妊娠後期にイライラする原因とは?胎児に与える影響や解消法も紹介

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠後期になってからイライラが止まらない…」
「赤ちゃんに悪影響はないのかな」
「どうやって解消すればいいの?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
妊娠後期のイライラは多くの妊婦さんが経験する自然な症状ですが、赤ちゃんへの影響が心配になったり、感情をコントロールできない自分に戸惑ったりしますよね。
妊娠後期のイライラにはホルモンバランスの変化や生活の制限といった原因があり、適切な対処法で症状を和らげられます。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
- 妊娠後期にイライラする2つのおもな原因
- 妊娠後期のイライラが胎児に与える影響
- 妊娠後期のイライラ解消法3選
この記事を読むと、妊娠後期にイライラする原因や解消法がわかり、罪悪感や不安がやわらぎますよ。
妊娠後期にイライラする2つのおもな原因
妊娠後期にイライラする原因としては、おもに以下の3つがあげられます。
- ホルモンバランスの急激な変化
- 日常生活動作の制限とストレス
順番に見ていきましょう。
原因1:ホルモンバランスの急激な変化
妊娠後期は女性ホルモンの分泌量が大きく変化し、気持ちが不安定になりやすい時期です。
とくにプロゲステロンという女性ホルモンの増加は、
- だるさ
- 頭痛
- 疲れやすさ
といった不調を引き起こしやすくします。
さらに妊娠による女性ホルモンの変化は、脳がストレスに耐える抵抗力を低下させます(※1)。
その結果、普段なら気にならない小さなことでもイライラしたり、感情をコントロールしづらくなるのです。
また妊娠中は、セロトニンという精神を安定させる物質の分泌が低下するため、イライラを感じやすくなります(※2)。
(※1)出典:独立行政法人 福祉医療機構| WAM NET「6.産後のメンタルヘルスについて」
(※2)出典:佐倉市役所「妊産婦訪問」
原因2:日常生活における動作の制限
妊娠後期になると妊娠中期よりもお腹が大きくなり、日常生活における動作が制限されます。
歩行が遅くなったり、早産予防のために行動が制限されることで、普段通りの生活ができなくなるためです。
家事も仕事もがんばりたいのに思うようにいかず、イライラにつながるケースもあります。
妊娠後期のイライラは胎児に悪影響を与える場合も
妊娠後期のイライラや強いストレスは、実際に胎児にも影響を与えるといわれています。
母体が精神的なストレスを感じると、体内にストレスに関係するホルモンが作られ、血液を通じて胎児にも伝わるためです。
ストレスが続くと、母体の交感神経が優位になり血管収縮が起こります。
血管が縮むと胎児への酸素や栄養の供給が不足し、発育に悪影響を与える可能性もあるのです。
また不安が高い母親から生まれた新生児は、外界からの刺激や母親の働きかけに対する応答性が低くなる傾向も報告されています(※3)。
ただし適度なリラクゼーションを心がけることで、母体だけでなく胎児にもよい影響を与えられることがわかっています。
(※3)出典:科学研究費助成事業北里大学(高橋真理)筑波大学(重光貞彦)「妊婦の精神的なストレスが胎児と新生児に及ぼす影響」
妊娠後期のイライラ解消法3選
妊娠後期のイライラを解消する方法として、以下3点を紹介していきます。
- 十分な睡眠と休息をとる
- 軽い運動で体と心をリフレッシュする
- 家族に話を聞いてもらう
順番に見ていきましょう。
解消法1:十分な睡眠と休息をとる
妊娠後期は大きくなったお腹や胎動、頻尿などの影響でまとまった睡眠がとりにくくなります。
睡眠には体調回復だけでなく、脳を休ませて自律神経の働きを整える効果があるため、妊娠後期のイライラにも効果的です。
たとえ夜間にまとまった睡眠がむずかしい場合でも、日中に横になって身体を休めるなど、少しでも睡眠時間を確保しましょう。
疲れているときは家事や育児を家族に協力してもらい、しっかりと休養をとってください。
やる気が出ない、体がだるいと感じるときは、当日の家事などは必要最低限にとどめ、自分のためだけの時間を作ることが重要です。
また、ぬるめの37〜40℃のお湯に入浴することで、リラックス効果を得ながら質のよい睡眠をとれます(※4)。
(※4)出典:JCHO北海道病院産婦人科「母親学級のしおり」
解消法2:適度な軽い運動を取り入れる
妊娠中の運動は出産・産後のための体力づくりや体重管理に役立つだけでなく、イライラなどのストレス発散効果も期待できます。
また日中の運動は睡眠の質を改善する効果も。
しかし激しい運動は体の負担になるため、軽めの運動を取り入れましょう。
たとえば、
- ウォーキング
- マタニティヨガ
- ストレッチ
などの軽い運動をして、リラックスすることを心がけるとよいでしょう。
軽い運動は気分転換にもなります。
ただし、その日の体調や状況に合わせて無理なく運動を行うことが大切です。
運動を控えたほうがよい場合もあるため、妊娠中に運動を始めるときは医療機関に相談してください。
解消法3:家族に話を聞いてもらう
パートナーや家族などに情緒不安定な状況を率直に相談することで、周りの理解とサポートを得られます。
妊娠中のイライラはホルモンバランスの乱れによる、自然な症状であることを理解してもらいましょう。
さまざまなストレス解消法を試してもつらい気持ちが改善されない場合は、医療機関で相談することが大切です。
一人で悩まず、専門家のサポートを受けましょう。
妊娠後期のイライラに関するQ&A
ここでは妊娠後期のイライラについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

また、ホルモンの影響によって、イライラ・不安感・落ち込みが出やすくなるのも自然なことです。
出産直前まで続くこともありますが、産後に落ち着く方が多いです。
自分だけで抱えこまず、パートナーやご家族に気持ち話したり、十分な睡眠と栄養をとるなどしてご自身をいたわりましょう。

その結果、一時的にお腹が張りやすくなることは珍しくありません。
ただし、次のような張り方が続く場合は、早産や切迫早産の兆候の可能性もあるため、医師へご相談ください。
- 張りが10〜15分おきに規則的にくる
- お腹がカチカチに固まり、なかなか戻らない
- 張りとともに痛みや出血がある

特に、「急に涙が出てくる」「さっきまで怒っていたのに今は泣いている」といった揺れはとてもよくあることで、実は多くの妊婦さんが経験しています。
「泣くこと=悪いこと」と思わず、涙はストレスの解放ととらえ、ひとりで抱え込まずに感情を受け止めてくれる人に話すようにしましょう。
また、ノートに気持ちを書き出すのもおすすめです。
まとめ
妊娠後期のイライラは、ホルモンバランスの急激な変化と日常生活動作の制限がおもな原因です。
この時期は女性ホルモンのバランスが変化して、脳のストレス対処能力が低下するため、些細なことでも感情をコントロールしにくくなります(※5)。
また、妊娠後期のイライラや過度なストレスは、胎児にも影響を与える可能性があります。
母体がストレスを感じると血管が収縮し、胎盤への血流が悪化して胎児の栄養不足を引き起こすリスクがあります。
妊娠後期のイライラを解消するためにも、以下を取り入れましょう。
解消法 | 詳細 |
十分な睡眠・休息 | ・日中の横になる時間確保 ・37~40℃の入浴 |
軽い運動 | ・ウォーキング ・マタニティヨガ ・ストレッチ |
家族との相談 | パートナーや家族へ相談して理解を得る |
これらの対策により、母体だけでなく胎児にもよい影響を与えられます。
つらい症状が続く場合は、一人で抱え込まず医療機関に相談してください。
出典:(※5)出典:独立行政法人 福祉医療機構| WAM NET「6.産後のメンタルヘルスについて」
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さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
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一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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研究所
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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー