妊娠初期はいつからいつまで?症状や過ごし方、注意点を解説

記事監修者:産婦人科医 土肥 聡 先生
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医

「妊娠初期って、いつからいつまで?」
「妊娠したかも…でも症状がよくわからない」
「妊娠初期に気をつけることは?」
このような疑問をもっているのではないでしょうか。
厚生労働省の資料によると、妊娠初期は「妊娠0〜13週」とされています。
しかし、妊娠初期は体調の変化も大きく、何に気をつければよいのか不安になることも多いですよね。
妊娠初期には特有の症状があり、適切な過ごし方や注意点を知ることが大切です。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期に現れるおもな症状
・妊娠初期を健康に過ごすための3つのポイント
・妊娠初期に避けるべき行動
この記事を読むと、妊娠初期を安心して過ごすための知識が身につきますよ。
妊娠初期は0~13週まで|妊娠週数の数え方
前述したように妊娠初期は「妊娠0〜13週」までです。
初めて妊娠を経験する人のなかには、妊娠週数の数え方がわからないという人もいるでしょう。
じつは、最後に生理があった日(最終月経の初日)を「妊娠0週0日」として計算を始めます。
つまり、実際に妊娠する前から週数のカウントが始まる計算方法なのです。
「自分で週数を計算するのはむずかしい…」と感じる人も安心してください。
厚生労働省が提供している自動計算ツールを利用すれば、簡単に計算できますよ。
また順天堂大学医学部附属静岡病院産婦人科の資料によると、妊娠4週未満の期間は「妊娠超初期」と呼ばれることもあります(※2)。
妊娠超初期とは、卵子と精子が出会って受精し、子宮内膜に着床するまでの期間であり、一般的な妊娠検査薬ではまだ陽性反応が出にくい時期です。
(※2)順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科「妊娠中の薬について」
いつから現れる?妊娠初期のおもな症状
妊娠初期には、つわりや食欲不振などさまざまな変化が現れます。
つわりの症状は妊婦さんの「50〜80%」に見られますが、症状の強さや現れ方には個人差があります(※3)。
一般的には妊娠「5週頃」から体に変化が現れ始めるでしょう(※3)。
おもな症状としては、以下のようなものがあげられます。
・微熱
・匂いに敏感
・眠気
・胃痛・胸やけ・吐き気
・胸が張る(乳房への違和感)
・風邪のような症状
・おりものの変化
・生理前のような精神状態
ただし、つわりの症状がほとんどない人もいれば、一日中吐き気がつづく人などもいるため、目安として考えておきましょう。
妊娠初期に現れる症状については、以下の記事でも詳しく解説しています。
(※3)出典:一般社団法人 千葉市医師会「妊娠中の消化器異常「つわり」」
妊娠初期を健康に過ごすための3つのポイント
妊娠に気付いたら、以下3つのポイントを意識して過ごすようにしてください。
・バランスの取れた食事と栄養管理
・感染症予防と体調管理
・適度な運動
順番に見ていきましょう。
ポイント1:バランスの取れた食事と栄養管理
妊娠初期は、胎児の健康な発育に必要な栄養素を十分に摂ることが大切です。
なかでも葉酸は、胎児の神経管閉鎖障害(二分脊椎、無脳症など)の発症リスクを低下させるため、妊娠前からの摂取が推奨されています。
葉酸は、
・緑黄色野菜
・豆類
・全粒穀物
に豊富に含まれているため、積極的に摂取しましょう。
また鉄分には、妊娠中の貧血を予防する役割があり、
・赤身の肉や魚
・豆
・ほうれん草
などから摂取可能です。
さらにビタミンDは、骨の形成と免疫に重要な栄養素で、
・魚介類
・卵
などに含まれています。
上記のような栄養素を取り入れるためにも、バランスの良い食事を心がけましょう。
ポイント2:感染症予防と体調管理
妊娠すると免疫力が低下するため、感染症への注意が必要です。
・マスクの着用
・手洗いやうがい
などの基本的な感染予防対策を心がけましょう。
また妊娠初期は、市販薬の服用に注意が必要です。
薬の中には胎児に影響を与える可能性があるものもあるため、服用の際は必ず医師に相談しましょう。
妊娠がわかったら、かかりつけの産婦人科医を決め、定期的な健診を受けてください。
体調の変化や不安な症状がある場合は、すぐに医療機関に相談することが大切です。
ポイント3:適度な運動
妊娠初期の適度な運動は、心身の健康維持や出産に向けた体力づくりに効果的です。
また血流を改善し、ストレスを軽減する効果があります。
たとえば、
・ウォーキング
・水泳
・妊婦向けのヨガ
などの軽い運動を行うとよいでしょう。
ただしつわりなどにより体調が安定しない時期でもあるため、競争を伴うような激しい運動は避け、医師に相談しながら行ってください。
妊娠初期に避けるべき行動
妊娠に気付いたら、以下のような行動は避けるようにしましょう。
以下の表は、妊娠中に控えるべきおもな行動とその影響をまとめたものです。
行動 | 影響 | 備考 |
喫煙 | ・血管収縮による胎児への酸素・栄養不足 ・流産や早産、低出生体重児リスク増加 |
受動喫煙も避ける |
飲酒 | ・ 胎児性アルコール症候群のリスク ・ 発達遅延や精神発達への悪影響 |
完全な禁酒が必要
少量でも安全域は不明 |
カフェイン過剰摂取 | ・ 摂取量増加で流産リスク上昇 ・ 胎児発育不全の可能性 |
「200~300mg/日」以下
(コーヒー2杯まで)(※4) |
(※4)出典:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
妊娠初期に関するQ&A
ここでは妊娠初期について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


主な原因は胎児の染色体異常であり、妊婦さんが生活で気を付けていても避けられないことがほとんどです。

またビタミンAを多く含む食品やカフェインは摂り過ぎに注意しましょう。
アルコール飲料(極微量のアルコール(1%未満)を含む「ノンアルコール飲料」・アルコール度数が0.5%前後の「微アルコール飲料(微アル)」を含む)は避けましょう。

しかし、流産や異常の徴候の可能性もあるため、注意が必要です。
出血の量が多い、頻回に出血する、長く続いたりするなど、気になる症状がある場合には医師へ相談しましょう。
まとめ
妊娠初期は、母体と胎児の健康にとって重要な時期です。
つわりの症状として、
・胸が張る
・吐き気
・微熱
・匂いへの敏感さ
・眠気
などの症状が、妊娠5週頃から現れ始めます。
そこで妊娠初期を健康に過ごすためには、以下のポイントをおさえましょう。
ポイント | 内容 |
バランスの取れた食事 | 葉酸、鉄分、ビタミンDなどの栄養素を含む食品を摂取 |
感染症予防 | マスク着用や手洗いなどの基本的な感染予防対策を心がけ、定期的な健診を受ける |
適度な運動 | ウォーキングや水泳など、軽い運動を行って心身の健康を維持 |
一方、避けるべき行動としては、
・喫煙
・飲酒
・カフェインの過剰摂取
があげられます。
胎児の発育に悪影響を与える可能性があるため、避けましょう。
妊娠初期は体調の変化が大きい時期ですが、適切な知識をもって過ごすことで、母体と胎児の健康を守れます。
不安な症状や疑問がある場合は、医療機関で相談しましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
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高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
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まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
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一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

研究所
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研究所
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この記事の監修者
産婦人科医 土肥 聡 先生
経歴
豊洲レディースクリニック院長
2004年北里大学医学部医学科卒業。同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。
昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。
2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
資格
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医