無痛分娩の後悔をなくす3つのポイント|体験談も交えて解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「無痛分娩は本当に痛くない?」
「あとから後悔することはないのかな?」
「どんなリスクがあるか知っておきたい…」
出産の痛みへの不安から無痛分娩を検討している人は多いでしょう。
実際に医療法人森永産婦人科が行った調査によると、無痛分娩を選択した人のうち「7割以上」が痛みの軽減を目的としており、そのうちの「約9割」が満足しているという結果も報告されています(※1)。
しかし正しい知識や理解がなければ、期待とのギャップから後悔につながることも。
そこで本記事では「無痛分娩で後悔しないために確認すべきポイント」を解説します。
これらの情報を知っておくことで、あなたに合った選択ができ、安心して出産に臨めるようになりますよ。
(※1)出典:PR TIMES|医療法人森永産婦人科「【無痛分娩をして満足している方は9割以上】無痛分娩をして良かったことやハードルになったことを調査」
無痛分娩の後悔をなくす3つのポイント
無痛分娩は出産時の痛みを軽減する選択肢ですが、さまざまな理由で後悔を感じる人も。
そのため以下の3つのポイントは、前提として確認しておきましょう。
- 完全な無痛ではない
- 麻酔による副作用の可能性
- 異常分娩の可能性
順番に見ていきましょう。
ポイント1:完全な無痛ではない
無痛分娩を選択する人のなかには「出産の痛みを感じなくて済む」と考える人もいますが、実際には無痛分娩は出産の痛みがまったくないわけではありません。
あくまで和らげるための方法にすぎないのです。
医療機関で行われる麻酔が効き始める前までは子宮の収縮による痛み(陣痛)を感じますし、赤ちゃんを産む最終段階では、力を入れる際に多少の痛みを感じる可能性もあります。
痛みの感じ方は人によって大きく異なり、麻酔の効果が予想したほど感じられないケースも。
「無痛」という表現から完全に痛みがないと思い込んでしまうと、理想と現実のギャップに失望してしまう例も少なくありません。
産科医や助産師から正確な情報を得て、現実的に考えることが分娩に向けての心の準備として大切です。
予想外の痛みや不快感に直面して「想像していたのと違う」と感じてしまうと、自分が選んだ出産方法への後悔に結びつきやすくなります。
ポイント2:麻酔による副作用の可能性
無痛分娩では背中から薬を注入する「硬膜外麻酔」を使用するため、さまざまな副作用が生じる可能性があります。
起こる可能性のある副作用として、以下のような症状があげられます(※2)。
副作用 |
割合 |
足の感覚が鈍くなる |
ほとんどの人に起こる |
尿が出しにくくなる |
ほとんどの人に起こる |
かゆみ |
約30% |
低血圧 |
約15% |
熱が出る |
約10% |
強い頭痛 |
約1% |
麻酔薬による中毒 |
約0.02% |
これらのリスクや副作用ついて、十分に理解していないと無痛分娩を選んで後悔してしまう場合もあるでしょう。
(※2)出典:群馬大学医学部附属病院「無痛分娩について」
ポイント3:異常分娩の可能性
自然分娩に比べて無痛分娩は麻酔などの投薬を行うため、異常分娩のリスクが高まります。
- お産を促進する薬(陣痛促進剤)の使用
- 赤ちゃんを出産しやすくする道具(鉗子や吸引カップ)
を使った出産が必要になるケースが増加する傾向も。
麻酔の影響で子宮の筋肉の縮む力が弱まり、出産時間が長引くことがあるためです。
産後に「もっと自然な形で赤ちゃんを産みたかった」と感じる場合もあります。
また麻酔によって出産の感覚が部分的に鈍るため、赤ちゃんが生まれる貴重な瞬間の実感や達成感を十分に味わえなかったと感じる人も見られます。
自然分娩で味わえる「自分の力で産み切った」という充実感を大切にしたい場合は、無痛分娩を選んだことで後悔を感じる可能性も考えられるでしょう。
無痛分娩のよい面と課題をしっかり理解したうえで、自身に合った出産方法を選ぶことが何よりも大切なのです。
【体験談】無痛分娩に後悔はなかった話

実際に、無痛分娩を経験した人の意見を見てみましょう。
私は初産で、無痛分娩を選択しました。
出産後に担当医から、
「あなたは難産を頑張って乗り切ったのよ。無痛分娩だとね、感じ方は人それぞれだけどあまり痛みを感じることなく産むことはできるの。だけど痛みが少ないからいきむ力を出し切れないことがあるし、お産そのものはあなたの赤ちゃんのように、へその緒が首に絡まっていて出てこられなくて吸引分娩になることがあるのよ。2か所切開しても少し割けてしまったから、丁寧に縫うから時間をちょうだいね。頭の大きな赤ちゃんを産んだあなたは全力で頑張ったのよ。授乳が始まればまた忙しくなるのだから、今はリラックスして休んでね」
と言われました。
私は6時間半程度で引っ張って出してもらったくらいなので「てっきり無痛分娩で安産だった」と気楽に考えていましたので、想定外の返事と労いの言葉をもらって急に号泣してしまいました。
そして2回目の出産も無痛分娩を選択。
1回目と同じ所要時間で痛みもそれほど感じることもなく出産することができましたので、無痛分娩での後悔はありませんでした。
無痛分娩に関するQ&A
ここでは無痛分娩について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

陣痛は赤ちゃんが産まれる為に必要な力であり、いきみやすくするために感覚を残すなど、痛みを調整することがあります。
また痛みの感じ方は個人差も大きいです。

そのため、赤ちゃんの産声を聞くことができます。

無痛分娩によって痛みのコントロールがされることで、体の緊張がやわらいで会陰が伸びやすくなり、会陰切開の確率は低くなると言われています。
しかし無痛分娩では、分娩時間が長くなったり、いきみにくいなどの理由から、医療介入が必要となる可能性があることも考慮しましょう。
まとめ
無痛分娩は出産時の痛みを軽減する選択肢として人気がありますが、正しい理解がなければ後悔につながることもあります。
無痛分娩を選択する前に、確認すべきポイントは以下の3点です。
確認ポイント |
内容 |
完全な無痛ではない |
麻酔が効くまでの陣痛や最終段階では痛みを感じる場合もある |
麻酔による副作用 |
足の感覚鈍化、排尿困難、かゆみなどの症状が生じることも |
医療介入の増加 |
陣痛促進剤や鉗子・吸引分娩が必要になるケースが増える |
無痛分娩は「出産の痛みを和らげる方法」であり、完全に痛みをなくすものではありません。
また麻酔の影響で「自分の力で産み切った」という達成感を得られにくい場合もあるため、メリット・デメリットをしっかり理解したうえで、自分に合った出産方法を選ぶことが大切です。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー