妊娠初期に体重が増加する2つの理由とは?過度な体重増加を防ぐ方法も紹介
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠してから体重が増えてきた」
「この体重増加は正常なの?」
「過度な体重増加を防ぐにはどうすればいいのだろう」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
妊娠初期の体重増加には医学的な理由があり、適切な対処法も存在します。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期に体重が増加する2つの理由
・妊娠初期の適正な体重増加のペース
・過度な体重増加を防ぐ3つの対処法
この記事を読むと、妊娠初期の体重変化について正しく理解でき、健康的な体重管理ができるようになりますよ。
妊娠初期に体重が増加する2つの理由

妊娠初期に体重が増加する理由として、おもに以下の2つがあげられます。
・母体の血液量の増加
・ホルモンの影響
順番に見ていきましょう。
理由1:母体の血液量の増加
妊娠すると、胎児に十分な栄養と酸素を届けるために妊娠初期から徐々に血液量や体液量が増加し、その分だけ体重が増加します。
妊娠初期の血液増加量は激しくなく、妊娠中期以降から急速に増え、妊娠28〜32週で最大となるといわれています(※1)。
血液量の増加は妊娠期間を通してつづく変化であり、健康な妊娠を維持するために欠かせない現象です。
(※1)出典:国立国会図書館|道方香織、池ノ上克「1.妊娠の整理」日産婦誌59巻12号
理由2:ホルモンの影響
妊娠すると、女性ホルモンのバランスが大きく変化して、妊娠維持のために脂肪を蓄えるように働きかけ、乳腺も発達して重くなります。
また、一部の方は黄体ホルモンの作用によって、食欲が増して体重も増加しやすくなることもあります。
妊娠期には胎児を育むため、
・エネルギー
・たんぱく質
・各種ビタミン
の必要量が増加するため、自然と食事量が増える傾向があります。
またホルモンの変化は胃腸の運動性を低下させ、体内に水分を蓄えやすくなるため、むくみが生じやすくなり、体重増加の一因となります。
妊娠初期の適正な体重増加のペース

妊娠初期の体重増加については、つわりなどの個人差が大きいため、厳格な基準は設けられていません。
妊娠初期は体重増加に関するデータが少ないため、個々のつわりなどの状況を踏まえて対処していくことが推奨されています(※2)。
なお妊娠中期から末期にかけては、低体重(BMI18.5未満)と普通体重(BMI18.5以上25.0未満)の人で、1週間あたり0.3〜0.5kgの体重増加が推奨されているため、覚えておくとよいでしょう(※2)。
妊娠初期の体重変化に不安を感じる場合は、医療機関で相談して個別のアドバイスを受けてください。
▼妊娠中の適切な体重増加ペースや摂取カロリーは?体重管理について詳しい記事はこちら
(※2)出典:厚生労働省「4「妊娠期の至適体重増加チャート」について 」
妊娠初期の体重増加を防ぐ3つの対処法

妊娠初期の体重増加を防ぐ対処法としては、おもに以下の3つがあげられます。
・バランスのよい食事を心がける
・食事の回数と食べ方を工夫する
・医師による個別指導を受ける
順番に見ていきましょう。
対処法1:バランスのよい食事を心がける
妊娠初期の体重増加を防ぐには、質のよい栄養をバランスよく摂取することが大切です。
主食・主菜・副菜を組み合わせた「一汁二菜」の定食スタイルを基本にすると、栄養バランスが整いやすくなります(※3)。
また妊娠初期には、胎児の体や内臓が盛んに形成されるため、たんぱく質を含む肉・魚・卵・大豆製品を十分にとる必要があります。
緑黄色野菜も積極的に食べて、葉酸などの必要なビタミン・ミネラルも補給しましょう。
妊娠初期に食事でとるエネルギーは、非妊娠時の「+50kcal」と少ない増加で十分です(※3)。
間食は控えめにして過度なエネルギー摂取を避けながら、質のよい栄養素を意識的に取り入れることで、健康的な体重管理が可能になります。
(※3)出典:福知山市 公式ホームページ「妊娠前・妊娠中の食事について」
対処法2:食事の回数と食べ方を工夫する
体重増加を防ぐためには、食べ方の工夫も効果的です。
ゆっくり噛んで食事をとると、大量に食べなくても満腹感を得られるでしょう。
つわりで一度に食べられない場合は、食事の回数を増やして少量ずつ摂取しても問題ありません。
また食事は薄味を心がけることも大切で、濃い味付けは水分のとり過ぎやご飯の量が増えることにもつながります。
可能な限り毎日3食を規則正しくとり、栄養バランスを考慮した食事計画を立てましょう。
妊娠初期の食事や具体的なレシピについて、詳しく知りたい人は下記も参考にしてみてくださいね。
対処法3:医師による個別指導を受ける
妊娠中の体重管理には、定期的な体重測定と専門医による個別の指導が欠かせません。
前述したように妊娠初期の体重増加に関するデータは少ないため、医療機関などで個別に相談することが推奨されています。
現時点での最善の方法は、一人ひとりの妊婦に対して体重増加の不足や過剰の有無について定期的に確認し、個々の状況を考慮したうえでアドバイスを受けることです。
妊婦健康診査の度に体重増加をチェックするのは、母体と胎児の予後に影響するためです。
むくみにより急に体重が増える場合もあるため、不安な場合は医療機関で相談して適切な指導を受けましょう。
妊娠初期の体重増加に関するQ&A
ここでは妊娠初期の体重増加について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
少しの減少なら赤ちゃんに大きな影響はありません。
ただし、食事がほとんどとれない、体重が急激に減るといった場合は「妊娠悪阻」と呼ばれる状態の可能性があるため、早めに医師に相談しましょう。
散歩やマタニティヨガなど、体に負担の少ないものがおすすめです。
体重管理というより「気分転換や血流を良くするため」と考えると安心です。
始める前に必ず主治医に相談してください。
また、後期の体重増加をコントロールしにくくなることもあります。
妊娠初期は体重の変化があって当然なので、極端に気にしすぎず、バランスのよい食事と無理のない生活リズムを心がけましょう。
まとめ
妊娠初期の体重増加は、おもに母体の血液量増加とホルモンバランスの変化によるものです。
妊娠初期の体重増加量については、つわりなどの個人差が大きいため厳格な基準は設けられていません。
体重増加を防ぐ対処法は以下のとおりです。
| 対処法 | 詳細 |
| バランスのよい食事 | ・一汁二菜の定食スタイル ・たんぱく質・緑黄色野菜を積極摂取 |
| 食事の工夫 | ・ゆっくり噛む ・少量ずつ複数回に分ける ・薄味を心がける |
| 医師による指導 | ・定期的な体重測定 ・個別相談でアドバイスを受ける |
急激な体重増加やむくみが気になる場合は、医療機関で相談して適切な指導を受けましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
