妊娠後期のおりものの特徴とは?正常な変化と注意すべきサインを紹介

記事監修者:産婦人科医 土肥 聡 先生
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医

妊娠後期に入ると、おりものの量や色、におい、性状に変化を感じる場合があります。
「これって正常なの?」
「出産が近づいているサイン?」
と不安になる妊婦さんも多いでしょう。
そこで本記事では、
・妊娠後期のおりものの変化とその意味
・注意すべきサイン
・適切なケア方法
について、産婦人科医の監修のもとくわしく解説。
自分の体の変化を正しく理解して、安心して出産を迎えるための知識を身につけましょう。
妊娠後期のおりもの4つの特徴
妊娠後期に入ると、女性ホルモンの変化によっておりものの特徴が変わります。
具体的には、
・量が増える
・色が濃くなる
・においが強くなる
・粘り気が出る
の4つです。
順番にくわしく見ていきましょう。
特徴1:量が増える
妊娠後期になると、おりものの量が明らかに増加します。
女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量増加が、主な原因です。
エストロゲンには子宮頸管の粘液を増やす働きがあり、妊娠週数が進むにつれて分泌量も比例して増えていきます。
おりもの内には、胎児が産道を通りやすくする役割もあるため、下着がぬれる程度の増加が見られます。
特徴2:色が濃くなる
妊娠後期のおりものは、ホルモンバランスの変化により色も変わります。
正常な色は、以下のとおりです。
・透明
・白っぽい色
・クリーム色または少し黄色がかった色
個人差はありますが、妊娠後期になるにつれて色が濃くなる傾向があります。
特徴3:においが強くなる
妊娠後期のおりものは、出産が近づくにつれて、においが強くなる傾向が見られます。
個人差はありますが、生臭さや甘酸っぱさなど、においが少し強くなる場合もあるのです。
においの変化は、腟内の環境変化と関連していることが多く、健康状態のバロメーターともいえるでしょう。
特徴4:粘り気が出る
妊娠後期になると、おりものの粘り気や性状にも変化が。
妊娠初期のサラッとした水っぽい性状から、後期には女性ホルモンの影響で粘り気が強くなっていきます。
粘り気のある状態になるのは、胎児が産道を通って生まれてくる際の潤滑剤として機能するためです。
出産が近づくと、子宮の出口(子宮頸管部)が柔らかくなり、粘り気のあるおりものの量がさらに増加します。
また、出産直前には「おしるし」という現象で、粘り気のあるおりものに少量の血液が混ざる場合もあります。
粘り気や性状の変化は、出産に向けた体の自然な準備であるため心配はいりません。
妊娠後期で注意が必要なおりもの変化と感染症
妊娠後期に、以下のようなおりものの変化がある場合は注意が必要です。
・おりものが黄色くなって増える
・緑黄色の濃いおりもの
・強い悪臭のある白色~黄色の泡状のおりものが大量に出る
・おりものが白く、ヨーグルト状になったり、かたまりが出る
上記のような症状がある場合は、以下の感染症を発症している可能性があります(※1)。
感染症 | おりものの変化 | 詳細 |
性器クラミジア感染症 | 黄色くなり増える | ・生理痛のような痛みや、不正性器出血などの症状もある ・胎児にも感染し、結膜炎や肺炎を発症する場合がある ・流産・早産の原因になる場合もある |
淋菌感染症 | 濃い緑黄色 | ・尿道から膿が出る場合も ・胎児への影響として、化膿性結膜炎や関節炎を起こして命に関わる状態になるケースもある |
トリコモナス症 | ・強い悪臭がする ・白色から黄色 ・泡状 |
・陰部がかゆくなったり、痛くなる症状もある ・性交時や排尿時に痛みが生じる ・早産になる場合も |
性器カンジダ症 | 白くヨーグルト状になったり、かたまりが出る | ・陰部に強いかゆみが現れる ・性器に痛みや熱感がある ・性交時に痛みが生じる |
上記にあげたおりものの変化が見られたら、すぐに医療機関で受診しましょう。
医療機関に連絡する際は、いつからどのような変化があったかを伝えるとよいでしょう。
(※1)出典:国立保健医療科学院 健康危機管理支援ライブラリー|福岡県保健医療介護部がん感染症疾病対策課「性感染症ってどんな病気?~「ひとごと」ではなく「身近なこと」~」
妊娠後期のおりものに関するQ&A
ここでは妊娠後期のおりものについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


破水は通常、無色透明で、無臭です。
しかし自己判断は危険なため、破水を疑った場合はかかりつけの産科へ連絡し指示をもらいましょう。

これらの出血は通常少量で、経過を見て問題ありません。
しかし、出血量が多い、鮮血が出る、下腹部に強い痛みがあるという場合は、早めに受診するようにしましょう。

おりものの量や色、臭いなどに異常を感じたら医師へ相談してください。
まとめ
妊娠後期のおりものは、出産に向けた自然な変化です。
正常な変化としては、
・量が増える
・色が濃くなる
・においが強くなる
・粘り気が出る
という4つの特徴があります。
一方で、以下のような症状は感染症の可能性があるため注意が必要です。
注意すべきおりもの | 考えられる感染症 |
おりものが黄色くなり増える | 性器クラミジア感染症 |
緑黄色の濃いおりもの | 淋菌感染症 |
強い悪臭がして大量の白色~黄色の泡状のおりものが出る | トリコモナス症 |
白いヨーグルト状や、かたまり | 性器カンジダ症 |
上記のような変化が見られたら、すぐに医療機関で受診しましょう。
妊娠後期のおりものの変化を正しく理解すれば、不安を軽減して、必要なときに適切な対応ができます。
また異常な徴候を見逃さないことが、母子ともに健康な出産を迎えるために重要です。
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高知大学の臨床研究で
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さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
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「さい帯・さい帯血」による再生医療
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さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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この記事の監修者
産婦人科医 土肥 聡 先生
経歴
豊洲レディースクリニック院長
2004年北里大学医学部医学科卒業。同年4月から2年間、東大和病院にて初期臨床研修を修了。
昭和大学病院、昭和大学横浜市北部病院、昭和大学江東豊洲病院で勤務した後、2023年に昭和大学医学部医学教育学講座客員教授に就任。
2024年2月、亀田総合病院臨床遺伝科顧問に就任。同年1月、豊洲レディースクリニックを開業。
資格
医学博士/日本産科婦人科学会認定産婦人科専門医・指導医/日本周産期・新生児医学会認定専門医・指導医/日本超音波医学会認定超音波専門医・指導医