帝王切開後3カ月のケアが大切!~おなかの傷との付き合い方~

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

出産には、経腟分娩と帝王切開の二つの方法があります。
どちらも赤ちゃんやママにとって最も安全で最適な方法には変わりなく、どの出産でも赤ちゃんの体の機能や成長に大きな違いはありません。
しかし、帝王切開予定のママを不安にさせたり、帝王切開後のママにジワジワと不調を感じさせるものがあります。
それは、「おなかの傷あと」
今回は、赤ちゃんを命がけで生んだ勲章ではあるけれど、ちょっと厄介な「おなかの傷あと」について、少し掘り下げてみたいと思います。
おなかの傷にも種類がある!
帝王切開の傷は「縦切開」「横切開」の2パターンがあります。
・縦切開
一般的に、「縦切開」は手術の際に視野を確保しやすく赤ちゃんを取り出しやすいことから、子宮筋腫や超早産児などのハイリスクな場合に行われることが多いです。
・横切開
「横切開」は、それ以外の場合に「下着などのゴムより下の位置を切開して、産後に傷が目立たないように」といった美容的な理由から行われることが多いです。皮膚は横に切りますが、中の子宮を切る方法は基本的に同じで、帝王切開自体の安全性に大きな違いはありません。
傷の大きさは、縦切開だと4~10cm、横切開だと10cm前後。
おなかの筋肉は繊維が縦に走っているため、縦切開は出血が少なく傷が治りやすいというメリットがあります。そして横切開は、傷跡が目立ちにくい位置にあるというメリットがあります。
傷のセルフケアは産後3カ月が重要
赤ちゃんを命がけで生んだ勲章とはいえ、自分の体についた傷は、できるだけきれいに治したいものですよね。
きれいでトラブルの少ない傷あとを目指すために大切なのは「セルフケア」です。
セルフケアといっても、面倒なマッサージや特別な物は必要ありません。自宅に戻ってからも産後約3カ月は、傷あとを乾燥させないように専用のテープやシリコンジェルシートなどを傷あとに貼り、保護しておくだけです。インターネットでも簡単に入手できます。
傷テープの使い方ワンポイントアドバイス
傷を埋めてくれる新しい細胞が増えて、その勢いが落ち着くまでの期間は、約3カ月と言われています。この時期の自然治癒を妨げないよう、テープ等で保護することが大切です。
・テープの貼り方
傷あとの大きさに合わせてサイズを選びます。傷あとをテープ中央にあわせて、テープを伸ばさずに貼りましょう。座った状態では、ずれてしまうこともありますので、立った状態で貼りましょう。
メーカーによって違いはありますが、5~7日程度で交換が必要になります。
色に近い色の傷あとになるまでは使用しましょう。個人差はありますが、傷あとが安定するまでに半年以上はかかります。傷のスペースを埋めている増殖期の3カ月まではテープを使用したケアが必要でしょう。
ケア中に避けた方が良いこと
手術後1週間ほどは痛みを感じやすいですが、この時期に消毒などを行ってしまうと、新しい細胞が傷を埋めてくれる働きを妨げてしまいます。消毒は行わず、過度な乾燥を避けましょう。
また、下着などで擦れるとそれがかゆみに繋がり、掻いてしまうことで傷あとが盛り上がったり、赤みが出てきます。傷あとの位置にゴムが来るような下着を避けたり、ゴワゴワしたボトムスで傷あとに刺激が加わることを避けるなど、できるだけかゆみを引き起こさないよう心掛けましょう。
「傷あとが盛り上がってきた・・・かゆい・・・」そんな時は?
ケアに気をつけて過ごしていても、傷あとトラブルは100%防げるものではありません。見た目の悪さやかゆみについて悩んでいる帝王切開ママは、実はたくさんいます。
傷あとが盛り上がってくるなどの症状は、ひとくくりに「ケロイド」と呼ばれがちです。しかし、実際はさまざまな治療法から効果を得られる「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」という状態である場合が多いです。まずは産後健診の際に相談したり、かかりつけの産婦人科、形成外科、皮膚科に気軽に相談してみましょう。
肥厚性瘢痕は、赤く盛り上がって引きつれや痛み、かゆみを伴うものです。この場合、軟膏や絆創膏タイプの薬、場合によっては内服薬を処方されることもあります。
多くの肥厚性瘢痕は薬によって見た目やかゆみ等の症状が改善します。しかし、その治療を継続してもなかなか効果がない場合、そして他の正常な皮膚まで盛り上がってきた場合に「ケロイド」と診断されることがあります。
専門家でも肥厚性瘢痕とケロイドをはっきりと区別することは難しく、患者さんにわかりやすく伝えるためにどちらも「ケロイド」と表現されることがあります。そのため、治療が長引き、治りにくいといったイメージから不安に思うママもいるようです。でも、まずは早めの受診が一番。肥厚性瘢痕であれば一過性のものですから、前向きに治療に取り組んでみることをお勧めします。
3回の帝王切開。私の「傷歴史」
実は、私も帝王切開を3回経験していますので、山あり谷ありの傷あとの歴史をご紹介させていただきます。(あくまで体験談ですので、正しい対処法ではないことも記載しています。)
・1回目出産時
緊急帝王切開でしたが、横切開で吸収糸(溶けるため抜糸が要らない糸)での縫合でした。手術後の傷あとはとてもかゆかったのですが「こういうものなんだろうな」と思い込み受診もせず、よく傷あとを掻いていました。その結果・・・傷あとは真っ赤に盛り上がって、1年経っても目立っていました。
・2回目出産時
2回目の帝王切開のため、予定帝王切開。同じく横切開で吸収糸での縫合でした。1回目と同じ産院だったため、傷あとやかゆみについて事前に相談をしました。先生からは「かゆい場合の薬があるから早く受診してくれたら良かったのに・・・掻いたことでここまでの状態になってしまったんでしょうね。今回の出産時にこの赤い部分は切り取って、退院時に傷口用の薬を出すから、しばらく塗って過ごしてね。」と言われました。
実際に、手術時に赤い部分は切り取られ、新しくきれいな傷ができました。処方された通りに薬を塗っているとかゆみは起きず、盛り上がったり、赤くなることもありませんでした。この時が、最も傷あとがきれいな時期となりました。
・3回目の出産時
予定帝王切開でしたが、妊娠経過が良くなかったため、施設の整った病院へ転院して出産。横切開でしたが、非吸収糸での縫合でした。切開の傷あとはきれいに落ち着きましたが、縫合して抜糸した箇所が、腫れたり膿んだりしました。一般的に、非吸収糸は傷あとが残りにくいと言われていますが、私の場合は2カ所だけ化膿などのトラブルがありました。
医師の指示通り、初めは薬でかゆみを抑え、その後はテープで保護しました。4年経った今は切開の傷あとが薄く、1本と膿んだ2カ所のあとが残っていますが、さほど目立ちません。掻かずに保護したことが功を奏したように思います。
まとめ
おなかの傷は赤ちゃんを命がけで生んだ勲章なのに、厄介な傷あとトラブルによって煩わしく感じてしまうのは少しもったいない気もします。
帝王切開後、約3カ月のケアを行うことが必要になりますが、その中で、かゆい、つっぱる、傷あとが赤い、ヒリヒリする、このような症状が出始めたら、早めに受診し、医師に相談をしましょう。
傷あとをきれいに治すためには、早めのケアが鍵になります。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー