【我が子とケンカをした夜に・・・】
2007年と2009年に無痛分娩を経験した一男一女のママです。
思春期を迎えた我が子らとは口喧嘩をすることもしばしば。「言い過ぎたかな」と後悔した時は彼らが生まれた時のことを思い出すようにしています。
今回は当時の無痛分娩とその前後において後悔したことに考えが及びました。
【自分の年齢とも向きあう】
私の場合は、結婚して5年以上経過し「高齢出産」と言われる年齢に達していましたので、2005年に稽留流産を経験したことで、まず「もっと早く妊活に取り組めば良かっただろうか」という後悔がありました。
悲しすぎて集中力を切らしてしまい、仕事で軽いケガをしてしまうほど落ち込んだものです。ですが、幸いにも翌年、再び妊娠できまして「今度こそ!」と思い慎重にもなっていました。
流産の処置をしてもらった病院にそのまま通院し主治医の女医さんとも受診のたびに沢山話をし、心構えやリスクに関しても教えてもらいました。こちらの産院では数回の母親学級と立ち会い希望のパパのための両親学級がありましたので、妊婦さんは母親学級で1回、両親学級で1回計2回無痛分娩に関しての話を聞いて検討することができました。
主治医が勧める分娩方法は「計画無痛分娩」でしたが、自分で慎重にと思っていながらも私の希望は「自然分娩を一度経験してみたい」でした。結局、予定日に降りてこなかったこと、大きめに育っていること、もう一人の女医さんに「何時間かかるかわからない初産の陣痛に苦しむことがほとんどないし、体力は産後に嫌でも使うことになるから(笑)」と猛プッシュもあり、部屋が空いていることを確認し日曜日に退院できることになり、逆算した計画無痛分娩になりました。もちろんその前に破水すれば「自然分娩する気は満々」でした。
「ここまで順調に育ってくれたのだから、分娩方法はどちらになっても後悔はない。それより早く赤ちゃんに会いたい」という気持ちの方が強かったです。
【分娩時間と赤ちゃんの大きさと分娩方法は関係ない?】
無事に無痛分娩で「もう少しで4キロ?!」というビッグベイビーを産んだ直後の私は「無痛分娩で安産できたと思いましたが、最後は変な声が出ちゃいましたね」と切開部分を縫っている主治医の先生に話したところ
「あなた、何を言っているの。あなたは難産を頑張って乗り切ったのよ。無痛分娩だとね、感じ方は人それぞれだけどあまり痛みを感じることなく産むことはできるの。だけど痛みが少ないからいきむ力を出し切れないことがあるし、お産そのものはあなたの赤ちゃんのように、へその緒が首に絡まっていて出てこられなくて吸引分娩になることがあるのよ。2か所切開しても少し割けてしまったから、丁寧に縫うから時間をちょうだいね。頭の大きな赤ちゃんを産んだあなたは全力で頑張ったのよ。授乳が始まればまた忙しくなるのだから、今はリラックスして休んでね」と言われました。
私は6時間半程度で引っ張って出してもらったくらいなので「てっきり無痛分娩で安産♪」なんてお気楽に考えていましたので、想定外の返事と労いの言葉をいただけて急に号泣していました。
2009年の2回目の出産は、上の子を義実家に預けることや基本全個室など、利便性を重視し産院を変えました。1回目と同様に立ち会い分娩を希望して「楽しいお産」を期待しワクワクしながら夫婦で臨んだのですが、詳細は伏せることにして主人が後悔することが多々ありました。
2回目も無痛分娩を選んだ私は、お産までの流れやスタッフさんの動きやかけてくれる言葉の違いに戸惑いと焦りを感じましたが1回目と同じ時間帯で痛みもそれほど感じることもなく出産することができましたので、無痛分娩での後悔はなく、その病院を選んだことを夫婦で後悔しました。
3回目は年齢的に間に合わずでしたが「孫を迎えるときの産院選びはしっかりやろう」と今でも夫婦で話します。
【お友だちにも聞いてみたら】
私の経験談のまとめとしては、無痛分娩ということでの後悔は全くありませんでした。吸引分娩でも出てこなかった場合は、即、帝王切開に移れるメリットもありました。私もあと少しで帝王切開となる状況でした。
私の経験談だけではなく、全国に散らばるお友だちの中で無痛分娩経験者の数名にも聞いてみたところ、「無痛分娩で後悔することなんてないでしょう」と笑い飛ばすママも、「むしろ無痛分娩という選択肢があることで、赤ちゃんを産む痛みに対する恐怖心を緩和できることは少子化対策の一助になるのでは?」と社会に一石を投じるような意見も、「強いて言えば、最後にいきむときの力が足りなかったから私は吸引分娩になって出てきた赤ちゃんの頭がとんがっていたことくらいかしら。でも退院までに頭は丸く戻ってきましたよ。やっぱり後悔はないですね(笑)」と私とほぼ同じような経験と感想を持ったママもいました。
「1人目が自然で想像以上に痛すぎて、2人目で無痛分娩にしました。後悔なんて一つもありませんでしたよ。3人目もやっぱり無痛分娩にします!」と自然分娩との比較を3人目がおなかにいながらも質問に答えてくれたママも。
「体力の回復が、こんなに軽くて早くて良いの?という実感でしたから無痛分娩で後悔する人なんていないのでは?」という意見も多かったです。
私は産後の回復は遅かったように思いますが、そこは麻酔の有無はあまり関係ないようです。「痛み以外のことに気が回せたし、もう一人欲しいと思うことができたし、後悔はゼロ」「痛みがないことで分娩そのものを楽しめました」「麻酔が切れた後の後陣痛が苦しかったけれど赤ちゃんを見て痛みは和らぐし後悔する必要が無い」「長時間に及んだが、陣痛の痛みが少なくて体力的に楽な出産だったと思う」など、全員一致で「無痛分娩で後悔は無し」でした。
ふと寝顔を見ると「やっぱり天使だなぁ」と思いました。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー