2020年11月4日
陣痛・出産
#出産#陣痛

出産に伴う痛みは。陣痛から出産までの過程

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

現在、5歳と0歳の兄妹を育てています。
2人とも産まれた時は、身長54センチ越え体重3600グラム越えのビッグベビーでした。どちらも予定日を1週間過ぎてもなかなか産まれなかったため、促進剤を使い1人目は自然分娩、2人目は無痛分娩で出産しています。

今回は、自然分娩で出産するために必ず戦わなくてはならない「陣痛の乗り切り方」を私の経験も交えてご紹介します。

特に1人目の出産は未知のことだらけ。

妊娠中は少しずつ大きくなるお腹に赤ちゃんの成長を感じられて嬉しかったのですが、妊娠後期になってみるみる大きくなるお腹にびっくりです。

予定日が近づくと、想像以上に前に前に出てくるお腹をみて「こんなに大きな赤ちゃんが本当に出てこられるのだろうか」と出産が怖くなってきてしまいました。

今までは、赤ちゃんとの幸せな生活を楽しみにしていましたが、そういえばその前にどうやって出産すればいいのだろう?

当時通っていたマタニティスイミングで毎回教えてもらったのが『呼吸法』でした。通っていた産婦人科の母親学級でも呼吸についての説明がありました。

お産の始まり方も痛みも力の入れ方も経験した事がない私にとって唯一『呼吸をすること』だけを頼りに出産に臨みました。

結果、出産前にイメージトレーニングをしておいて本当に良かったと感じていますので妊娠中に是非やってみてください。

陣痛中は息を吐く

陣痛中はすごく痛くて息が止まってしまいがちですが、とにかく『息を吐く』事に集中します。

息を吐けば自然に息を吸う事ができるので、陣痛が来ている約1分間はひたすら息を吐きます。

お産の進み具合や痛みのレベルによって4段階の呼吸を使います。

陣痛が始まった!ひたすら深呼吸『スーーー、ハーーー 』

陣痛が始まりました、定期的に痛みの波がやってきます。

痛みがきている間は、鼻から深く息を吸い、口からゆっくり息を吐く『スーーー、ハーーー』を繰り返しまょう。

初めて陣痛が来た時は「痛い!この痛みが続くの嫌だな」と思うくらいの痛みでしたが、深呼吸を続けていれば落ち着けるレベル。
実際、出産直前の痛みに比べたらこの時の痛みなんてかわいいものでした。

でもついに初めての陣痛がきて、本格的に出産スタートとなるわけですから心と体が緊張して固くなってしまいますよね。

リラックスする意味でもこの深呼吸は有効でした。

痛みのレベルアップ『ヒッヒッ、フーーー』

さらに陣痛が進むと、先ほどのように『スーーー』なんて穏やかに息を吸っていられなくなってきます。

その時には少し短く『ヒッヒッ』と息を吸い、落ち着いて『フーーー』と息を吐きます。

私の場合は朝から入院し促進剤を使っての出産でしたが、なかなか進まずこの状態で夜を超えました。

夜中もお構いなしにやってくる陣痛、本当にこの呼吸のお世話になりました。

いきみたい!でもまだ逃して!『フーー、ウンッ!』

子宮口も開いてきましたがまだ全開ではない。なんだかいきみたくなってきます。しかし今いきんだら赤ちゃんにも負担で産道や会陰が傷ついてしまうのでいきみ逃しをします。

『フーーー、ウンッ!』と吐く息の最後、いきみたい!と思う時に軽くウンッ!と弾むように鼻から息を抜きます。

言葉にしてウンッ!と言うとうまくいきみを逃せました。

このいきみたいのにいきめない、腰が砕けそうで下の方の骨が痛い!という段階が一番辛いです。陣痛と陣痛の間は寝るなどしてできるだけ休みましょう。

自分でもこの短時間によく寝られるなと思いましたが、ほぼ気を失ったように寝て痛みが来たらまたひたすら『フーーー、ウンッ』の繰り返しです。

さぁ産まれる、3回目でいきめ!!『スーーー、フッ、(ウーーーン!!)』

助産師さんのチェックで子宮口全開、いきんでいいよと言われたらついに最後の力を振り絞りましょう。

この時には「よしきた!やっといきめる!」と喜んでいました。

さあ後は赤ちゃんを出すのみです、もう直ぐ会えます。

2回深呼吸をした後、息を思い切り吸い、『フッ』と少しだけ息を抜いた後できる限り長くいきみます。

ちなみにいきみのときは声を出すと力が逃げてしまうので静かに、そしてあり得ないほど頑固な便秘を解消するように力を入れていきみます。

頭が出たら『ハッ、ハッ、ハッ、ハッ』

ついに頭が出てきます、もうすぐ赤ちゃんに会えますね。 すると助産師さんが肩を出してくれるのですが、この時にはもう力はいらないので今まで握り締めていた手を胸に乗せて『ハッ、ハッ』と自分を落ち着けるように息を吐きます。

まとめ

結局丸2日かかって出産を終えました。

陣痛の間も産まれる直前まで胎動がおさまらず、本当に痛くてたまらなかったし、陣痛と共に乗り越えた一晩は心が折れそうだったし、諸事情により会陰も切ってもらえず派手に裂けてしまったけれど無事に赤ちゃんが産まれたことが「安産」だったのだと思います。

とても元気な赤ちゃんで、頭が出てきた辺りからすでに産声をあげていたほどです。

初めての出産ですから自分では必死で、もがいていたつもりだったのですが、様子を見に来てくれた助産師さんたちの会話で「この妊婦さんずいぶん落ち着いているね」と聞こえてきたのを覚えています。

確かに立ち合いをしてくれた夫に当たり散らしたり取り乱したりせず出産を終えられたような気がします。

それもこれも陣痛中に呼吸、特に「息を吐くこと」に集中していたおかげではないかと思っています。

出産の経過も十人十色ですが、どうか落ち着いて呼吸をし、赤ちゃんが産まれるまでたくさんの酸素を届けてあげてください。

呼吸の練習は妊娠中でもできますので、当日慌てないようにやってみてくださいね。

皆さんのご出産を応援しています。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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