妊娠初期に眠れない原因と3つの対策|やってはいけない行動も紹介
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠してから夜眠れない…」
「つわりや体調不良で睡眠が浅くて辛い」
「妊娠中の不眠にどう対処すればいいの?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
妊娠初期の不眠は多くの妊婦さんが経験する症状ですが、胎児のことを考えると睡眠薬に頼るのは不安ですよね。
妊娠初期に眠れなくなるのにはしっかりとした理由があり、安全で効果的な対処法も存在します。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期に眠れない3つの原因
・妊娠初期に眠れないときの3つの対処法
・妊娠初期に眠れないときにやってはいけない3つの行動
この記事を読むと、妊娠中でも安全に質のよい睡眠を取れるようになりますよ。
妊娠初期に眠れない3つの原因

妊娠初期に眠れない原因としては、おもに以下の3つがあげられます。
・ホルモンバランスの急激な変化
・つわりによる体調の変化
・妊娠への不安やストレス
順番に見ていきましょう。
原因1:ホルモンバランスの急激な変化
妊娠初期の眠れない症状は、おもにプロゲステロンという女性ホルモンの急激な増加が原因です。
プロゲステロンには体温を上げる働きがあるため、夜になっても体温が下がりにくく、寝つきが悪くなってしまいます。
またプロゲステロンには、日中に強い眠気を引き起こす作用も(※1)。
そのため午前中は眠いのに、夜ベッドに入ると目が冴えてしまうという矛盾した症状に悩まされるのです。
日中に長時間昼寝をしすぎてしまうと、よりいっそう夜の寝つきが悪くなる可能性もあります。
さらにプロゲステロンの影響で気分の落ち込み、イライラ、不安などの感情の変化も現れやすくなります。
これらの感情の変化により、夜ベッドに入っても心が落ち着かず、なかなか眠りにつけない状態になってしまう場合もあるのです。
原因2:つわりによる体調の変化
つわりは妊娠初期特有の症状で、眠りの質に影響を与えます。
つわりによる吐き気や胃の不快感によって、夜中に何度も目が覚めてしまうことが少なくありません。
つわりの症状が重い場合、気持ち悪さで横になっていることすら辛く感じる場合も。
また食べ物の匂いに敏感になったり、特定の食べ物を受け付けなくなるため、食後の胃の不快感が続いて眠りを妨げることも。
さらに、妊娠初期には頻尿の症状も現れやすくなります。
妊娠によって子宮が大きくなり始めると膀胱が圧迫され、夜中にトイレに起きることで深い眠りに入るのがむずかしくなります。
▼妊娠初期のつわりについて、より詳しい記事はこちら
原因3:妊娠への不安やストレス
妊娠初期は身体の変化だけでなく、精神的な変化も大きい時期です。
とくに初めての妊娠の場合、
・流産への不安
・胎児の先天性疾患への心配
・高齢出産に対する不安
などの心配事から眠れなくなってしまう人も。
また妊娠による体調の変化に対する戸惑いや、今後の生活への不安なども眠れない要因です。
妊娠初期に眠れないときの3つの対策

妊娠初期に眠れないときの対策として、おもに以下の3つがあげられます。
・朝日を浴びて体内時計を整える
・適度な運動を取り入れる
・寝る前のリラックス時間を作る
順番に解説していきます。
対策1:朝日を浴びて体内時計を整える
妊娠中はホルモンの変化によって自律神経や体内時計の働きが乱れやすくなります。
そのため、朝日を浴びることで体内時計を整え、正しい睡眠サイクルを保つことが重要です。
毎朝決まった時間に起きて朝日を浴びると、眠りを促すホルモンである「メラトニン」の分泌が止まります。
カーテンを開けて部屋に光を取り入れたり、短時間でもベランダや窓際で朝の光を感じるだけでも効果があります。
また起床時間を一定にすると、夜の入眠時間も自然と整いやすくなるでしょう。
眠りを促すメラトニンは就寝2時間前から分泌が始まるため、就寝前は照明やスマホの強い光を見すぎないことが大切です。(※2)
(※2)出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
対策2:適度な運動を取り入れる
軽い運動をすると、心と体をリラックスさせられるため、夜の入眠がスムーズになる傾向があります。
運動を行う時間帯は、就寝の2〜4時間前までが理想的です(※3)。
妊娠初期であれば、散歩やマタニティヨガなどの軽い運動から始めるとよいでしょう。
ただし、つわりがひどい場合や体調が優れない場合は無理をせず、医師と相談しながら適切な運動量を決めましょう。
(※3)出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
対策3:寝る前のリラックス時間を作る
就寝前には心身をリラックスさせる時間を設けましょう。
・ゆっくりとお風呂に入る
・好きな音楽を聞く
・軽いストレッチをする
などで、睡眠に向けた体制を整えられます。
読書や日記を書くなど、自分なりのリラックス方法を見つけることも効果的です。
妊娠初期に眠れないときにやってはいけない3つの行動

妊娠初期に眠れないときにやってはいけない行動としては、おもに以下の3つがあげられます。
・睡眠薬や市販薬の服用
・就寝前のスマホやPCの使用
・長時間の昼寝
順番に見ていきましょう。
行動1:睡眠薬や市販薬の服用
妊娠中の睡眠薬使用については、自己判断での服用は避けましょう。
一般的に市販されている睡眠薬には、妊娠初期の胎児の器官形成に悪影響を与える可能性があるためです。
また妊娠前から服用していた睡眠薬がある場合でも、妊娠が判明した時点で医療機関で相談し、安全性を確認してから服用継続の判断をしなければなりません。
行動2:就寝前のスマホやPCの使用
スマホやPCから出る強い光(ブルーライト)は、睡眠を促す「メラトニン」とよばれるホルモンの分泌を抑えるため、就寝前の使用は避けましょう(※4)。
とくにスマホはベッドの中で使用しがちですが、不眠を悪化させる原因になります。
就寝前はスマホやPCの使用を控え、代わりに読書や軽いストレッチなどのリラックスできる活動を行いましょう。
また寝られず気になるときは、別室に行って静かに過ごすという対処法も効果的です。
(※4)出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
行動3:長時間の昼寝
妊娠初期はホルモンの影響で日中に強い眠気を感じますが、長時間の昼寝は夜の睡眠を妨げます。
昼寝が必要な場合は「20分程度」に収め、机に突っ伏したり椅子にもたれかかってとるとよいでしょう(※5)。
横にならずに軽く仮眠をとることで、夜の睡眠への影響を最小限に抑えられます。
(※5)出典:学校法人斐川コア学園 出雲コアカレッジ「睡眠」
妊娠初期の不眠に関するQ&A
ここでは妊娠初期の不眠について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
妊婦さんの体は眠れないときでもある程度は赤ちゃんを守れるようになっています。
心配しすぎるよりも、少しでもリラックスできる時間をつくることが大切です。
気持ち悪さがあるときは、枕を少し高くして上体を起こすと楽になることがあります。
温かい飲み物を少し飲む、好きな音楽を聴くなど、リラックスできる工夫もおすすめです。
妊娠中でも比較的安全とされるお薬が処方されることもありますが、必ず医師の判断が必要です。
自己判断で市販薬を使うのは避け、つらいときは遠慮せずに医師に相談してください。
まとめ
妊娠初期に眠れない症状は、
・ホルモンバランスの急激な変化
・つわりによる体調の変化
・妊娠への不安やストレス
などが原因としてあげられます。
眠れないときの対策としては、以下のとおりです。
| 対策 | 詳細 | 効果 |
| 朝日を浴びる | 毎朝決まった時間に光を浴びる | 体内時計の調整、メラトニン分泌の正常化 |
| 適度な運動 | 散歩やマタニティヨガ | 心身のリラックス、入眠のスムーズ化 |
| リラックスする時間の取り入れ | ・入浴 ・音楽鑑賞 ・軽いストレッチ |
睡眠に向けた体制を整える |
一方で避けるべき行動も。
・睡眠薬や市販薬の自己判断での服用
・就寝前のスマホ・PC使用
・20分を超える長時間の昼寝
妊娠初期の睡眠問題は一時的な現象です。
適切な生活習慣を心がけることで、母体と胎児の健康を守りながら睡眠の質を改善できるでしょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
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さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
