国内初となる脳性麻痺に対する自家臍帯血投与の臨床研究について高知大学が論文を発表しました
- 論文タイトル
Safety and feasibility of autologous cord blood infusion for improving motor function in young children with cerebral palsy in Japan: A single-center study
Hiroaki Kikuchi, Shiho Saitoh, Terumasa Tsuno, Rina Hosoda, Nobuyasu Baba, Feifei Wang, Naomi Mitsuda, Masayuki Tsuda, Nagamasa Maeda, Yusuke Sagara, Mikiya Fujieda
- 臨床研究の名称
小児脳性麻痺など脳障害に対する自家臍帯血単核球細胞輸血
-細胞バンクで保管されている自家臍帯血単核球細胞を用いた輸血の安全性研究-
*臨床研究計画は、臨床研究等提出・公開システム(jRCT)でご確認頂けます。
(臨床研究実施計画番号: jRCTb060190039 https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTb060190039 )
- 概要
第Ⅰ相臨床研究
研究参加者:6名(虚血性脳症2例、脳室周囲白質軟化症2例、胎内脳梗塞・脳出血2例)
研究参加者年齢:1.7歳~6.7歳
投与細胞:ステムセル研究所で保管された自家臍帯血由来の単核球
投与細胞数:0.029 ~ 2.5×107 個/kg(CD34陽性細胞 0.33 – 6.0×105 個/kg)
- 結果
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- 安全性及び臨床応用の実行性が確認された。 重篤な有害事象/バイタル/症状/血清検査値/尿検査値に変化は認められなかった。2例において一過性の有害事象が確認された。(投与12ヵ月後の微量血尿と上気道感染及び投与9か月後の上気道感染と熱性痙攣)
- 運動機能の改善の可能性が示された。 全例で、粗大運動機能評価GMFM-66のスコアが向上した。(投与前ベースラインとの比較:1年後+5.0±3.3、2年後+6.8±4.2、3年後+9.5±4.7)被験者のGMFM-66スコア変化は、重症度別に想定されるスコア変化よりも大きかった。(脳性麻痺重症度に想定されるスコアとの比較(中央値):1年後+6.8、2年後+6.2、3年後+5.5)GMFM-66スコアの変化と投与細胞数には相関は認められなかった。
- 発達機能の改善の可能性が示された。 新版K式発達検査では、3例で総合スコアおよび言語社会性のスコアの向上が認められた。WICS-Ⅳ発達検査では、1例で言語理解、知覚推論および作業記憶のスコア向上が認められた。新版K式発達検査の言語社会性及びWICS-Ⅳスコアの変化と投与細胞数には相関は認められなかった。
現在、高知大学では、脳性麻痺に対する同胞(きょうだい)臍帯血投与の臨床研究を実施しています。
今後、自家およびきょうだいの臍帯血投与の有効性評価に関するさらなる臨床研究が計画されています。
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