二人目も帝王切開?推奨される2つの理由や経腟分娩のリスクも解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「一人目は帝王切開だったが、二人目も同じ出産方法になるのだろうか」
「二人目は経腟分娩で出産したい」
上記のように考えている人もいるのではないでしょうか。
結論として、かならずしも二人目が帝王切開になるわけではありません。
しかし、二人目も帝王切開になるケースは多い傾向にあります。
この記事では、一人目を帝王切開で出産した人に向けて、
・二人目も帝王切開が推奨される2つの理由
・二人目以降の出産方法
・帝王切開後の子宮破裂の確率と死亡率
といった内容を解説していきます。
この記事を読むと、二人目以降の出産方法の選択肢がわかるようになりますよ。
二人目も帝王切開が推奨される2つの理由
母体と胎児の安全を最優先に考えたとき、二人目も帝王切開が推奨される場合が多いのです。
具体的な理由は以下のとおり。
・子宮破裂のリスクがあるため
・一人目帝王切開時と身体的な条件が同じであるため
順番に見ていきましょう。
理由1:子宮破裂のリスクがあるため
経腟分娩の場合、子宮に強い収縮が起こり大きな負担がかかりやすくなるため、手術痕が裂けてしまう「子宮破裂」のリスクがあります。
一人目を帝王切開で出産している場合、子宮には傷痕が残っており、強度が弱くなっているためです。
子宮破裂が起こると、胎児が子宮外に出てしまったり、母体が大量出血を起こす可能性があるため、母子の命に関わるケースも。
さらに前回の手術から期間が短い場合は、傷跡の回復が不十分で子宮破裂のリスクが高まります。
具体的には、川崎医科大学附属病院が公表している資料によると、帝王切開後から次の妊娠まで「1年半」あけるべきといわれています(※1)。
(※1)出典:川崎医科大学附属病院「退院後の生活について」
理由2:一人目帝王切開時と身体的な条件が同じであるため
前回の出産で帝王切開が選択された理由として、
・骨盤が狭い
・子宮に形態異常がある
・骨盤の形状が経腟分娩に適していない
などの身体的な問題だった場合は、二人目も帝王切開になるでしょう。
二人目の出産時も条件は変わらないため、帝王切開が推奨されます。
二人目以降の出産を帝王切開以外で考える人は増えている
2人目以降の出産を経腟分娩で行うことを「TOLAC(trial of labor after cesarean section)」といい、その割合は増えています。
これまでの研究や症例の蓄積により、安全性が向上しているためです。
実際に、日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院でのTOLAC件数は、2010年以降増えていると公表されています(※2)。
しかしながら、TOLACの成功率は「約60~80%」といわれており、
・子宮破裂の発生
・分娩が進まない状況になった
・母子の状態悪化
などによって、最終的に帝王切開へ切り替えられるケースがあるのです(※3)。
ただしTOLACの成功率は、
・肥満度
・母体の年齢
・経腟分娩歴の有無
・前回帝王切開の理由
などで異なります。
TOLACを検討する際は医療機関で相談して、リスクを理解したうえで判断しましょう。
(※2,3)出典:日本赤十字社愛知医療センター名古屋第一病院「TOLAC(既往帝切後妊娠の経腟分娩トライアル)を検討中の皆様へ」
帝王切開後における子宮破裂の確率と死亡率
子宮破裂の確率については、帝王切開既往のある妊婦の「0.2〜0.7%」が発症するといわれています(※4)。
万が一、子宮破裂が起きた場合の死亡率としては、済生会新潟第二病院が発行している資料によると、母体の死亡率は「1%」胎児の死亡率は「50%」と言われています(※5)。
とくに赤ちゃんへ大きな影響があることがわかります。
出典:
(※4)京都大学 医学部附属病院 医療安全管理室「今までに帝王切開を受けたことのある妊婦さんへ」京大病院 説明文書 産婦人科 既往帝切後妊娠(輸血同意書含)第3.0版 210610
(※5)済生会新潟第二病院 産婦人科「へその緒通信」第128号(平成25年3月)
帝王切開に関するQ&A
ここでは帝王切開について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


2人目以降のご出産の場合、ご本人のご希望があり母ともに健康状態に問題なければ、6日目に退院が可能な産院もあります。

帝王切開は子宮の筋肉の一部を切って、赤ちゃんを取り出してから子宮の壁を糸でつなぎ合わせる手術ですが、まれにつなぎ目のところがへこみ、その部分に血液が溜まることがあります。
溜まった血液や頸管粘液が子宮腔に流入することで、受精卵が着床しにくくなることがあります。
生理と別の日に出血がある、だらだらと茶色い出血が続くといった症状がある場合に「帝王切開瘢痕症候群」を疑います。

切開による痛みは一人目と二人目で違いはありませんが、後陣痛は経産婦の方より強くなる傾向があります。
理由としては、初産婦のときより子宮が大きくなることと、子宮を元に戻す子宮収縮の力が強くなることで、より後陣痛の痛みを強く感じやすくなるためです。
まとめ
一人目の出産が帝王切開だった場合、二人目は必ずしも帝王切開になるわけではありませんが、推奨される傾向にあります。
おもな理由は以下の2点です。
・帝王切開後の子宮に手術痕が残ることによる子宮破裂のリスク
・骨盤が狭いなどの身体的条件が二人目でも変わらないこと
しかし医学的な研究データの蓄積によって安全性が向上したため、帝王切開後の経腟分娩(TOLAC)を選択するケースも増加しています。
TOLACの成功率は約60〜80%とされていますが、母体の状態や個人によって異なります。
ただし子宮破裂のリスク(0.2〜0.7%)は存在し、発生した場合の胎児死亡率は50%と報告されています。
二人目の出産方法を検討する際は、これらのリスクを理解したうえで、医療機関で相談しながら判断することが重要です。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
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- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
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実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

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国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

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この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー