では、以下の内容をくわしく解説していきます。
・さい帯血の研究動向
・再生医療でさい帯血が実際に使われた治療例
・さい帯血保管を選択した人々の声
この記事を読むと、再生医療においてさい帯血が役立つのかわかり、保管するか判断できるようになりますよ。
【2025年】再生医療におけるさい帯血の研究動向
2024年から2025年にかけて、さい帯血を用いた再生医療分野での研究動向を紹介します。
まず海外では2024年11月に、米国FDA(米国食品医薬品局)がStemCyte社のさい帯血由来幹細胞療法製品「REGENECYTE™」を承認し、血液および免疫系障害の治療に使用できることになりました(※1)。
さらにStemCyte社は、
・慢性疲労症候群
・加齢関連疾患
・COVID-19症候群
・急性脳卒中
に対する臨床試験も進めています(※2)。
国内では「脳性まひ」や「自閉症スペクトラム障害(ASD)」に対する臨床研究が進行中です。
またステムセル研究所では、2024年11月に新ブランド「HOPECELL」を立ち上げ、さい帯・さい帯血の保管サービスを拡充し、保管数は累計8万件を超えています(※3)。
さらに、さい帯血に含まれる幹細胞の増幅技術や、さい帯由来の間葉系幹細胞の研究も継続されており、将来的な治療効果の向上が期待されています。
(※1,2)BioSpace「U.S. FDA Approves StemCyte Biologics License Application for REGENECYTE™ Cord Blood Cell Therapy Product – BioSpace」
(※3)PR TIMES|ステムセル研究所「【新料金プラン】国内シェア99.9%の「さい帯・さい帯血ファミリーバンク」が新サービス『HOPECELL』を提供開始。月々2,980円で赤ちゃんの貴重な細胞を長期保管。」
再生医療でさい帯血が治療に使われた4つの治療実績例
実際に再生医療でさい帯血が使用された例を、以下の症状別に見ていきましょう。
・脳性まひ
・低酸素性虚血性脳症
・脳室周囲白質軟化症
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
順番に解説していきます。
実績例1:脳性まひ
脳性まひは、出生前から出産直後に起きた脳の損傷が原因で、運動困難と筋肉のこわばりを特徴とする病気です。
高知大学が行った臨床研究では、
・左手と左足にまひ
・歩行時に転倒を繰り返す
といった症状のある、2歳5か月の子どもにさい帯血輸血を行いました。
このさい帯血は、子ども自身が産まれた時に採取し保管していた、自家さい帯血でした。
その結果、以下のような変化が見られました。
・翌日から転倒回数が減少
・おもちゃを両手で掴めるようになった
さらにその後、地域の小学校の普通級に集団登校で通えるまでに改善されたのです。
ほかの症例においても、運動機能や知的能力の改善が見られています。
出典:ステムセル研究所「さい帯血情報」2023年6月号Vol.126ステムセル研究所発行
実績例2:低酸素性虚血性脳症
低酸素性虚血性脳症は、新生児の脳への酸素供給や血流が滞って引き起こされる脳障害です。
デューク大学では、
・自力での寝返りや座位が不可能
・てんかん発作がある
7歳の子どもに対して、さい帯血治療を行いました。
子ども本人のさい帯血ではなかったものの、妹が生まれた時に採取・保管していたさい帯血の型が一致しました。
妹のさい帯血を投与した結果、
・毎日あった部分痙攣が24時間ほど止まる
・1か月後には粗大運動(姿勢保持やバランスなど、全身を大きく使う運動)が可能に
などの改善が見られたのです。
歩行器使用時も、足を突っ張るだけだった状態が、緊張・弛緩の動作をできるようになりました。
さらに認知機能も改善し、言葉への理解度が増すといった改善も見られたのです。
出典:ステムセル研究所「さい帯血情報」2022年8月号Vol.123ステムセル研究所発行
実績例3:脳室周囲白質軟化症
脳室周囲白質軟化症は、出生時に脳室周囲白質が虚血状態になり局所的に壊死する疾患です。
デューク大学では治療として、
・座位保持や立位、独歩が不可能
・手足にまひ
がある5歳の子どもに対して、きょうだいのさい帯血の投与を行いました。
その結果、投与から1か月ほど経過したときに、
・座位が保てるようになった
・筋肉の緊張が緩和する
など、徐々に改善が見られたのです。
上記の結果から、さい帯血の幹細胞が脳の白質部分の修復を促進し、運動機能の回復に貢献する可能性を示しているといえるでしょう。
出典:ステムセル研究所「さい帯血情報」2022年5月号Vol.122ステムセル研究所発行
実績例4:自閉症スペクトラム障害(ASD)
自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する、さい帯血治療の臨床試験も進行中です。
デューク大学が行った臨床試験では、平均年齢4.6歳のASD患者25症例に自家さい帯血を投与しました。
その結果、
・投与6か月後で、話の理解度や対人関係が改善
・12か月後も改善状態が維持
・非言語性知能指数(視覚的・空間的情報を処理する能力)も改善
上記の研究結果から、さい帯血の投与による自閉症スペクトラム障害(ASD)への活用が期待されています。
さらに国内でも、ステムセル研究所で保管しているさい帯血を、自閉症スペクトラム障害(ASD)に利用する臨床試験が始まっています。
出典:ステムセル研究所「自閉症スペクトラム障害に対するさい帯血を用いた再生医療の有望な結果報告」
ステムセル研究所でさい帯血保管をした人の声
ここでは、実際にステムセル研究所でさい帯血を保管した人の声を見てみましょう。
以下は、保管した人の声を一部抜粋・編集したものです。
我が家にとって、さい帯血は生命保険のようなもの。
でも、それは単なる生命保険ではなく、万が一の命を救ってくれるかけがえのない保険です。
将来的にその価値がさらに高まることを期待して、さい帯血を保管することにしました。
私たち夫婦は子どもの命を全力で守ることが、何よりも重要な親としての役目だと考えています。
我が子が大きくなったときに、さい帯血とはどういうものなのかを、命の大切さとともに教えようと思っています。
ここで「さい帯血保管にデメリットはないのだろうか」と考える人もいるでしょう。
以下の記事ではデメリットも解説しているため、心配な人は確認してみてくださいね。
再生医療における臍帯血のQ&A

研究所
ステムセル研究所のさい帯・さい帯血保管サービス「HOPECELL」では、10年間または20年間の保管プランをお選びいただけます。
また期間を更新していただくことも可能です。

研究所

研究所
血縁のない人との間の適合率は数百~数万分ですが、きょうだい間では4分の1の確率で、本人であれば100%適合します。
まとめ
2025年における再生医療分野でのさい帯血の研究は、着実に進展中です。
国内でも、脳性まひや自閉症スペクトラム障害(ASD)に対する臨床研究が行われており、さい帯血保管サービスも拡充されています。
さい帯血を用いた治療では、
・脳性まひ
・低酸素性虚血性脳症
・脳室周囲白質軟化症
・自閉症スペクトラム障害(ASD)
などで改善が報告されており、運動機能や認知機能の向上、てんかん発作の減少など、さまざまな症状に対する効果が確認されています。
今後もさらなる研究と治療法の開発が期待されるでしょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
医学博士 伊沢博美 先生
経歴
神宮外苑Woman Life Clinic 院長
獨協医科大学医学部卒業、医学博士。
日本再生医療学会再生医療認定医、日本抗加齢医学会専門医。順天堂医院、婦人科・内科健診施設、再生医療等提供機関に勤務。
2020年に『神宮外苑Woman Life Clinic』を開設。女性内科・不妊・更年期障害など女性特有の健康課題に対し、一人ひとりに合わせた医療ソリューションを提供。
資格
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医