<赤ちゃんに食べ物を与える時には注意が必要>
赤ちゃんは大人に比べて消化吸収能力や免疫機能が未熟なため、食べ物や飲み物を与える時には十分注意しなければなりません。食べ物の中には赤ちゃんの発達段階に応じて、食べさせて良い食べ物と与えてはいけない食べ物があります。いつからどんな食べ物を食べさせて良いのか、また赤ちゃんに与えてはいけない食べ物にはどんなものがあるのかを管理栄養士がわかりやすく解説します。
<5~6カ月頃から赤ちゃんに食べさせて良い食べ物>
離乳食が開始されるこの時期は、なめらかにすりつぶした状態の食べ物を与えます。最初はポタージュ状のトロトロから始め、慣れてきたら水分を減らしてケチャップ状にしていきます。繊維の多い野菜は裏ごしをしましょう。初めての食べ物は1日1種類までにし、必ず1さじから始めましょう。万が一具合が悪くなった場合に備えて、病院が開いている時間に食べさせると安心です。
・炭水化物
ごはん(つぶしがゆ)、じゃがいも、さつまいも、バナナ
・野菜・果物
ニンジン、かぼちゃ、ブロッコリー、玉ねぎ、キャベツ、白菜、ほうれん草、なす
かぶ、大根、トマト、りんご(すりおろす)、桃、メロン、いちご、みかん、ぶどう
・たんぱく源
豆腐(絹ごしから始める)、豆乳、きな粉、卵黄、しらす(塩抜きをする)白身魚(まだい、ひらめ、かれい)
<7~8カ月頃から赤ちゃんに食べさせて良い食べ物>
離乳食に慣れてきたこの時期は、舌でつぶせる固さの食べ物を与えます。離乳食は1日2回になります。米がゆ(7倍がゆ)、マッシュポテト、やわらかく煮てみじん切りにした野菜、角切りにした絹ごし豆腐などが適しています。パサつくお魚やお肉にはとろみをつけてあげましょう。卵白はアレルゲンになりやすいので、卵は必ず卵黄→全卵の順に進めます。
・炭水化物
パン(食パン、フランスパンをパンがゆに)うどん、そうめん、ひやむぎ、コーンフレーク(砂糖無添加)、オートミール、里芋、クリームコーン、はるさめ
・野菜・果物
オクラ、小松菜、アスパラガス、レタス、きゅうり、ピーマン、もやし、ねぎ、さやいんげん、グリンピース、のり、ひじき
・たんぱく源
生鮭(塩鮭はNG)、かつお、まぐろ、めかじき、ツナ水煮缶、高野豆腐、水煮金時豆、ヨーグルト(無糖)、カッテージチーズ、スライスチーズ、牛乳(調理用)、鶏肉(ささみ、むね肉→もも肉の順で)、ひきわり納豆、全卵(1日1/3個まで)
<9~11カ月頃から赤ちゃんに食べさせて良い食べ物>
この時期になると赤ちゃんの食事は1日3回になり、栄養の中心が離乳食になります。バナナくらいの固さの食べ物なら歯ぐきでつぶして食べられるようになります。赤ちゃんが自分の手でつかんで食べられるような「手づかみ食べ」のメニューも取り入れていきましょう。
・炭水化物
マカロニ、スパゲッティ
・野菜・果物
きのこ類、れんこん、たけのこ、ごぼう、わかめ
・たんぱく源
ぶり、たら、青魚(さんま、あじ、いわし、)、貝類(あさり、しじみ、ホタテ、カキ)、レバー、豚赤身肉、牛赤身肉、水煮大豆、
<12~18カ月頃から赤ちゃんに食べさせて良い食べ物>
1才を過ぎた赤ちゃんは前歯が生えそろい、奥歯も生え始めてきます。食べ物を前歯でかじり取り、歯ぐきや奥歯でつぶして食べられるようになります。炭水化物や野菜・果物はほとんどのものが食べられるようになります。少量の植物油やバター、カレー粉やマヨネーズ等の調味料も使えるようになり、メニューのバリエーションも増えます。調味前の大人の料理から赤ちゃんの分を取り分けると食事の準備が楽になります。
・炭水化物
中華蒸しめん
・たんぱく源
豚赤身ひき肉、牛豚合いびき肉、さば
<赤ちゃんに与えてはいけない・注意したい食べ物>
・そば
アレルギーのリスクが高い食べ物です。開始は1歳半を過ぎてからにし、初めて与える時には慎重に少しずつ食べさせてください。体調の良い日の午前中に食べさせるようにしましょう。アレルギーは食べて2時間以内に発症することが多いので、何かあったときにすぐに病院に行けるタイミングで食べさせるようにしましょう。近親者にそばアレルギーの人がいる場合は医師に相談しましょう。
・ナッツ類
かみ砕けずに誤って器官に入る事故が多い食べ物です。また、アレルギーのリスクも高い食べ物です。4才ぐらいから大人の目の届くところで食べさせるようにしましょう。
・甲殻類(えび・かに)
えびやかにはアレルギーのリスクが高い食べ物です。試すなら1才半以降に新鮮なものをよく加熱して、ごく少量を赤ちゃんの体調を見ながら慎重に与えてください。
・軟体類(イカ・タコ)
イカやタコは赤ちゃんには固い食べ物なので、与える場合にはやわらかくなるよう調理してください。無理に離乳食に使わなくても良いでしょう。
・刺身、お寿司(生魚)
赤ちゃんに生ものを食べさせるのは厳禁です。生ものはアレルギーの原因になりやすく、細菌の感染や寄生虫の心配もあります。必ずしっかり加熱してから食べさせるようにしましょう。イクラも生ものですので食べさせないでください。
・練り製品(ちくわ・かまぼこ)
原料は魚ですが、塩分や糖分、添加物が多く含まれます。1才を過ぎてからたまに少量を使う程度にしましょう。なお、魚アレルギーでも練り製品は食べられることがあります。
・肉加工品(ハム・ソーセージ)
塩分や添加物が多いのであまりお勧めはできません。与えるのであれば1才半以降になるべく無添加で低塩のものを選ぶようにしましょう。
・もち
のどに詰まらせる危険があるので、2歳頃までは食べさせないようにしてください。
・こんにゃく
弾力があり、赤ちゃんはかむことができません。誤飲の原因になるおそれがあるので食べさせないようにしましょう。
・はちみつ、黒砂糖
抵抗力の弱い赤ちゃんは、はちみつに混入しているボツリヌス菌で乳児ボツリヌス症を発症するおそれがあります。予防のために満1才までは使わないようにしてください。黒砂糖にもボツリヌス菌が混入している可能性がありますので、使用は1才を過ぎて抵抗力がついてからにしましょう。
・ごま
誤飲事故のリスクが高い食べ物なので気をつけましょう。とろみのついた料理に混ぜ込んだり水分で湿らせたりすれば使うことができます。頻度は少ないですが、アレルギーにも注意が必要です。
・漬物
塩分量が多い漬物は赤ちゃんには食べさせないようにしましょう。
・冷凍総菜、レトルト食品
塩分や脂質が多く含まれているものもあり、添加物も気になります。1才半以降に少量をごくたまに食べさせる程度にとどめましょう。赤ちゃん用に作られた減塩・無添加のものであれば食べさせても大丈夫です。
・市販おやつ
大人が普段口にしている市販のおやつは赤ちゃんのおやつには適していません。赤ちゃん用を選ぶようにしましょう。
・飲み物
生水や糖分の多いジュース類は与えないようにしましょう。市販品を購入する場合には必ず赤ちゃん用にしましょう。
<まとめ>
赤ちゃんに食べさせて良い食べ物・与えてはいけない食べ物についておわかりいただけたでしょうか。食べ物は人間の体を作る大事な材料です。近年では小児生活習慣病にかかる子、肥満症の子が増加してきています。大切な赤ちゃんのために適切な時期に適切な食べ物を与えましょう。また、安心安全な食べ物を選ぶように心がけましょう。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー