妊娠後期に入り、陣痛の始まりにはどのような体調の変化があるのだろうかと気になっていませんか。
陣痛には2種類あり、痛み方や痛む間隔などが異なるのです。
この記事では、以下のような内容を解説します。
・陣痛の種類
・前駆陣痛と本陣痛の違い
・陣痛の間隔や痛み方
この記事を読むと、陣痛の始まりがわかるようになり、安心して出産に備えられるようになりますよ。
【種類別】陣痛の痛み方
出産前の陣痛には、2つの種類があります。
・前駆陣痛
・本陣痛
2つの陣痛は痛み方が異なるため、その特徴を理解しつつ内容を確認していきましょう。
順番に解説していきます。
1:前駆陣痛
「前駆陣痛」は出産前の子宮の準備運動のようなもので、痛みが続く時間や間隔は不規則です。
痛み方の特徴としては、以下のようなものがあげられます。
・軽度の生理痛に似たような痛み
・子宮が締め付けられるような痛み
・下痢をしたときの痛み
また前駆陣痛の特徴として、お腹の張りが伴ったり、腰周辺に痛みが広がる場合もあります。
安静にしていると、痛みがやわらぐといった特徴も持ち合わせています。
2:本陣痛
「本陣痛」は出産につながる陣痛をさし、おもな特徴は以下のとおりです。
・規則的な間隔で痛みが来る(最初は10分間隔程度)(※1)
・時間の経過とともに間隔が短くなる
・痛みの強さが徐々に増していく
・下腹部全体がキュッと締め付けられるような痛み
・強烈な生理痛のような痛み
痛む間隔は10分程度から始まり、最終的には1~2分間隔になっていきます(※2)。
テレビや映画でよく目にする場面、女優さんがうんうん唸って汗びっしょりの出産シーンは、正に本陣痛です。
この本陣痛がお産の始まりとなります。
本陣痛がどんな痛みか気になるという人は、こちらの記事も参考にしてくださいね。
(※1,2)出典:独立行政法人国立病院機構相模原病院「出産に向けて」
陣痛が始まる5つの兆候
陣痛が始まる兆候は、人によってさまざまです。
下記に代表的な予兆をあげました。
・おしるし
・破水
・つわりがおさまる
・腰痛の悪化
・おなかが張る
これらの兆候を知っておくと、陣痛や出産への心構えができるようになりますよ。
順番に解説していきます。
兆候1:おしるし
出産が近づいてくると、おりものに混ざって少量の出血が出ることがあります。
妊娠中、子宮口には細菌の感染を防ぐために粘液栓がつまっていますが、出産が近づくと子宮口が少しずつ開いていくため、血と一緒に粘液栓が外に出てきます。
個人差はありますが、薄いピンク色や茶色がかった粘り気のある分泌物が見られるケースが多いです。
ただし、おしるしがなくても陣痛が始まる場合もあります。
日頃から自身の体調や分泌物の変化に注意を払い、気になる点があれば医療機関に相談しましょう。
兆候2:破水
破水は、赤ちゃんを包んでいてくれた羊水が外に出ることで、通常は子宮口が全開になったときに起こります。
温かい液体で、においはほとんどなく、尿漏れと勘違いしてしまうケースも。
また陣痛が始まるより前に、破水する場合もあります。
実際に聖路加国際大学が発表した研究論文では、妊婦さんの「20%」に前期破水が発生したと報告されています(※3)。
さらに破水したあとは、24時間以内に陣痛が起こる確率が「90%」もあるという報告も(※4)。
破水後は感染リスクが高まるため、すぐに医療機関へ連絡をとり、指示を仰ぎましょう。
(※3,4)出典:J-STAGE|聖路加国際大学(杉岡 寛子,森 明子)「正期産における前期破水に関わる要因」日本助産学会誌 2016 年 30 巻 2 号 p. 323-332
兆候3:つわりがおさまる
妊娠後期に見られる「後期つわり」がやわらぐ現象も、出産が近づいている兆候のひとつです。
赤ちゃんが骨盤の方へ下降することで、内臓への圧迫が軽減されるためです。
ただし、つわりの症状や経過には個人差があるため、過信しないようにしましょう。
ほかの兆候とあわせた総合的な判断が重要です。
兆候4:腰痛がひどくなる
赤ちゃんがおなかの中で大きくなるにつれて、腰痛に悩まされる妊婦さんは多いでしょう。
お産が近づいてくると、赤ちゃんが下がってくるため、腰痛の悪化、骨盤や恥骨に痛みを感じる人もいます。
腰痛の程度が急激に変化した場合は、陣痛の始まりやほかの問題が起きている可能性もあるため、医療機関に相談しましょう。
兆候5:おなかの張り
出産が近づくと、おなかの張りや、生理痛のような下腹部の痛みを感じることがあるでしょう。
規則的におなかの張りがある場合は、陣痛の始まりの可能性があります。
【経験者が語る】前駆陣痛と本陣痛の違い
「前駆陣痛」は、子宮の準備運動、「本陣痛」は出産につながる陣痛ですが、見分けるのは難しいですよね。
前駆陣痛は「不規則に起こる」ことが特徴だといわれており、痛みや痛む間隔も不規則です。
前駆陣痛の場合は、病院に電話しても「自宅で様子を見てください」と言われるでしょう。
一方10分以内で、規則的に痛みを繰り返す子宮収縮が始まると本陣痛に移行したと判断できます(※5)。
本陣痛が始まった場合は、出産に備えて病院に連絡・入院が必要です。
前駆陣痛と本陣痛が、いざ自分に起こった時に見分けがつくか心配ですよね。
そこで私が実際に感じた、前駆陣痛と本陣痛の痛みや痛む間隔を紹介します。
陣痛のイメージや見分け方の参考にしてくださいね。
(※5)出典:国立研究開発法人国立成育医療センター「おしるし、破水、陣痛について」
私が経験した前駆陣痛
前駆陣痛ってどんなものなのでしょう。
出産経験のある人達たちに聞いてみると「前駆陣痛?」「あったっけ?」「そういえば、あれが前駆陣痛だったのかも・・・」という反応で、本陣痛や出産の一番強い痛みの記憶しか残っていないという人がほとんどです。
私も「前駆陣痛ってあったかな」と遠い記憶を辿ってみました。
前駆陣痛の前兆
妊婦健診で赤ちゃんの心拍データをとっている最中に赤ちゃんがおなかの中でグーっと動いて、「普段の胎動とは何か違う」と感じたことがありました。
いままでは、おなかの右のあたりが動き、おなかを蹴飛ばされたような部分的な動きだったのに対して、子宮全体がキューとなる感じです。
そのときは「赤ちゃんが伸びをしたのかな」と思ったくらいでした。
しかし赤ちゃんの心拍データがとんでいる状態を見た看護師さんが「前駆陣痛かしら」とつぶやいたのを覚えています。
臨月に入ると前駆陣痛を感じる妊婦さんが多いようです。
前駆陣痛ってどんな痛み?
出産4日前から時々キューと痛くなって、少し横になっているとおさまるといった症状が始まりました。
痛みは我慢できるけど、息は止まるという感じです。
「赤ちゃんに酸素が届かなかったらどうしよう」と思い、一生懸命に深呼吸をしたのを覚えています。
前駆陣痛を、張りとして感じる人もいるようです。
前駆陣痛の間隔が定期的になり、痛みも強くなってくるとそろそろ出産も近いのかなと思い始めます。
私にとって前駆陣痛は、本陣痛に比べて軽めの陣痛という印象でした。
前駆陣痛が続く時間や間隔はどれくらい?
前駆陣痛が続く時間には個人差があります。
生理痛のひどい感じが長い間続いているかと思えば「本陣痛なのかな」と思える痛みも続くため日に日に体力を奪われるそうです。
数秒や数分で終わるケースや、数時間続いたという人も…。
ほかにも、何日もつらい状態で前駆陣痛が続いたという人もいました。
経産婦さんは「本陣痛のピークは、どんな痛みも比べ物にならない」と言う人が多いですよね。
私が経験した本陣痛
次に、私が経験した本陣痛を紹介します。
これから本陣痛を迎える時期に入るという人は、参考にしてくださいね。
本陣痛の前兆
出産予定日から3日後、下着に赤黒いシミがついていることを発見しました。
とうとうおしるしがきたのです。
さらに2日後、ソファで横になっていたところ、子宮がキューッとなるような、軽い痛みを伴う収縮を感じました。
収縮の間隔が規則的で、最初は「15~20分間隔」だったのが、次第に「15~10分間隔」と短くなってきたことを覚えています。
「10分間隔」を規則的に切るようになったところで、病院に連絡。
出産に備えた入院となりました。
本陣痛はどんな痛み?
私が感じた痛みの特徴は以下のとおりです。
・痛む間隔が規則的
・段階的に痛みが強くなる
・腰やお尻などの骨が痛む感覚
前駆陣痛より規則的で、段々と痛みが強くなるのが特徴です。
最終的に、ピーク時の痛みは1~3分間隔程度まで狭まりました。
出産の際は骨盤が大きく開くので、腰・お尻(尾てい骨)などに痛みを感じる妊婦さんも多いようです。
お腹・腰・お尻など、局所的な痛みというより、体全体の骨や筋肉が、一丸となって赤ちゃんを外に押し出そうと一斉に動いている感覚です。
本陣痛が続く時間や間隔はどれくらい?
私の経験では長女は「丸2日」、次女は「3時間」続きました。
本陣痛が続く時間にも個人差があるようです。
痛みの間隔は、10分間隔から徐々に短くなっていき、生まれる直前は約1分間隔で痛みの波がくることが多いようです。
陣痛が始まったときに確認すべき3つのポイント
「陣痛かな」と思うような強い痛みがきたら以下のポイントをメモしておきましょう。
・痛み始めた日時
・痛むが続いた時間
・痛む間隔
産院へ連絡をすると、上記3点を聞かれるでしょう。
すぐに答えられるよう、準備しておきましょう。
スマートフォンのアプリでは、上記のポイントをおさえられるものがリリースされています。
ぜひ活用を検討してみてくださいね。
病院へ連絡するタイミングの目安
本陣痛が始まってから、分娩になるまでの時間は初産婦さんと経産婦さんで異なります(※6)。
・初産婦さん:陣痛が10分間隔
・経産婦さん:陣痛が10~15分間隔
痛む間隔を計測し、上記のとおりになれば医療機関へ連絡するタイミングです。
(※6)出典:国立研究開発法人国立成育医療センター「入院について」
要注意!すぐに病院へ連絡した方がよい4つのケース
陣痛に関係なく以下のような場合は、すぐに病院へ連絡しましょう。
・破水
・大量の出血
・胎動がない
・お腹の異常な痛みや張り
1:破水
破水には様々な種類があり、たくさん羊水が出ることもあれば、尿漏れかよくわからないほどの少量の場合もあります。
いずれの場合も、すぐに病院へ連絡しましょう。
破水すると、赤ちゃんを包んでいた膜が破れて感染症のリスクが高くなるため、お風呂には入らないよう注意してください。
また羊水がたくさん出てくることがあるため、大きめのバスタオルを持って車やタクシーで移動すると安心です。
2:大量の出血
おしるしのようにおりものに混ざる少量の出血ではなく、大量の出血がある場合はすぐに病院へ連絡してください。
3:胎動がない
出産に近づいてくると、赤ちゃんが骨盤の中へ降りていくため胎動が少なくなることがありますが、完全に胎動がなくなることはありません。
心配な場合は病院へ連絡しましょう。
4:おなかの異常な痛みや張り
この症状がある場合、妊娠中に胎盤が剝がれてしまう常位胎盤早期剥離のリスクがあります。
特徴は強烈な腹痛が急に起こり、継続します。
またおなかの強い張りも続くでしょう。
いつもと違うおなかの痛みや張りなどの症状があったら、ためらわずにすぐに病院へ連絡してください。
前駆陣痛から本陣痛につなげるために
前駆陣痛を感じてからなかなか本陣痛に移行しない場合は、赤ちゃんが下に降りてくるのを促す「ウォーキングや階段昇降」など体を動かすことが効果的です。
私自身なかなか本陣痛に移行せず一時退院をしました。
その際、産院の先生に「いっぱい歩いてきてね」と送り出されました。
本陣痛がこないことには出産にはつながりません。
激しい運動はできませんが、できるだけ体を動かして、よいお産の始まりにつなげましょう。
陣痛に関するQ&A
ここでは陣痛について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
土肥先生
陣痛の痛みは「波のように増減する痛み」と表現され、最初は軽度から始まり、進行するにつれて強くなるのが一般的です。
このメカニズムを理解することで、出産のイメージが湧き、不安が軽減する可能性があります。
また、ラマーズ法などの呼吸法は痛みを軽減する効果があるとされています。
妊娠中にマタニティクラスで学んだり、ご自宅で練習することをおすすめします。
さらに、パートナーや助産師からのサポートが精神的安心感を与えることも、痛みの軽減に寄与することが示されています。
出典:
・Smith, C. A., et al. (2018). Relaxation techniques for pain management during labor: A systematic review. Journal of Obstetric, Gynecologic & Neonatal Nursing, 47(2), 161-170.
・Hodnett, E. D., et al. (2013). Continuous support for women during childbirth. Cochrane Database of Systematic Reviews, (7).
土肥先生
妊娠で大きくなった子宮が元の大きさに戻る過程で収縮を繰り返すことで起こります。
この痛みは、生理痛に似た鈍い痛みとして感じられることが多いですが、経産婦ではより強い痛みを感じることがあります。
後陣痛は通常、産後2~3日間続き、徐々に軽減します。
授乳中にオキシトシンが分泌されることで痛みが一時的に強まる場合もありますが、これは子宮収縮を促進する正常な反応です。
出典:
・Chalmers, B., et al. (2015). Postpartum uterine involution and pain management strategies. Birth, 42(3), 203-210.
・Uvnäs-Moberg, K., & Petersson, M. (2005). Oxytocin, a mediator of anti-stress, well-being, social interaction, growth and healing. Zeitschrift für Psychosomatische Medizin und Psychotherapie, 51(1), 57-80.
通常、痛みは大幅に軽減されますが、完全に痛みがなくなるわけではありません。 麻酔の効果は体質や麻酔薬の投与量によって異なるため、痛みや感覚が多少残ることがあります。 また、医療施設によっては出産を円滑に進めるために、軽い感覚を残す設定をする場合があります。 無痛分娩は比較的安全で、多くの妊婦が満足している一方で、頭痛や一時的な麻酔の影響が起こることもあるため、担当医との十分な相談が重要です。 出典: ・Anim-Somuah, M., et al. (2018). Epidural versus non-epidural or no analgesia for pain management in labour. Cochrane Database of Systematic Reviews, (5). ・Leighton, B. L., & Halpern, S. H. (2002). The effects of epidural analgesia on labor, maternal, and neonatal outcomes: A systematic review. American Journal of Obstetrics and Gynecology, 186(5), S69-S77.
土肥先生
まとめ
出産の準備段階として起きる「おしるし」や「前駆陣痛」は絶対に起きるわけではありません。
そして前駆陣痛は、出産にむけて本格的な陣痛(本陣痛)が来る前の準備運動のようなものです。
痛みには個人差があり、前駆陣痛を辛く感じる妊婦さんや全く気付かないという妊婦さんもいます。
出産は、なかなか教科書通りにはいきませんが、今回の記事を参考に、出産への準備を整えましょう。
チャンスは出産時の一度きり。赤ちゃんの将来の安心に備えるさい帯血保管とは
うまれてくる赤ちゃんやその家族のために、おなかに赤ちゃんがいる時しか準備できないことがあるのをご存知ですか?
それが「さい帯血保管」です。
さい帯血とは、赤ちゃんとお母さんを繋いでいるへその緒を流れている血液のことです。
この血液には、「幹細胞」と呼ばれる貴重な細胞が多く含まれており、再生医療の分野で注目されています。
このさい帯血は、長期にわたって保管することができ、現在は治療法が確立していない病気の治療に役立つ可能性を秘めています。
保管したさい帯血が、赤ちゃんやご家族の未来を変えるかもしれません。
しかし採取できるのは、出産直後のわずか数分間に限られています。
採血と聞くと痛みを伴うイメージがあるかと思いますが、さい帯血の採取は赤ちゃんにもお母さんにも痛みはなく安全に行うことができます。
民間さい帯血バンクなら、赤ちゃん・家族のために保管できる
さい帯血バンクには、「公的バンク」と「民間バンク」の2種類があり、公的バンクでは、さい帯血を第三者の白血病などの治療のために寄付することができます。
一方民間バンクでは、赤ちゃん自身やそのご家族の将来のために保管できます。
現在治療法が確立されていない病気に備える保険として利用できるのが、この民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所は、国内シェア約99%を誇る国内最大の民間さい帯血バンクです。
ステムセル研究所が選ばれる理由
・1999年の設立以来20年以上の保管・運営実績あり
・民間バンクのパイオニアで累計保管者数は7万名以上
・全国各地の産科施設とのネットワークがある
・高水準の災害対策がされた国内最大級の細胞保管施設を保有
・厚生労働省(関東信越厚生局)より特定細胞加工物製造許可を取得
・2021年6月東京証券取引所に株式を上場
詳しい資料やご契約書類のお取り寄せは資料請求フォームをご利用ください。
さい帯血を保管した人の声
■出産の時だけのチャンスだから(愛知県 美祐ちゃん)
■さい帯血が本当の希望になりました(東京都 M・Y様)
※ほかの保管者の声はこちらから
▼さい帯血保管について、もっと詳しく
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー