妊婦健診を受ける5つの目的とは?妊婦健診のスケジュールや検査内容、費用の目安も紹介

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊婦健診はなんのために受けるの?」
「妊婦健診のスケジュールが知りたい」
「妊婦健診の費用がどれくらいかかるか心配…」

上記のように悩んでいるのではないでしょうか。

初めて妊婦健診を受ける場合、受診の目的やスケジュール、費用について不安を感じるものです。

妊婦健診は胎児と妊婦さんを守り、安全な出産をするために欠かせない検査であり、さまざまなメリットがあるのです。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・妊婦健診を受ける5つの目的
・妊婦健診のスケジュールと検査内容
・妊婦健診にかかる費用の目安

この記事を読むと、妊婦健診についての理解が深まり、安心して妊娠期間を過ごせるようになりますよ。

妊婦健診を受ける5つの目的

妊婦健診を受ける目的には、おもに以下の5つがあげられます。

・母子の健康状態をチェック
・妊娠合併症を予防・早期発見
・胎児の成長と健康状態を確認
・胎児の異常を早期に発見
・妊娠期間中を安心して過ごす

妊婦健診では血圧測定や尿検査、血液検査を通じて、病気の兆候がないかを調べていきます。

もし異常が見つかった場合でも、早期に発見できれば適切な治療や生活指導を受けられ、重篤な状態を防げるのです。

また妊婦健診は単に検査を受けるだけでなく、助産師や医師といった専門家に気軽に相談できる貴重な機会でもあります。

妊婦健診は妊婦さんや胎児の病気だけでなく、安全な出産に向けて、準備を整えるために必要なものだといえるでしょう。

▼妊婦健診の尿検査で異常値が出たらどうなる?詳しい記事はこちら

妊婦健診で尿蛋白が出たら?症状や4つの対策を解説

【時期別】妊婦健診のスケジュールと検査内容

妊娠の時期によって、妊婦健診の間隔や検査内容が異なります。

また母体・胎児の状態や、医師の判断などによって異なる場合もありますが、おおまかなスケジュールと検査内容は下表のとおりです。

妊娠時期 受診間隔 おもな検査内容
妊娠0~23週(1~6か月) 4週間に1回 【毎回】
・問診、診察
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・超音波検査
・子宮頸がん検診
・性器クラミジア
妊娠24~35週(7~9か月) 2週間に1回 【毎回】
・問診、診察
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・B群溶血性レンサ球菌
・超音波検査
妊娠36週以降(10か月~) 毎週1回 【毎回】
・問診、診察、内診
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・超音波検査
・胎児心拍モニタリング(NST)

それぞれ時期別に詳細を解説していきます。

妊娠0~23週(1~6か月)

妊娠23週までは、4週間に1回の頻度で健診を受けます(※1)。

この時期は胎児の器官が作られる大切な期間であるため、血液検査で感染症や貧血の有無を調べたり、超音波検査で正常妊娠の確認が行われるのです。

また子宮頸がん検診や、性器クラミジア検査なども実施されます。

母子手帳の交付を受け、妊娠生活についての指導も受けられるでしょう。

(※1)出典:厚生労働省「妊婦健診Q&A」

妊娠24~35週(7~9か月)

妊娠24~35週までの時期は、2週間/回の頻度で健診を受けます(※2)。

胎児が急速に成長する時期であり、母体の体調変化も大きくなるため、より頻繁な確認が必要になるのです。

また、生まれてくる赤ちゃんへの感染症予防としてB群溶血性連鎖球菌検査なども実施され、安全な出産に向けた準備が進められます。

助産師による個別指導や両親学級への参加も、この時期に行われる場合が多いです。

(※2)出典:厚生労働省「妊婦健診Q&A」

妊娠36週~(10か月~)

妊娠36週〜出産までの時期は、毎週健診を受けます(※3)。

いつ出産が始まってもおかしくない時期に入るため、さらに頻繁な健診が必要になるのです。

この時期には胎児心拍モニタリング(NST)で胎児の元気さや、内診で子宮口の開き具合や位置をチェックします。

また最終的な血液検査も行われ、出産に向けた準備が整えられます。

医療機関によって異なりますが、もし妊娠41週を過ぎた場合は、5日ごとなどより頻繁な健診が必要になる場合も(※4)。

▼NST(ノンストレステスト)って何?詳しい記事はこちら

陣痛前の検査で使うモニターとは?NSTの数値の見方や経験談も紹介

(※3)出典:厚生労働省「妊婦健診Q&A」

(※4)出典:横浜市立大学附属病院 周産期医療センター「妊婦健診について」

妊婦健診にかかる費用の目安

妊婦健診の費用は医療機関によって異なりますが、1回あたり5,000〜6,000円程度が一般的です(※5,6,7)。

しかし上記の費用は、母子手帳と一緒にもらえる妊婦健康診査受診票(補助券)を使うことで、無料~一部負担のみとなる場合がほとんどです。

たとえば大阪市(令和7年度)では、

・単胎妊娠で122,020円
・多胎妊娠で129,580円

まで、妊婦健診が無料で受けられるよう公費負担額が設定されています(※8)。

ただし医師が必要と判断した追加検査や、妊婦さんが希望する検査については自己負担費用が発生する場合があるため、注意が必要です。

また妊婦健診の費用は医療費控除の対象にもなるため、確定申告時に領収書を保管しておくと税金の還付を受けられる可能性があります。

(※5)出典:近畿大学病院地域周産期母子医療センター「健診・分娩ご希望の方へ」

(※6)出典:神戸大学大学院医学研究科外科系講座産科婦人科学分野「費用」

(※7)出典:独立行政法人 国立病院機構 大阪医療センター「産科外来」

(※8)出典:大阪市役所「妊婦健康診査」

妊婦健診に関するQ&A

ここでは妊婦健診について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

妊婦健診を受ける際の服装はどのようなものが望ましい?
坂田先生
健診ではお腹の計測やエコー検査があるため、上下が分かれている服装がおすすめです。

ワンピースよりも、めくりやすいトップスとウエストの楽なボトムスが便利です。

着替えやすい服にしておくと、健診もスムーズに受けられます。

妊婦健診の初回受診はいつ頃がいい?
坂田先生
妊娠がわかったら、できるだけ早めに産婦人科を受診しましょう。

一般的には妊娠5~7週頃に初回健診を受けることが多いです。

この時期にエコーで胎嚢や心拍を確認できる場合があります。

早めに受診することで、妊娠が順調かどうかを確認でき、母子手帳の交付の手続きも進められます。

妊婦健診を受けないとどうなる?
坂田先生
妊婦健診を受けないと、妊娠の経過で起こりやすいトラブル(妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病など)に気づくのが遅れてしまうことがあります。

赤ちゃんの発育や心拍も確認できなくなるため、母子ともにリスクが高くなります。

妊婦健診は安心して出産を迎えるために欠かせないものなので、必ず定期的に受けましょう。

まとめ

妊婦健診は母子の健康状態を確認し、妊娠合併症の予防・早期発見を目的とした検査です。

妊娠の進行に応じて受診間隔が変わり、適切な時期に必要な検査を受けることで、安全な出産に向けた準備を整えられます。

妊婦健診のスケジュール例は以下のとおりです。

妊娠時期 受診間隔 おもな検査内容
妊娠0~23週(1~6か月) 4週間に1回 【毎回】
・問診、診察
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・超音波検査
・子宮頸がん検診
・性器クラミジア
妊娠24~35週(7~9か月) 2週間に1回 【毎回】
・問診、診察
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・B群溶血性レンサ球菌
・超音波検査
妊娠36週以降(10か月~) 毎週1回 【毎回】
・問診、診察、内診
・血圧、腹囲、体重、子宮底長などの計測
・尿検査【適宜実施】
・血液検査
・超音波検査
・胎児心拍モニタリング(NST)

費用は1回あたり5,000〜6,000円程度ですが、市区町村から発行される妊婦健康診査受診票(補助券)を使えば、無料や一部負担のみで受けられる場合がほとんどです。

追加検査などで自己負担費用が出た場合は医療費控除の対象となるため、領収書の保管をおすすめします。

母体と胎児の健やかな成長と、安全な出産のため、妊婦健診はきちんと受けましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー