妊娠初期の生理痛のような痛みの原因とは?3つの対処法と注意すべき症状を解説

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期に生理痛のような痛みを感じる」
「妊娠初期の痛みと生理痛はどう違うの?」
「この痛みにはどう対処すればいいの?」

上記のように悩んでいるのではないでしょうか。

妊娠初期は体に大きな変化が起こる時期で、生理痛のような痛みを感じることは珍しいことではありません。

しかし、初めて経験する人にとっては不安に感じることも多いでしょう。

妊娠初期の生理痛のような痛みには原因があり、適切な対処法を実践すれば症状が和らぎます。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

  • 妊娠初期に生理痛のような痛みが起こる2つの原因
  • 妊娠初期の痛みと生理痛の3つの違い
  • 妊娠初期の生理痛のような痛みへの3つの対処法

この記事を読むと、妊娠初期の痛みについて正しく理解でき、適切に対処できるようになりますよ。

妊娠初期に生理痛のような痛みが起こる2つの原因

妊娠初期に生理痛のような痛みが起こる原因としては、おもに以下の2点があげられます。

いずれも妊娠によって引き起こされる、自然な現象です。

原因 詳細
子宮の成長 ・子宮が妊娠前より大きくなる
・子宮を支える円靭帯が引っ張られる
・筋肉や膜が引き延ばされ、周囲の臓器を圧迫する
ホルモンバランスの変化 ・プロゲステロン、エストロゲンなどのホルモンが急激に増加する
・腸の働きが抑制されて、便秘や下痢による腹痛が起こる

妊娠初期に感じる痛みと生理痛の3つの違い

妊娠初期に感じる痛みと生理痛には、大きく3つの違いがあります。

比較項目 妊娠初期の痛み 生理痛
痛み方 ・軽度の痛み
・「チクチク」「ズキズキ」する感覚
・左右どちらか一方に現れることが多い
・我慢できないほど激しくならない
・鈍い重い痛み
・強い収縮痛
・下腹部全体の痛み
・激しい痛みになることがある
持続期間 断続的に長期間つづく 3~7日間(※1)

痛み方以外にも「基礎体温が高い状態がつづく」といった、 違いがあります。

さらにくわしく知りたい人は、下記も参考にしてくださいね。

【体験談あり】妊娠初期と生理前の違いは?チェックリストで11の症状を解説

(※1)出典:厚生労働省「知っていますか?男性のからだのこと、女性のからだのこと 〜健康で充実した人生のための基礎知識〜」

妊娠初期の生理痛のような痛みへの3つの対処法

妊娠初期の生理痛のような痛みへの対処法としては、以下の3つがあげられます。

・安静にして楽な体勢をとる
・体を温めて血行を促進する
・食事と水分摂取を工夫する

いずれもいますぐに実践できる内容です。

順番に見ていきましょう。

対処法1:安静にして楽な体勢をとる

痛みを感じたときは、無理をせずに休憩をとりましょう。

座るか横になるなど、楽な姿勢で体を休ませると、子宮への血流が改善され痛みが和らぎます。

左側を下にして横向きで寝ると、子宮への血流が改善されやすくなります。

あわせて膝を軽く曲げたり、クッションや抱き枕を足に挟んだりすると、より楽になるでしょう。

体を締め付ける服装は避け、ゆったりとした服装で過ごすことも大切です。

また痛みがある日は、なるべく体に負担のかかる行動は避けて、ゆっくりと体を休めるようにしましょう。

同じ姿勢を長時間続けると、ほかの部分に負担がかかることがあるため、適度に体勢を変えるとよいでしょう。

対処法2:体を温めて血行を促進する

体を温めると血流が促進され、腹痛の緩和が期待できます。

具体的には、

・約38〜40度のぬるめのお湯で入浴
・腹部に温かいタオルや湯たんぽを当てる
生姜など体を温める食材を摂取する
白湯やノンカフェインの温かい飲み物を飲む

などがあげられます。

ただし長湯は、貧血や疲労の原因になるため注意が必要です。

また、ブランケットや湯たんぽなどの冷え対策アイテムの使用も有効です。

対処法3:食事と水分摂取を工夫する

食物繊維を豊富に含む野菜や果物、全粒穀物などを積極的に摂取すると、便秘予防ができ、腹痛が和らぐでしょう。

また、こまめな水分補給も腸の働きを活発にしてくれます。

一方で、刺激物や油っこいもの、消化の悪いものは腸に負担をかけるため避けましょう。

ゆっくりと食事をとり、食事の回数を増やすことも、腸への負担軽減に有効です。

妊娠初期の生理痛のような痛みで注意すべき症状

腹痛を伴った出血が起こる場合は、切迫流産の可能性が考えられます。

切迫流産では、子宮収縮に伴う鈍痛や性器出血が見られる場合が多く、早期発見と適切な対応が重要です。

また妊娠初期には、卵巣嚢腫茎捻転という急性腹症が発生する可能性もあり、突然の激しい腹痛として現れる場合も(※2)。

上記のような症状がある場合は「妊娠初期だから仕方ない」と軽視せずに、迷わず医療機関で受診しましょう。

(※2)出典:CiNii Research|順天堂大学(村上 圭祐)セントマザー産婦人科医院(御木多 美登)ほか「妊娠20週以降に卵巣嚢腫茎捻転を起こした4症例の検討」静岡産科婦人科学会雑誌 2012

妊娠初期の生理痛のような痛みに関するQ&A

ここでは妊娠初期の生理痛のような痛みについて、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

妊娠初期に腰や背中まで痛むことはある?
坂田先生
はい、ホルモンの影響で腰や背中に痛みを感じる妊婦さんは少なくありません。

妊娠初期には、リラキシンというホルモンが分泌され、骨盤の靭帯がゆるみ始めるため、姿勢の変化や筋肉への負担で腰痛・背部痛が起こりやすくなります。

また、デスクワークなどで同じ姿勢が続く、疲れやストレスがたまっている、といった生活習慣も痛みを強める要因になります。

安静にしても痛みが強まる、下腹部の張りを伴う、出血があるといった場合は、産婦人科で相談してください。

妊娠初期の生理痛のような痛みは、流産のサインなの?
坂田先生
多くの場合は「子宮が大きくなり始めているサイン」であり、異常とは限りません。

妊娠初期には、子宮が赤ちゃんの成長に合わせて伸び始めるため、生理のときのような下腹部の痛みや、チクチク、ズーンとした鈍い痛みを感じる人が少なくありません。

ただし、以下の症状がある場合は流産の兆候の可能性があるため、すぐに受診をおすすめします。

・出血を伴う(特に鮮血)
・痛みがどんどん強くなる・波がある
・安静にしていてもおさまらない

「少し気になるな」という段階でも、遠慮せず医師に相談しましょう。

妊娠初期に茶色のおりものがでることはある?
坂田先生
はい、茶色のおりものは「古い血液」が混ざっていることが多く、妊娠初期にはよく見られます。

・着床出血の名残(妊娠4〜6週頃)
・子宮内の粘膜が刺激されたことによる少量出血
・性交後や内診後の出血が混ざるケース

が主な原因です。

1〜2日でおさまり、痛みがなければ様子見でOKなことがほとんどですが、「茶色から赤色の出血に変わる」「下腹部の痛みや張りを伴う」「おりものの量が多い・長く続く」という場合はすぐに受診しましょう。

少しでも不安なときは、無理に自己判断せず、医療機関に相談するのが安心です。

まとめ

妊娠初期の生理痛のような痛みは、ホルモンバランスの変化と子宮の成長という2つの原因によって引き起こされる自然な現象です。

プロゲステロンやエストロゲンの急激な増加により腸の働きが抑制されるほか、子宮が大きくなることで円靭帯が引っ張られ、周囲の臓器を圧迫することで痛みが発生します。

生理痛とのおもな違いは以下のとおりです。

項目 妊娠初期の痛み 生理痛
痛み方 軽度でチクチク・ズキズキ 鈍い重い痛み
持続期間 断続的に長期間 3~7日間

また妊娠初期の生理痛ような痛みには、以下3つのような対処法が効果的です。

対処法 詳細
安静にして楽な体勢をとる 左側を下にして横向きに寝る
体を温めて血行を促進する 38~40度のぬるめのお湯で入浴
食事と水分摂取を工夫する 食物繊維を豊富に含む食材を摂取する

ただし、腹痛を伴った出血がある場合は切迫流産などの可能性があるため、早急に医療機関で受診することが重要です。

妊娠初期だからと軽視せず、適切な対応を心がけましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー