妊娠後期に足がつるのはなぜ?原因や対処・対策方法も解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠後期になってから足がつるようになった…」
「足がつったときの対処法や予防策を知りたい」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
とくに夜に足がつると、眠りも妨げられるつらい症状ですよね。
妊娠後期に足がつる症状は妊婦の40〜60%が経験する一般的なトラブルであり、その原因は明確で適切な対処法も存在します(※1)。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
- 妊娠後期に足がつる2つのおもな原因
- 足がつったときの即効対処法
- 足がつらないようにする予防法
この記事を読むと、つらい症状を和らげて快適な生活を送れるようになりますよ。
(※1)出典:高知県子ども・福祉政策部 子育て支援課 母子保健・子育て支援室|こうちプレマnet「2.妊娠中に起こりやすい不快な症状」
妊娠後期に足がつる2つのおもな原因
妊娠後期に足がつる原因として、大きく分けて以下の2点があげられます。
- 血液循環の悪化
- ミネラル不足
順番に解説していきます。
原因1:血液循環の悪化
胎児の成長とともに子宮が大きくなると、骨盤内や下腹部の血管が圧迫され、足から心臓へ戻る静脈血の流れが滞り、下半身の血液循環が悪化します。
血流が悪くなると、筋肉に必要な酸素や栄養素が十分に届かず、老廃物の排出も滞ってしまいます。
さらに妊娠に伴って分泌されるプロゲステロン(黄体ホルモン)は、血管を拡張させる作用があり、血液が足にたまりやすい状態に。
血行不良は足の冷えやむくみも引き起こし、筋肉の硬直を促進させて、足がつりやすい環境をつくってしまうといえるのです。
原因2:ミネラル不足
体内のミネラルバランスの乱れも足がつる原因のひとつです。
カルシウム、マグネシウムといったミネラルは、神経の信号伝達や筋肉の収縮・弛緩をコントロールする役割を担っています。
しかし妊娠中は、胎児の骨や神経の発達のために、通常より多くのミネラルが消費されてしまいます(※2,3)。
とくにカルシウムとマグネシウムは胎児の成長に欠かせない栄養素であり、母体の血中濃度が不足しがちになります。
ミネラルが不足すると、筋肉や神経が過敏な状態となり、足がつりやすくなるのです。
(※2)出典:台東区役所「妊娠前から知っておきたい食事のポイント」
(※3)出典:田中消化器科クリニック「No.043 妊婦さんに必要な栄養素」
妊娠後期に足がつったときの即効対処法
妊娠後期に足がつってしまった場合、まずは慌てずにけいれんを起こしている筋肉をゆっくりと伸ばすことが大切です。
足のつま先を上に向けながら、手で足の指を持ってふくらはぎを伸ばすように、すねの方向へ引っ張ってみましょう。
この動作により、収縮した筋肉が徐々に緩んできます。
寝ている最中につってしまった場合は、横になったままではなく立ち上がって軽く歩くと、より症状が改善しやすくなります。
痛みが和らいできたら、温かいタオルで患部を温めながら、ふくらはぎを手で軽く揉むようにマッサージを行うとよいでしょう。
対処のポイントは、急激な動作を避けてゆっくりと筋肉を伸ばし、焦らずに対処することです。
参考:東京医科大学病院「こむら返りについて」No.39(H16.11)
妊娠後期に足がつらないようにする予防法
妊娠後期に足がつらないようにする予防法としては、おもに以下の3点があげられます。
- 水分とミネラルの補給
- ストレッチと保温
- カルシウムとマグネシウムの摂取
順番に解説していきます。
予防法1:水分とミネラルの補給
妊娠後期の足のつりを防ぐために、水分補給は欠かせません。
妊娠中は胎児に栄養を送るため、母体の血液量が増加し、血液が薄まりやすくなります。
さらに就寝中にも発汗が続くため、寝る前にコップ一杯(200cc)程度の水分を取るとよいでしょう(※4)。
ただし水分だけを大量に摂取すると、ミネラルの血中濃度が薄まってしまう危険性があります。
そのため汗をかいたあとには、スポーツドリンクなどでミネラルも同時に補給するとよいでしょう。
またカルシウムが不足すると筋肉が外部からの刺激に反応しやすく、足がつりやすくなるため、カルシウムを含む食品やサプリメントを積極的に摂取するとよいでしょう(※5)。
ただしサプリメントは、医療機関で相談のうえ活用してください。
(※4)出典:医療社団法人 冬城産婦人科医院「妊娠中の「こむらがえり」対策は?」
(※5)出典:順天堂大学医学部附属静岡病院 産婦人科「こうのとりくらぶ」vol.35 2014 夏号
予防法2:ストレッチと保温
妊娠後期は子宮が大きくなることで下半身の血流が悪くなりやすく、筋肉への負担も増加します。
長時間立たなければならない場合は、血行不良や筋肉疲労を予防するために、時々ストレッチや軽いマッサージを行いましょう。
また寝る前にゆっくりと入浴したり、足浴を10〜15分程度行うことも効果的です(※6)。
足を冷やさないよう、寝るときに靴下を履いたり、膝から下を温めるレッグウォーマーの使用も予防に役立ちます。
(※6)出典:医療社団法人 冬城産婦人科医院「妊娠中の「こむらがえり」対策は?」
妊娠後期に足がつることに関するQ&A
ここでは妊娠後期に足がつることについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

おすすめの栄養素と食材はこちらです。
栄養素 | 働き | 主な食材 |
カルシウム | 筋肉の収縮を安定させる | 牛乳、チーズ、小松菜、しらす |
マグネシウム | 神経や筋肉の興奮を抑える | 納豆、海藻類、玄米、ごま |
カリウム | 水分バランスを整える | バナナ、アボカド、じゃがいも |
ビタミンB1 | エネルギー代謝を助ける | 豚肉、豆類、玄米、ほうれん草 |
また、水分不足も筋肉のけいれんにつながります。
こまめな水分補給(常温がおすすめ)も心がけましょう。

そのため、寝ている間に筋肉が収縮しやすくなります。
対策として、足元を温めたり、寝る前に軽くふくらはぎをストレッチするとよいでしょう。

頻度が高い・痛みが強い・生活に支障が出ている場合は、妊婦健診の際に遠慮なく相談しましょう。
まとめ
妊娠後期に足がつる症状は、妊婦全体の40〜60%にみられる頻度の高い症状です。
足がつる原因は大きく分けて以下の2つに分類されます。
- 血液循環の悪化
- ミネラル不足
具体的な対処法と予防策は以下のとおりです。
対処と予防 | 詳細 |
即効対処法 | ・つま先を上に向けてふくらはぎを伸ばす ・立ち上がって軽く歩く ・温かいタオルでマッサージ |
予防法 | ・水分とミネラルの適切な補給 ・定期的なストレッチと足の保温 ・就寝前の足浴(10-15分程度) ・レッグウォーマーや靴下での保温 |
妊娠後期の快適な生活には、日常的な予防ケアが重要です。
医療機関で相談しながら、適切な水分補給や温熱療法などを取り入れて、症状の予防と改善に努めましょう。
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高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
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まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
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コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー