おなかのかぜ~ウイルス性胃腸炎~、 脱水症状と家庭内感染にも注意が必要です

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

ウイルス性胃腸炎は、「おなかのかぜ」、「はきくだし」、「嘔吐下痢症」等と呼ばれることもあります。
特に寒い季節に、発熱や突然の嘔吐の症状が出ましたら、「ウイルス性胃腸炎」の可能性もあります。
お子さまが、もし感染されてもご不安が軽減されますよう、詳しく解説させていただきます。

ウイルス性胃腸炎の原因は?

原因は、ノロウイルス、ロタウイルスなどがあります。
感染経路は、感染者の嘔吐物や便を触った手やその手で触れたものを介して口に入り感染します。また嘔吐物が乾燥し、そこからの微粒子が空気を介して口から感染します。

以下、原因ごとに詳しく見ていきたいと思います。

ノロウイルスによるウイルス性胃腸炎の場合

熱がでて、突然の嘔吐、腹痛や下痢の症状が出ます。ノロウイルスによる胃腸炎は、11月ころから増え始めて、12月から1月にかけて流行のピークを迎えます。感染力が強く、少量でも感染します。比較的軽い症状で済むことが多く、自然に回復を待つことになります。
下痢と嘔吐がある場合は、脱水症状に注意して安静に過ごしましょう。
また、家庭内感染を予防するため、こまめに石鹸で手を洗うなどしてください。

1968年に米国のオハイオ州ノーウォークという町の小学校で集団発生した急性胃腸炎の患者のふん便からウイルスが検出され、発見した土地の名前を冠してノーウォークウイルスと呼ばれるようになりました。

1972年に、電子顕微鏡下でこのウイルスの形態が明らかにされ、ウイルスの中でも小さく球形をしていたことから「小型球形ウイルス」と考えられるようになりました。さらに、このウイルスの遺伝子を調べると「小型球形ウイルス」には、ノロウイルス属、サポウイルス属の分類があることが2002年の国際ウイルス分類委員会(ICTV)で分類されました。

ロタウイルスによるウイルス性胃腸炎の場合は?

コメのとぎ汁のような白っぽい下痢便(※1)が出るのが特徴で「白色便性下痢症」とも呼ばれています。激しい嘔吐と長い下痢が続きます。嘔吐はなく、下痢だけということもあります。このような症状は、4~5日程度、長い時で一週間程度続き、1~2日発熱を伴うこともあります。ロタウイルスが原因のウイルス性胃腸炎の場合も、非常に感染力が強いです。家庭内感染予防の観点から、こまめな手洗い等を行ってください。
激しい下痢と嘔吐によって急速に脱水症状が進むことがありますので、ノロウイルス同様、脱水症状を防ぐことが大切になります。

※1 白っぽい下痢便
白色の下痢便は、ロタウイルスによる胃腸炎の診断の決め手となりますので、小児科受診前にこの症状がありましたら、スマホのカメラ機能などで撮影して医師に見せれるようにすると良いと思います。

ウイルス性胃腸炎の治療は?

ロタウイルスに効果のある抗ウイルス薬はないため、自然な回復を待つことになります。脱水予防と、下痢に対する対症療法を行います。脱水症の心配があるときは点滴を行うことがあります。
嘔吐が1日以上続くときや下痢が長引くときは再受診しましょう。

脱水症状を防ぐためのホームケア

~どのような飲み物・食品がよいでしょうか?~

・湯冷まし
・麦茶
・赤ちゃん用飲料
・乳幼児用の経口補水液
・おもゆ、おかゆ
・うどん
・とうふのすり流し
・野菜スープ

水分は一度に沢山飲ませようとすると、吐いてしまうかもしれませんので、少量をこまめに数回に分けましょう。
湯冷ましや麦茶には、水1リットルに対して塩2gを加えて、体の電解質を補うのもおすすめです。

~避けた方が良い飲み物・食品は?~

・柑橘系のジュース
・牛乳
・冷たいもの
・乳製品
・甘い物
・繊維質の多い野菜・キノコ類

おむつかぶれにも注意です!

下痢の時は、おむつかぶれも起きやすいです。おむつ替えはこまめに、またシャワーでこまめにおしりを洗って、しっかり乾かしましょう。
ただれているときは、ワセリンやベビーオイルを塗りましょう。または、おむつかぶれのことを小児科に相談すると塗り薬を処方してくださいます。

さいごに

下痢や嘔吐など、赤ちゃんの苦しそうな様子をみると、ママ・パパも辛くとても心配になると思います。
そんな時は、下痢や嘔吐を「細菌やウイルスを体外に排出するための体の反応」とまずは捉えてみてはいかがでしょう。そのうえで、下痢と吐き気が起こった時は、脱水症状への対応が鍵になってきますのでご紹介したホームケアを実践してみてください。さいごに、お子さまのケアでママ・パパにも疲れがたまりませんよう、ご家族みなさま無理なく、栄養をとってください。
お子さまの健やかなご成長をお祈りしております。

 

参考文献

北村享俊『すぐに引ける子どもの病気がわかる事典 小児科の専門医が、子どもの症状に応じて診断』成美堂出版、2004年8月10日

細谷亮太『0~6才 赤ちゃん・子ども病気百科』主婦の友社、2008年1月19日

宮下守『症状からすべてわかる 子どもの病気の不安に答える本』講談社、2010年09月01日

横田俊一郎『NHKすくすく子育て 育児ビギナーズブック(2)病気』NHK出版、2010年2月26日

 

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー