臨月はいつから?体に起こる変化や準備すべきことも解説

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「臨月っていつから?」
「臨月に入るとなにか変わるの?」
「どう過ごせばいいのかわからない…」

上記のように不安を感じているのではないでしょうか。

臨月は「妊娠37週以降」の期間をさします。

また初めての出産では、臨月の過ごし方や準備について迷うことも多いですよね。

しかし適切な準備と対処法がわかれば、安心して出産を迎えられます。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・臨月の定義
・臨月に起こる6つの体の変化と対処法
・臨月に準備すべきことと過ごし方のポイント

この記事を読むと、臨月を安心して過ごせるようになりますよ。

臨月は妊娠37週以降

臨月は「妊娠37週以降」の期間をさします。

なお臨月は一般的に使われる言葉であり、医学的な正式用語ではありません。

医療現場では、妊娠37週0日から41週までを「正期産」と呼び、胎児の体が十分に発達して安全に生まれられる時期として定義されています(※1)。

医学的には、母子ともにリスクが低く、もっとも安全に出産できる理想的なタイミングと考えられています。

実際に妊婦さんの「約90%以上」が、正期産の期間に出産を迎えており、多くの胎児がこの時期に生まれてきます(※2)。

なお妊娠37週より前の出産は「早産」、妊娠42週以降の出産は「過期産」と呼ばれ、それぞれ異なるリスクや注意点があります(※1)。

早産について詳しく知りたい人は、下記も参考にしてみてください。

早産はいつから?その要因や兆候・予防策など徹底解説

また自身が臨月なのかわからない、という人は下記から簡単に計算できるため、試してみてくださいね。

厚生労働省「いつ、何に気をつければいい?妊娠週数・月数の自動計算」

(※1)出典:日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」

(※2)出典:厚生労働省「令和3年度 出生に関する統計の概況」

臨月に起こる6つの体の変化

臨月に妊婦さんに起こる体の変化として、おもに以下の6つがあげられます。

症状 主な内容 対処法
お腹の張り ・子宮が収縮してお腹が張りやすくなる
・不規則で軽い痛みの前駆陣痛が起こる
・お腹が張ったときは座って休憩をとる
・張りが続く場合や痛みが規則的になったら医療機関に連絡する
頻尿・尿漏れ ・トイレが近くなり、少しの尿でも行きたくなる
・くしゃみや咳で尿漏れが起こる
・こまめにトイレに行く
・尿漏れパッドを活用する
足の付け根や恥骨の痛み ・歩くと足の付け根や恥骨が痛む
・股関節痛や腰痛も発症しやすい
・無理をせず体を休める
・足を高くして寝る
むくみ 足や手に余分な水分がたまってむくむ ・長時間の座位や歩行を避ける
・軽い運動をする
・足を高くして寝る
・ぬるま湯につかる
・十分な休息をとる
おりもの増加 少量の血が混じる「おしるし」が出る場合も 大量の出血や水っぽいおりものが出た場合はすぐに医療機関に連絡する
息切れや動悸の改善 ・激しかった動悸、息切れ、胃もたれが改善する
・食欲が戻る
食べ過ぎには注意する

すべての変化が見られるわけではなく、個人差がある点は覚えておきましょう。

【一覧】臨月に準備すべきこと

臨月に準備すべきことを一覧でまとめました。

なにをしたらよいか迷ったときは、見返してくださいね。

準備項目 具体的な内容 ポイント/注意点
入院用品の準備 ・母子健康手帳
・診察券
・前開きパジャマ
・洗面用具
・下着
・汗拭きタオル
・飲み物
・軽食
・退院時の赤ちゃんの洋服 など
病院で用意されているものもあるため事前に確認する
連絡先と交通手段の確認 ・病院までの経路
・所要時間
・タクシー会社の電話番号
・緊急連絡先リスト
・破水は大量の羊水が出る場合も
・迷ったら連絡する
出産の兆候を知る ・初産婦は約10分間隔
・経産婦は約15分間隔の陣痛で連絡
・自宅から病院が遠い場合や医師や助産師にお産が早いだろうと言われている場合は早めに連絡する
家族との話し合い ・母乳育児の希望
・立ち会い分娩の希望
バースプランを立てる
産後のサポート体制の確認 保健センターや助産院など相談場所の確保

病院によって用意されている物品が異なるため、事前に確認してから準備を進めると無駄がありません。

また、各準備項目について詳しく知りたい人は、下記も参考にしてくださいね。

▼臨月の陣痛について

臨月の出血は陣痛のサイン?出血が多い・続くときの対応や陣痛前の症状を解説

▼入院時の持ち物について

出産に備える! 実際に用意した陣痛バッグや入院バッグの中身を紹介

▼陣痛時の連絡について

陣痛で救急車を呼んだらダメ?救急車を呼ぶべきケースや利用料金を紹介

臨月を過ごす際の3つのポイント

臨月の過ごし方として、以下3つのポイントを意識しましょう。

ポイント 詳細
負担のかかる行動を控える ・長距離の移動や旅行
・長時間の車移動
・自転車の運転
・遠出や里帰り出産の直前移動
・重いものを持つ作業
・激しい運動
・前かがみの姿勢での長時間作業
感染症予防と体調管理をする ・人混みの多い場所への外出
・感染症のリスクがある環境
・睡眠不足やストレスを溜めること
適度に運動をする ・マタニティヨガ
・散歩 など

ただし運動する際は、事前に医療機関で相談してから行うようにしましょう。

臨月に関するQ&A

ここで臨月について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

臨月にやってはいけないことはある?
坂田先生
臨月は出産が間近な時期で、体もお産の準備をしています。

無理をすると早産や体調不良の原因になることがあるため、次のようなことは避けましょう。

・激しい運動や長時間の外出
・重い荷物を持つ、しゃがんだり立ったりを繰り返す動作
・遠出や旅行(いつ陣痛が始まるかわからないため)
・自己判断で薬を飲むこと
・ストレスをため込む生活や睡眠不足

体調に波がある時期なので、できるだけ無理をせず、体を休めながら過ごすことが大切です。

臨月に多い病気や、注意すべき症状はある?
坂田先生
臨月はお腹が大きくなり、血流やホルモンのバランスが大きく変化するため、次のような症状や病気に注意が必要です。

・妊娠高血圧症候群(頭痛、むくみ、急な体重増加、視界のかすみなど)
・妊娠糖尿病(強い喉の渇き、頻尿、体のだるさなど)
・貧血(立ちくらみ、動悸、息切れ)
・早期破水(水っぽいおりものが出るなど)

これらの症状が見られたときは、自己判断せずにすぐ病院へ連絡してください。

早めの対応で安心してお産を迎えられます。

臨月に適した運動をたくさん教えてください。
坂田先生
体調が安定していれば、軽い運動はお産をスムーズにする助けになります。

おすすめは次のようなものです。

1.ウォーキング
短時間(20〜30分程度)を目安に、疲れたらすぐに休みながら行いましょう。お散歩感覚でOKです。

2.スクワット(軽め)
脚の筋力を保ち、骨盤まわりを柔らかくします。壁やイスを支えにして、ゆっくり5〜10回を目安に。

3.骨盤ゆらし(骨盤回し)
椅子に座って骨盤を小さく前後左右にゆらすと、血流がよくなり、腰の重さも和らぎます。

4.マタニティヨガやストレッチ
呼吸を整えながら体をほぐせる運動です。お腹を圧迫しない動きを選びましょう。

5.深呼吸・腹式呼吸の練習

お産のときにも役立ちます。ゆっくり吸って、ゆっくり吐くリズムを意識して行いましょう。

運動は「お産の準備」というより、「心と体を整える時間」として無理なく取り入れるのがポイントです。

まとめ

臨月は妊娠37週以降の時期をさし、医学的には「正期産」と呼ばれています。

臨月に準備しておきたいおもな項目は、以下のとおりです。

準備項目 具体的な内容
入院用品 ・母子健康手帳
・診察券
・パジャマ
・下着
・洗面用具 など
連絡・交通手段 ・病院までの経路確認
・タクシー会社の電話番号
・緊急連絡先リスト
出産兆候の把握 ・初産婦は約10分間隔
・経産婦は約15分間隔の陣痛で病院へ連絡

妊婦さんの体の変化として、

・お腹の張りや前駆陣痛
・頻尿や尿漏れ
・足の付け根や恥骨の痛み
・むくみ
・おりもの増加

などがあげられます。

過ごし方のポイントとして、長距離移動や激しい運動など負担のかかる行動を控え、感染症予防と体調管理を徹底することが大切です。

一方で、マタニティヨガや散歩などの運動をする際は、事前に医療機関へ相談しましょう。

また不安な症状があった際も、すぐに医療機関に連絡しましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー