さい帯血保管はするべき?2つのデメリットや治療実績を紹介

記事監修者:医学博士 伊沢博美 先生
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医

「さい帯血の保管はするべき?」
「将来本当に役立つのだろうか」
「デメリットもあるのでは?」
さい帯血保管について、このような疑問を抱えているのではないでしょうか。
さい帯血には将来の病気治療に活用できる可能性がある一方で、保管には費用がかかります。
また採取できるタイミングも限られているのです。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・さい帯血保管のメリットとデメリット
・さい帯血を使った治療実績
・さい帯血を保管した人の声
この記事を読むと、さい帯血を保管すべきか判断する際の参考になる情報が得られますよ。
【結論】家族の万が一に備えたいなら、民間バンクでさい帯血保管しよう
さい帯血の保管は、赤ちゃんとその家族の将来の健康を守る選択肢のひとつです。
さい帯血には血液や神経などを作り出す「幹細胞」が豊富に含まれているため、将来的にさまざまな病気の治療に活用できる可能性があります。
とくに脳性まひや自閉症スペクトラム障害(ASD)などの神経系疾患の臨床研究が進んでおり、さい帯血の活用が期待されています。
また、赤ちゃん本人のさい帯血を、将来治療に使用する際は、拒絶反応のリスクが低いというメリットも。
さらに、家族の治療にも使用できる可能性があるため、家族全体の「保険」としての役割も果たします。
さい帯血の採取は、出産直後のわずか数分間しかチャンスがありません。
しかし家族の健康と安心を守るための投資として、十分な価値があるといえるでしょう。
ただし、赤ちゃん本人や家族のためにさい帯血を使いたいなら、民間バンクで保管する必要があります。
民間バンクと、もうひとつの保管先である「公的バンク」の違いについては下記を参考にしてくださいね。
民間バンクでさい帯血保管するデメリット2つ
民間バンクでのさい帯血保管には、以下のようなデメリットもあります。
・経済的負担が増える
・採取タイミングが限られる
順番に見ていきましょう。
デメリット1:経済的負担が増える
民間バンクでさい帯血を保管する場合、無料での保管はできないため経済的な負担が生じます。
たとえば、ステムセル研究所でさい帯血を保管する場合の費用は以下のとおりです。
プラン名 | 詳細 | 料金 |
ONEホーププラン | さい帯・さい帯血のどちらかを保管 | ・10年保管:月々2,980円(税込)
・20年保管:月々3,530円(税込) |
Wホーププラン | さい帯・さい帯血の両方を保管 | ・10年保管:月々3,980円(税込)
・20年保管:月々5,080円(税込) |
さい帯血保管を検討する際は、家族の経済状況も考慮する必要があります。
デメリット2:採取タイミングが限られる
出産時の状況によっては、さい帯血の採取が困難になる場合があります。
多くの場合、通常の経膣分娩では問題なく採取できますが、以下のような状況では母体と赤ちゃんの安全が最優先されるため、採取がむずかしくなることがあるのです。
・早産
・大量出血
・緊急帝王切開
さらに採取できた場合でも、細菌混入や検体量不足などの理由により「約10%」の確率で保管に至らないケースがあります(※1)。
なおステムセル研究所では、さい帯・さい帯血の両方が採取できなかった場合、費用は発生しません。
(※1)出典:ステムセル研究所「よくあるご質問」
民間バンクのさい帯血を使った2つの治療実績
民間バンクに保管していたさい帯血が、治療に使われた以下3つの治療実績を紹介していきます。
・脳性まひ
・低酸素性虚血性脳症
本人のさい帯血を投与した事例もありますが、きょうだいの治療に利用できている点にも注目しながら見ていきましょう。
実績例1:脳性まひ
脳性まひは、出生前から出産直後に起こる脳の損傷が原因で発症する疾患で、運動困難と筋肉のこわばりなどの特徴があげられます。
治療の対象となった子どもには、
・左手と左足にまひ
・歩行時に頻繁に転倒
などの症状が見られていました。
しかし保管していた本人のさい帯血治療後、以下のような変化が現れました。
・翌日から転倒回数が減少
・おもちゃを両手で掴めるようになった
さらにその後、地域の小学校の普通級に集団登校できるまでに改善されたのです。
出典:ステムセル研究所「さい帯血情報」2023年6月号Vol.126ステムセル研究所発行
実績例2:低酸素性虚血性脳症
新生児の脳に酸素や血流が十分に行き渡らないことで発症する低酸素性虚血性脳症。
この疾患に対し、デューク大学にてさい帯血を用いた治療が行われました。
対象となったのは、次のような症状を持つ7歳の子どもでした。
・自力で寝返りや座位を取れない
・てんかん発作を伴う
本人のさい帯血保管はしていなかったものの、妹の出産時にステムセル研究所に保管していたさい帯血の型が一致。
妹のさい帯血投与後には、以下のような変化が確認されています。
・毎日起こっていた部分痙攣が、24時間ほど完全に止まった
・1か月後には粗大運動機能の回復が見られた
とくに歩行器の使用に関しては、それまで単に足を突っ張るだけだった状態から、筋肉の緊張と弛緩をコントロールできるようになりました。
さらに言葉の理解力が向上するなど、認知機能面での改善も観察されたのです。
出典:ステムセル研究所「さい帯血情報」2022年8月号Vol.123ステムセル研究所発行
ステムセル研究所でさい帯血保管した人の声
ここでは、実際にステムセル研究所でさい帯血を保管した人の声を見てみましょう。
以下は、保管した人の声を一部抜粋・編集したものです。
我が家にとって、さい帯血は生命保険のようなもの。
単なる生命保険ではなく、万が一の命を救ってくれるかけがえのない保険です。
病院の母親学級でさい帯血の説明を聞いたとき、その重要性や安全性、高い治療効果に驚きました。
そして将来的にその価値がさらに高まることを期待して、さい帯血を保管することに。
子どもの命を全力で守ることは、何よりも重要な親としての役目だと考えています。
我が子が大きくなったときに、さい帯血とはどういうものなのかを、命の大切さとともに教えようと思っています。
さい帯血保管に関するQ&A
ここではさい帯血の保管について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

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まとめ
さい帯血保管は、赤ちゃんとその家族の将来の健康を守る重要な選択のひとつです。
幹細胞が豊富に含まれるさい帯血は、将来的にさまざまな病気の治療に活用できる可能性があり、脳性まひや自閉症スペクトラム障害(ASD)などの神経系疾患の臨床研究が進んでいます。
赤ちゃん本人やその家族のためにさい帯血保管をするなら、民間バンクを利用する必要があります。
民間バンクにさい帯血を保管するおもなメリット・デメリットは以下のとおりです。
メリット | デメリット |
・拒絶反応のリスクが低い ・家族全体の命の「保険」になる |
・経済的負担 (ステムセル研究所の例:月々2,980円(税込)~5,080円(税込)) ・採取タイミングが限られる (約10%の確率で保管に至らないケースあり) |
民間バンクへのさい帯血保管は、家族の将来の健康を守るための投資として十分な価値があるといえるでしょう。
ただし経済的負担や採取の制限を考慮し、家族の状況に応じて保管するのか判断してください。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

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国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

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無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
医学博士 伊沢博美 先生
経歴
神宮外苑Woman Life Clinic 院長
獨協医科大学医学部卒業、医学博士。
日本再生医療学会再生医療認定医、日本抗加齢医学会専門医。順天堂医院、婦人科・内科健診施設、再生医療等提供機関に勤務。
2020年に『神宮外苑Woman Life Clinic』を開設。女性内科・不妊・更年期障害など女性特有の健康課題に対し、一人ひとりに合わせた医療ソリューションを提供。
資格
医学博士/日本再生医療学会再生医療認定医/日本抗加齢医学会専門医/遺伝子細胞治療認定医