無痛分娩による母体と胎児へのリスクを徹底解説
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「無痛分娩を考えているけれど、リスクが心配…」
「自分や赤ちゃんへの影響はどれくらいあるの?」
「リスクを知ってから出産方法を選びたい」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
出産の痛みを和らげる無痛分娩は魅力的ですが、麻酔を使うことによるリスクも気になりますよね。
無痛分娩には母体と胎児それぞれにリスクが存在しますが、適切な管理のもとで行えば安全性は高いとされています。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・無痛分娩による母体への4つのリスク
・無痛分娩による胎児への2つのリスク
この記事を読むと、無痛分娩のリスクを正しく理解でき、自身にあった出産方法を選択できるようになりますよ。
無痛分娩による母体への4つのリスク

無痛分娩による母体へのリスクとしては、おもに以下の4つがあげられます。
・血圧低下や頭痛
・硬膜穿刺後頭痛(こうまくせんしごずつう)
・発熱
・尿閉(にょうへい)
・合併症
順番に解説していきます。
リスク1:血圧低下や発熱
無痛分娩を開始した直後に、母体の血圧が下がってしまうことがあります。
麻酔によって血管が広がり、血液の流れが変わるためです。
ほとんどの場合は自然に回復していきますが、症状が続く場合には点滴の量を増やしたり、血圧を上げる薬を使って対応します。
また無痛分娩を開始してから一定の時間が経過したあとに、38℃以上の熱が出るケースも。
発熱は約20%の人に起こるといわれているため、めずらしいことではありません(※1)。
(※1)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「無痛分娩について」
リスク2:硬膜穿刺後頭痛(こうまくせんしごずつう)
無痛分娩が終わってカテーテル(細い管)を抜いたあとに「硬膜穿刺後頭痛」とよばれる症状が、まれに起きる場合があります。
発生する確率は「1%程度」です(※2)。
硬膜穿刺後頭痛は、背骨の近くにある硬膜という膜に針が触れてしまい、そこから脳脊髄液(のうせきずいえき)という液体が漏れ出して起こります。
通常は1週間程度、安静にしていると自然に治まります(※3)。
ただし、ごくまれに、治療として再度硬膜外に注射が必要になる場合も。
(※2)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「無痛分娩について」
(※3)出典:独立行政法人国立病院機構 京都医療センター「麻酔科医が担当する硬膜外無痛分娩」
リスク3:尿閉(にょうへい)
無痛分娩の麻酔によって、尿意を感じなくなったり、尿が出にくくなる「尿閉」とよばれる症状が起こる場合もあります。
尿閉は、麻酔が膀胱やその周りの神経に作用することで起こります。
自然分娩とほぼ変わらない確率で起こりますが、ほとんどの場合、退院する頃には自然に治まります(※4)。
(※4)出典:東京医科大学病院 産科・婦人科「無痛分娩」(第18版 令和4年8月14日)
リスク4:合併症
発生頻度は、ごくまれではありますが、注意が必要な合併症も存在します。
たとえば、局所麻酔薬が過剰に投与されたり血管内に誤って注入されると、急性中毒が起こる可能性があります。
ほかにも、硬膜外カテーテルの先端が「くも膜下腔」とよばれる場所に入ってしまうと、麻酔が上半身まで広がって呼吸が苦しくなったり、一時的に意識が遠のく場合も。
また、無痛分娩の麻酔が原因で母体が死亡する確率は「約10万人に1人(0.001%)」といわれており、これは帝王切開の麻酔による死亡率と同程度とされています(※5)。
ただし麻酔による死亡のほかに、医療機関側のミスによる事故も発生しています。
無痛分娩による事故事例について、詳しく知りたい人は下記も参考にしてください。
(※5)出典:医療法人 聖粒会 慈恵病院「無痛分娩の安全性」
無痛分娩による胎児への2つのリスク

無痛分娩による胎児へのリスクとして、おもに以下の2点があげられます。
・心拍数の一時的な低下
・出産時間が長くなる可能性
順番に見ていきましょう。
リスク1:拍数の一時的な低下
心拍数は胎児の元気さを確認する大切な指標ですが、無痛分娩で使用する麻酔の影響により、胎児の心拍数が一時的に下がる場合があります。
麻酔によって母体の血圧が下がると、胎児へ送られる血液の量が一時的に減少するため、心拍数に変化が現れることがあるのです。
ただし適切な管理が行われていれば、胎児が危険な状態になる頻度は、麻酔を使わない普通の分娩と変わらないことがわかっています(※6)。
むしろ無痛分娩により、陣痛の痛みによるストレスが軽減されることで、胎児への酸素供給が安定し、よい影響をもたらす可能性も報告されているのです(※6)。
(※6)出典:和歌山県立医科大学 麻酔科学教室「硬膜外無痛分娩が赤ちゃんと分娩経過に与える影響は?」
リスク2:出産時間が長くなる可能性
無痛分娩では、子宮口が完全に開いてから赤ちゃんが生まれるまでの時間(分娩第二期)が、1時間ほど長くなる傾向があります(※7)。
麻酔によっていきむ感覚が少し弱くなり、胎児が産道を通る時間が長引くためです。
しかし無痛分娩では、母体に痛みのストレスがなく、産道も柔らかくなっていることが多いため、時間が多少長くなっても胎児への悪影響はないと考えられています。
また硬膜外麻酔による無痛分娩で出生した赤ちゃんのほうが、麻酔を使わない分娩と比べて、生後1週間以内の死亡率が低いという調査結果もあります(※8)。
分娩時間が延びることはあっても、胎児の安全性は保たれているといえるでしょう。
(※7)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「無痛分娩について」
(※8)出典:J-STAGE|国立成育医療研究センター手術・集中治療部(林 玲子)「胎児,出生児からみた無痛分娩」日本臨床麻酔学会誌 2012 年 32 巻 3 号 p. 331-336
無痛分娩のリスクに関するQ&A
ここでは無痛分娩のリスクについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
代表的な例は次のとおりです。
・血液が固まりにくい病気がある
・重い心臓病や呼吸器疾患がある
・背骨の病気や手術歴があり、麻酔の針が入れにくい
・麻酔薬のアレルギーがある
・多胎妊娠など、分娩の状況によって医師が慎重に判断する場合
最終的には産院の医師・麻酔科医が確認して決めます。
気になる点があれば、早めに相談しておくと安心です。
一時的に話題になった研究もありますが、その後の検証で「無痛分娩が直接の原因とは言えない」と結論づけられています。
無痛分娩は安全性に配慮して行われており、自閉症との関連は認められていません。
ただし、次のような違いがあります。
・初産は分娩が進むまで時間がかかりやすく、麻酔の調整回数が増えることがある
・経産婦はお産の進みが早いことが多く、タイミングを逃さないよう注意が必要
いずれの場合も、安全性は医師や麻酔科医がしっかり管理しているため、希望があれば妊娠中に相談しておくとスムーズです。
まとめ
無痛分娩による母体へのおもなリスクは、以下のとおりです。
| リスク | 発生頻度 |
| 血圧低下・発熱 | 約20% |
| 硬膜穿刺後頭痛 | 約1% |
| 麻酔による死亡 | 約10万人に1人 |
また胎児へのリスクとしては、心拍数の一時的な低下や分娩時間が1時間ほど長くなることがあります。
しかし、医療機関側が適切な処置を行えば、普通分娩と同程度の安全性が保たれています。
むしろ無痛分娩で出生した赤ちゃんのほうが、生後1週間以内の死亡率が低いという調査結果も。
今回紹介した無痛分娩のリスクも踏まえて、自身に合った出産方法を選びましょう。
▼無痛分娩ができない人の条件があるって本当?
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
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さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
