妊娠初期は温泉に入っても大丈夫?安全な入浴のポイントと注意点を助産師監修で解説

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期に温泉に入っても大丈夫なの?」
「赤ちゃんに悪影響がないか心配…」
「安全に温泉を楽しむにはどうすればいいの?」

上記のように悩んでいるのではないでしょうか。

妊娠がわかると温泉旅行を控える人も多いですが、妊娠初期の温泉入浴は医学的に安全とされています。

ただし、体調や入浴方法には十分な注意が必要です。

妊娠初期の温泉入浴には、適切な利用方法が存在するのです。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

  • 妊娠初期の温泉入浴が安全とされる根拠
  • 温泉入浴を避けるべき症状と状況
  • 妊娠初期に安全に温泉を利用するための3つのポイント

この記事を読むと、妊娠初期でも安心して温泉を楽しめるようになりますよ。

妊娠初期の温泉入浴は医学的に安全

平成26年の温泉法改正により、妊娠初期(妊娠中)の温泉入浴は禁忌事項から正式に削除されました(※1)。

この改正は科学的根拠に基づいて行われ、現在では医学的に安全とされています。

実際に日本温泉気候物理医学会が行った大規模調査(1,721例)では、妊娠初期から中期にかけて、週1回以上温泉に入浴する妊婦と週1回未満の妊婦との間で、産科的トラブルに有意な差は認められませんでした(※1)。

さらに別の研究では、妊娠中に温泉浴を行った36名のうち、子宮収縮感を訴えたのはわずか1名(3%)のみで、切迫流産や早産などの深刻な合併症は一切報告されていません(※2)。

これらのデータから、妊娠初期の温泉入浴が母体や胎児に悪影響を与えないといえるでしょう。

ただし妊娠中でも、温泉への入浴を避けたほうがよいケースもあります。

(※1)出典:CiNii Research|鹿児島大学(宮田 昌明)東京都市大学(早坂 信哉)ほか「妊婦の温泉浴の安全性の検討」日本温泉気候物理医学会雑誌 83 (3), 140-150, 2020-10-31

(※2)出典:J-STAGE|JA静岡厚生連 静岡厚生病院(中山 毅)「質問紙調査に基づく、妊婦の入浴習慣と妊娠経過への影響」日本温泉気候物理医学会雑誌 2014 年 77 巻 3 号 p. 250-256

体調不良やつわりの症状がある場合は温泉の利用を控える

妊娠初期は母体と胎児の状態が安定しておらず、流産や早産の危険性が高い時期です。

体調不良やつわりの症状がひどい場合は温泉入浴は避けたほうが安全でしょう。

とくに、

  • 吐き気
  • 嘔吐
  • めまい

などの症状がある際は、温泉の熱や湿気で症状が悪化する可能性があります。

法改正があったとはいえ、体調が優れない日は無理をせず、母体と胎児の安全を最優先に考えて、できれば体調が整うまで温泉の利用は避けたほうが無難でしょう。

妊娠初期に安全に温泉を利用するための3つのポイント

妊娠初期に温泉を利用する際に気をつけたいポイントは、以下の3点です。

  • 温泉の湯温
  • 転倒
  • 体調と感染症

順番に見ていきましょう。

ポイント1:温泉の湯温

妊娠初期の温泉入浴では、湯温は37〜40℃程度を目安にしましょう(※3)。

高温のお湯は急激に血圧を変化させるため、注意が必要です。

長時間の入浴も避けましょう。

妊娠中は体調が変化しやすく、長時間の入浴により湯あたりを招く可能性があります。

入浴回数も1日1〜2回程度までに制限し、頻繁な入浴による体への負担を軽減することが大切です(※3)。

温泉の成分による影響は医学的に証明されていませんが、施設によっては「妊娠中は禁忌」と掲示されている場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。

(※3)出典:JCHO北海道病院 産婦人科「母親学級のしおり」

ポイント2:転倒

浴槽から急に立ち上がらず、手すりや浴槽のへりを使ってゆっくりと動作を行いましょう。

急に姿勢を変えると、血圧の変動を引き起こし、めまいや立ちくらみの原因となります。

また温泉施設の床は滑りやすいため、歩行時は注意深く移動し、急いだ動作は控えるようにしましょう。

ポイント3:体調と感染症

体調が優れないときや、食後すぐの入浴は避けて、体に負担をかけないように心がけましょう。

妊娠中は免疫機能が低下するため、不特定多数の人が利用する温泉施設では感染症のリスクが高まります。

とくに妊娠初期は胎児の器官形成期にあたるため、感染症には注意が必要です。

温泉に入る前にはシャワーで体を清潔にし、入浴後も清潔にしましょう。

慢性疾患がある場合や、妊娠経過に不安がある場合は、事前に主治医に相談してから温泉入浴を検討してください。

定期的な妊婦健診を受けて妊娠経過が順調であることを確認し、医師の許可を得てから温泉を楽しみましょう。

妊娠初期の温泉利用に関するQ&A

ここでは妊娠初期の温泉利用について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

妊娠初期に温泉に入ると、胎児に悪い影響はある?
坂田先生
基本的には、温泉そのものが胎児に悪影響を及ぼすことはほとんどありません。

お湯にゆっくりつかって体を温めることは、リラックス効果・血流改善・自律神経の安定などのメリットも多くあります。

ただし、妊娠初期はつわりやホルモンの影響で体調が不安定になりやすく、急なのぼせ・めまい・転倒などのリスクがあるため、体調がいい日に無理せず入るようにしましょう。

妊娠初期の温泉入浴で避けるべき泉質は?
坂田先生
刺激が強い以下のような泉質は、妊娠初期は避けた方が安心です。

  • 硫黄泉:皮膚刺激が強く、においで気分が悪くなることも
  • 酸性泉:肌がピリピリしやすく、デリケートゾーンがしみることも
  • 高温泉(42℃以上):のぼせやすく、体温上昇による負担が心配

一方で、単純温泉(透明・無臭)や弱アルカリ性泉は刺激が少なく、比較的安心して入浴できます。

体調が安定していて、短時間・ぬるめのお湯であれば、温泉を楽しむことも可能です。

心配なときは、事前にかかりつけの産婦人科に相談しておくと安心です。

妊娠初期でサウナや水風呂は利用してもいい?
坂田先生
サウナは短時間でも体温が急上昇しやすく、胎児にとって高体温がリスクになる可能性があるとされています。

また、水風呂は急激な温度変化によって血圧が上下し、めまいや転倒のリスク、子宮の収縮を引き起こす可能性も。

妊娠初期のサウナ・水風呂はなるべく避け、代わりに、ぬるめの足湯やアロマバスで心と体をほぐすのがおすすめです。

まとめ

妊娠初期の温泉入浴は、平成26年の温泉法改正により医学的に安全とされています。

ただし以下のような症状がある場合は、温泉入浴を避けるべきでしょう。

  • 吐き気・嘔吐
  • めまい
  • 体調不良全般

妊娠初期に安全に温泉を利用するためのポイントは、以下のとおりです。

ポイント 注意事項
湯温 ・37〜40℃程度

・長時間入浴は避ける

転倒防止 ・急な立ち上がりを控える

・手すりを利用

感染症対策 ・入浴前後は清潔に

・体調管理

妊娠中は免疫機能が低下するため、不特定多数が利用する施設では感染症リスクが高まります。

慢性疾患がある場合や妊娠経過に不安がある場合は、事前に医療機関で相談し、定期的な妊婦健診で順調な経過を確認してから温泉を楽しみましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

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高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

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2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
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現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

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一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

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ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
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ステムセル
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この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー