両親学級とは
時代の流れと共に、出産・育児を女性のことではなく、夫婦のことと考える人たちが増えてきました。イクメンという言葉も流行しましたよね。最近は、妊婦さんを対象とした母親学級ではなく、両親学級を開催しているところも多くなってきています。
両親学級とは、妊婦さんとパートナーが一緒に妊娠・出産・育児について学んだり、赤ちゃんのお世話を体験したりする場で、自治体、病院や産院、民間企業などが主催しています。医師、助産師、看護師、保健師、管理栄養士といった専門家から直接アドバイスを受けることができ、不安なことがあれば相談することもできます。
立ち会い出産が増えてきていることもあり、積極的に両親学級に参加する男性の姿も多く見られるようになってきています。平日の開催では仕事で都合がつかないという人のために、土・日・祝日にも開催されていたり、会社帰りに立ち寄れる夜間から開催する両親学級もあります。
両親学級の目的とは
おなかで赤ちゃんが育っていく女性に比べ、男性は父親になる実感が湧きにくいといわれています。二人で同じ気持ちで出産・育児に臨むために、両親学級では男性の妊娠・出産・育児への理解を深め、父親になるための自覚を促すことを目的としています。
妊婦さん自身が妊娠・出産・育児を経験する上で必要な知識を身につけることが母親学級の目的であるのに対し、妊娠・出産・育児という家族にとっての大きな出来事に夫婦で協力して取り組んでいくために必要な知識を身につけることが両親学級の目的です。
両親学級で学ぶこととは
両親学級では具体的にどのようなことを学ぶのか、ご紹介していきましょう。
①妊婦体験
両親学級では妊婦体験専用のジャケットやベルトなどを装着して、男性も妊婦さんの疑似体験をすることができます。男性が妊婦さんの感覚を体で体験することによって、女性の辛さや気持ちをより理解することを目的としています。
②妊娠・出産・育児
両親学級では、妊娠・出産・育児について、詳しく学ぶことができます。男性も妊娠・出産・育児について学び、必要に応じてサポートできるようになることを目的としています。
二人で一緒に学ぶことで、男性が自分に出来ることは何かを考えるきっかけにもなりますし、妊婦さんにとっても、パートナーと妊娠中の不安や悩みを共有できるというのはとても心強いことです。
妊娠・出産・育児に関しての情報は膨大で、主催者や妊娠期によって内容も様々です。まずは興味のあるものや特に知っておきたいことを二人で話し合い、選んで参加してみると良いでしょう。
・赤ちゃんのお世話体験
女性は入院中に助産師や看護師から赤ちゃんのお世話を教わることができますが、男性にはなかなかその機会がなく、赤ちゃんが自宅に戻った後に初めてお世話をするということも少なくありません。
出産前に両親学級に参加し、赤ちゃんのお世話を体験しておくことで、退院後すぐに赤ちゃんのお世話を二人で協力して始めることができます。
両親学級では赤ちゃんのお人形を使って抱っこ、おむつ交換、着替え、沐浴などの体験実習を行います。実際に手を動かしてみると、赤ちゃんのお世話の難しさを実感することになりますが、体験することで自信がついたという方も多いようです。
この体験を通して、男性が赤ちゃんのお世話を積極的に行うことが出来るようになることを目的としています。
・陣痛から出産までの流れ
陣痛が起きたときの対処法、入院までの流れ、立ち会い出産の心構えなどを学びます。出産の際に男性が女性をサポートできるようにすることを目的としています。
出産をするのは女性ですが、男性にもできることがあります。マッサージ、痛いところを押す、一緒に呼吸法を実践する、汗を拭いてあげる、飲み物を飲ませてあげるなど、陣痛から出産までに男性ができる補助動作を具体的に学びます。
特に立ち会い出産をする場合は、陣痛から出産までの流れをきちんと理解し、出産の時に男性がどんな補助をすれば良いのか、二人で話し合っておきましょう。
オンラインで開催される両親学級も
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、対面での両親学級が中止になっている自治体や産院もありますが、最近ではオンラインでの開催も増えてきました。
また、動画配信サービスを使って、オンライン両親学級を配信している自治体や産院もあります。動画はいつでも気軽に見られるというメリットがあります。さらに、企業が実施しているオンライン両親学級、企業や個人が行っている動画配信などもあります。
両親学級の形も時代に合わせて多様化してきています。ご夫婦のライフスタイルに合わせて、オンライン両親学級に通ったり、動画を視聴したりするのも良いかもしれません。
両親学級は家族の始まりの第一歩
両親学級は参加することだけが目的ではありません。その後、長く続く家族の絆を作る始まりの第一歩です。両親学級をきっかけに二人でどんな家庭を築いていきたいか、ゆっくり話し合ってみても良いかもしれません。
何よりも大切なのはお互いを思いやる気持ちです。妊娠・出産・育児のことを二人で学べる両親学級、ぜひ参加してみてくださいね。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー