バースプランとは?書くタイミングや記入例、注意点も解説
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「バースプランには、なにを書けばいい?」
「いつ頃から準備すればいいの?」
「つくり方がわからない…」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
初めての出産では不安も多く、自分の希望をどう伝えればよいか迷ってしまいますよね。
バースプランは、あなたが自分らしい満足できる出産を迎えるためのものです。
適切なタイミングではっきり希望を伝えると、医療機関と一緒によりよい出産を目指せます。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・バースプランを書く最適なタイミング
・具体的な記入例とテンプレート
・作成時のポイントと注意点
この記事を読むと、バースプランの書き方が理解でき、安心して出産に臨めるようになりますよ。
バースプランはよい出産を迎えるためのもの

バースプランとは、自分らしく満足できる出産を迎えるために、自身の考え方や希望・要望を記載したものです。
たとえば、
・妊娠中の過ごし方
・立ち会いの有無
・生まれてくる赤ちゃんへの対応
・産後の入院生活
などについて、自身やご家族の望みを記入します。
この内容をもとに、担当医と話し合い、お互いの理解を深めながら、安全でよりよい出産を一緒に目指していきます。
また世界保健機関(WHO)のガイドラインでも推奨されており、妊婦さんが主体となったケアを実現するための、医療機関とのコミュニケーション手段とされているのです(※1)。
バースプランをつくると、出産への心の準備ができ、落ち着いた状態で出産に臨めるようになるだけでなく、家族と一緒に考えを共有する機会にもなります。
(※1)出典:J-STAGE|千葉大学大学院看護学研究院(森 恵美,岩田 裕子ほか)「妊娠期にバースプランを作成して出産をした女性の経験」日本母性看護学会誌 2022年22巻2号p.9-16
バースプランを書くタイミング

バースプランを書くタイミングは、医療機関によって異なります。
たとえば妊娠27週頃に説明を受けるケースや、妊娠30週頃の妊婦健診時に用紙を受け取るケースがあります(※2,3)。
この時期に設定されている理由として、妊娠中期から後期にかけて出産のイメージをもてるようになり、医療機関との面談時間も確保しやすくなるためです。
提出後は医療機関が記載内容を確認しながら、希望や不安について話し合い、可能な限り希望に沿った出産をするためのサポートをしていきます。
(※2)出典:独立行政法人 労働者健康安全機構 関西ろうさい病院 産科「バースプラン」
(※3)出典:岡山済生会総合病院 / 岡山済生会外来センター病院「自分らしい出産に向けてバースプランを立ててみよう」
バースプランの記入例|テンプレート紹介

バースプランには、立ち会い出産の希望や過ごし方、分娩方法など、あなたが望む出産の形をはっきり記入していきましょう。
たとえば、以下のような記入例があげられます。
| 項目 | 記入例 |
| 立ち会い出産 | ・夫に立ち会ってほしい ・生まれる直前だけ夫に立ち会ってほしい ・家族は誰も分娩室に入ってほしくない |
| 陣痛中の過ごし方 | ・好きな音楽を聴いてリラックスしたい ・アロマを使いたい ・呼吸法を教えてほしい ・できるだけそばにいて励ましてほしい |
| 分娩時の処置 | ・会陰切開はできるだけ避けたい ・浣腸や剃毛はしてほしくない ・できれば陣痛促進剤は使ってほしくない |
| 分娩後の希望 | ・カンガルーケアをしたい ・生まれた後に写真や動画を撮ってほしい ・夫に抱っこをしてほしい ・初乳をすぐに与えたい |
| 入院中の授乳方法 | ・できるだけ母乳で頑張りたい ・母乳と人工ミルクの混合栄養で育児をしたい ・母乳がよく出る方法を教えてほしい |
| 入院中の部屋 | ・母子同室にしてほしい ・個室にしてほしい ・体力がないので母子別室がいい |
| 分娩スタイル | ・布団の上で出産したい ・アクティブバースがしたい ・夫にマッサージをしてもらいたい |
あくまで希望を伝えるものであるため、些細なものでも遠慮せずはっきり記入しましょう。
母子の安全第一で出産が進められるため、希望通りにいかない場合もありますが、可能な限りサポートしてもらえます。
医療機関からバースプランのテンプレートが公表されているため、参考にしてみてください。
バースプラン作成時の3つのポイントや注意点

バースプラン作成時に覚えておきたいポイントや注意点としては、おもに以下の3点があげられます。
| 注意点 | 詳細 |
| すべての希望が叶うとは限らない | ・母子の安全が最優先される ・産院の体制や妊娠経過によって実現できない場合も ・計画通りにいかない場合も柔軟に対応する |
| パートナーや家族と一緒に考える | ・お互いの考えや希望をすり合わせる ・立ち会い出産の希望を確認する ・出産に対する意識を高める機会にする |
| わかりやすく記入する | ・希望だけでなく理由も添える ・「リラックスしたい」より「音楽をかけてリラックスしたい」など具体的に ・小さな希望も記載する ・迷ったら医療機関で相談する |
この3つの注意点を意識しながら作成すると、より納得のいく出産ができますよ。
バースプランに関するQ&A
ここではバースプランについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
出産が近づくにつれて分娩計画を立てる時期になるため、その前に考えておくとスムーズです。
ただし、提出時期は病院によって異なるので、健診の際に医師や助産師に確認しておきましょう。
早めに考え始めておくと、自分の希望を整理しやすくなります。
大きな病院では書面で希望を伝えることが多い一方で、クリニックや助産院では口頭で相談しながら進めることもあります。
自分の通っている施設でバースプランの案内がない場合でも、希望があれば自分から相談して大丈夫です。
医療スタッフは「どんなお産をしたいか」を聞いてくれることが多いです。
その場合は、なぜ難しいのかをきちんと説明してもらうことが大切です。
また、「全てを叶えること」にこだわらず、「何を一番大切にしたいか」を伝えると、代わりの方法を提案してもらえることもあります。
お産はチームで行うものなので、医療スタッフと話し合いながら納得できる形を見つけていきましょう。
まとめ
バースプランは、あなたが理想の出産を迎えるために、希望や要望を記載するコミュニケーションツールです。
WHOのガイドラインでも推奨されており、医療機関と妊婦さんが対話を深め、安全で満足度の高い出産を実現します。
作成時期は妊娠27〜30週頃が一般的で、
・立ち会い出産の有無
・陣痛中の過ごし方
・分娩時の処置
など、くわしく希望を記入します。
以下のような項目を参考に作成しましょう。
| 項目 | 記入例 |
| 立ち会い出産 | 夫に立ち会ってほしい |
| 陣痛中の過ごし方 | 好きな音楽を聴きたい |
| 分娩時の処置 | 会陰切開は避けたい |
| 分娩後の希望 | カンガルーケアをしたい |
注意点として、母子の安全が最優先されるため、すべての希望が叶うとは限りません。
家族やパートナーとともに考え、わかりやすい記載を心がけましょう。
小さな希望でも遠慮せず記入し、出産に対する心の準備を整えましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
