妊娠初期の胸の張りはいつから?原因と生理前との違いを徹底解説

記事監修者:産婦人科医 土肥 聡 先生
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医

「妊娠初期の胸の張りっていつから始まるの?」
「生理前の症状と似ているけど、どう見分ければいい?」
「これって本当に妊娠のサインなの?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
妊娠初期の体の変化は不安や戸惑いを感じやすいものですが、胸の張りは多くの女性が経験する一般的な症状です。
ただし生理前の症状と似ているため、正しく見分けるには知識が必要です。
妊娠による胸の張りには明確な原因があり、適切な対処法も存在します。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期に胸が張る原因
・妊娠初期と生理前の胸の張りの違い
・妊娠初期の胸の張りを和らげる効果的な方法
この記事を読むと、妊娠初期の体の変化について正しく理解でき、適切に対処できるようになりますよ。
妊娠初期に胸が張る原因はホルモン変化によるもの
妊娠初期に感じる胸の張りは、おもに女性ホルモンである「エストロゲン」「プロゲステロン」の急激な増加が原因です。
エストロゲンは胎児の成長に合わせて子宮を大きくし、母乳を作る準備のために胸を大きくする働きがあります。
一方プロゲステロンは、子宮内の状態を整えながら胎盤を形成する役割を担い、乳腺組織を活発化させる効果ももっています。
妊娠が進むと、乳首の周りの着色が濃くなったり、乳房に皮下脂肪がついたりするなどの変化も見られますが、これも将来の授乳に備えた体の自然な準備段階なのです。
ただし変化には個人差があるため、症状の強さや期間には幅があると理解しておきましょう。
妊娠初期と生理前の胸の張りの違い
生理前の胸の張りは、生理が始まると自然に軽減します。
一方、妊娠初期の胸の張りは生理前よりも強く感じられ、痛みを伴う場合も。
また、生理予定日を過ぎても胸の張りが継続する点が特徴です。
胸の張り以外にも、基礎体温の変化や眠気など、妊娠初期に現れる症状があるため、妊娠を確認したい人は下記を参考にしてくださいね。
妊娠初期に胸の張りがなくても大丈夫?
「妊娠初期なのに、胸の張りを感じないのだけれど、大丈夫?」と不安になる必要はありません。
妊娠初期の胸の張りは、すべての人に起こる症状ではないためです。
実際に株式会社ゼネラルリンクが行ったアンケートによると、妊娠初期に胸に違和感があったと答えた割合は「約23%」という結果も出ています(※1)。
また妊娠中は女性ホルモンのバランスが変化するため、胸の張りを感じていても途中でなくなる場合も。
胸の張りがなくなることは、体質なども関係していて決して珍しいことではなく、一時的になくなり妊娠中期頃に乳腺が発達して再び張ってくるケースもあります。
ただし胸の張り以外に、生理のときより多い出血やひどい腹痛など、他の流産徴候があれば、早めに医療機関を受診しましょう。
ささいなことでも体調に不安があるときは、遠慮せずに産婦人科で相談するようにするとよいでしょう。
(※1)出典:PR TIMES|株式会社ゼネラルリンク「妊娠初期症状・つわりに関する調査!76.8%は「日常生活に支障がある」【赤ちゃんの部屋】」
妊娠初期の胸の張りをやわらげる3つの対処法
ここでは、妊娠初期の胸の張りをやわらげる方法を3つ紹介します。
・締め付けない適切な下着を選ぶ
・温冷療法を活用する
・適度な運動とリラックス法を取り入れる
順番に見ていきましょう。
対処法1:締め付けない適切な下着を選ぶ
胸が張っていると、通常のブラジャーでは締め付け感が強くなるため、締め付けの少ない下着を選びましょう。
ノンワイヤータイプやワイヤーが柔らかいブラジャーは、張りを感じる胸を優しくサポートしてくれます。
自宅ではリラックスタイム用のナイトブラなどを使用すると、窮屈さを感じずに過ごせます。
外出時にノンワイヤーに抵抗がある場合は、一時的にカップサイズをワンサイズ上げる方法も効果的です。
マタニティ用のブラジャーは、妊娠中の胸の変化に対応できるよう設計されているため、早い段階から取り入れると快適に過ごせます。
妊娠の進行に伴い胸のサイズが変化するため、圧迫感や違和感があったら買い替えを検討しましょう。
対処法2:温冷療法を活用する
胸が張っているときは熱をもっている場合が多いため、冷却でも症状の緩和が期待できます。
水で濡らしたタオルを固く絞り、胸に直接当てると効果的です。
ただし、冷たいタオルやアイスパックを使用する場合は、長時間の冷却は避けましょう。
保冷材を使う際はタオルに包んでから使用し、直接肌に触れないよう注意します。
また冷却したあとに温めると、さらに効果的です。
対処法3:適度な運動とリラックス法を取り入れる
ウォーキングやストレッチなどの軽い運動は血行を促進し、胸の張りをやわらげる効果が期待できます。
腕を大きく回す運動やヨガのポーズには、胸周りの血流を良くする効果があります。
またストレスは胸の張りを含む身体の不調を悪化させるため、リラックスする時間を設けるとよいでしょう。
深呼吸や瞑想などの、簡単なリラックス法を日常に取り入れると効果的です。
ただし運動を行う場合は、事前に医療機関で相談しましょう。
妊娠初期の胸の張りに関するQ&A
ここでは妊娠初期の胸の張りについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。



胸の張りの感じ方は個人差が大きく、ホルモンバランスの変化で症状が変わることもあるため、心配な場合は医師へ相談しましょう。

まとめ
妊娠初期の胸の張りは、エストロゲンとプロゲステロンの急激な増加によって引き起こされる一般的な症状です。
将来の授乳に備えた体の自然な準備段階であり、個人差があります。
生理前の胸の張りとの、おもな違いは以下の3点です。
妊娠初期の胸の張り | 生理前の胸の張り |
生理予定日を過ぎてもつづく | 生理開始と共に軽減する |
痛みを伴うことが多い | 比較的軽度な場合が多い |
強く感じられる | 一時的な場合が多い |
胸の張りを軽減するための対処法としては、以下の対処法が有効です。
・締め付けの少ないノンワイヤーブラの使用
・冷却と温めを組み合わせた温冷療法
・医師に相談したうえでの適度な運動とリラックス法
なお、すべての女性が妊娠初期に胸の張りを経験するわけではなく、「約23%」の女性しか感じていないというデータもあります。
胸の張りがない場合でも心配する必要はなく、体質や個人差があります。
不安な症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
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その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
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さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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この記事の監修者
産婦人科医 土肥 聡 先生
経歴
豊洲レディースクリニック院長
2004年北里大学医学部医学科卒業。同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。
昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。
2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
資格
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医