妊娠初期の食欲変化は正常?増加・減少の原因や対処法などを解説

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期の食欲変化が激しくて心配」
「この症状は正常なのかな?」
「いつまでこの症状はつづくの?」

上記のように悩んでいるのではないでしょうか。

つわりの症状としての食欲変化は、妊娠5〜6週頃から始まり、妊娠12〜16週頃には自然と治まっていくといわれています(※1)。

また妊娠初期の食欲変化には原因があり、適切な対処法を知ることで安心して過ごせるようになります。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・妊娠初期に食欲が変化する原因
・食欲変化時の体重管理を成功させる3つの方法
・受診が必要な危険な症状

この記事を読むと、妊娠初期の食欲変化に適切に対処でき、あなたと胎児の健康を守れるようになりますよ。

(※1)出典:厚生労働省委託事業|厚生労働省委託 働く女性の心とからだの応援サイト「つわり」

妊娠初期に食欲が増加・減退するおもな原因はホルモンによるもの

妊娠初期に起こる食欲の変化は、おもにホルモンバランスの急激な変化が原因です。

妊娠すると胎盤の元になる組織から「hCG(ヒト絨毛性性線刺激ホルモン)」と呼ばれるホルモンが多く分泌され、脳にある嘔吐中枢を刺激して吐き気や食欲不振を引き起こすと考えられているのです(※2)。

食欲減退はつわりによる、

・悪心
・嘔吐
・胃のムカムカ

といった消化器症状と関係しています。

一方で、食べないと気持ちが悪くなる「食べづわり」により、食欲が異常に増加する妊婦さんも。

さらに、妊娠による生活環境の変化からくるストレスや自律神経の乱れも、食欲に影響を与える可能性があります。

▼辛い妊娠初期のつわりはいつまで続く?期間や症状について詳しい記事はこちら

妊娠初期のつわりはいつから始まりいつまで続く?おもな症状や対処法も解説

(※2)出典:厚生労働省委託事業|厚生労働省委託 働く女性の心とからだの応援サイト「働く女性のつわりについて」

妊娠初期の食欲変化で体重管理を成功させる3つの方法

妊娠初期の食欲変化の際には、体重管理が気になる部分だと思います。

医学的には、この時期は極端な体重の増減がなければ神経質になる必要はないですが、体調を整えながら、少しずつ意識していけると良いでしょう。

妊娠初期の食欲変化で体重管理を成功させる方法として、以下の3つの方法があげられます。

・適正体重を把握する
・食事を分割して摂取する
・バランスを意識した食事をする

順番に見ていきましょう。

方法1:適正体重を把握する

体重管理を成功させるには、まず自分の適正体重を把握しましょう。

妊娠前のBMIによって推奨される体重増加量は異なり、それぞれ以下のとおりです。

BMI 妊娠中の体重増加量の目安
BMI18.5未満(低体重) 12~15kg
BMI18.5以上25.0未満(普通) 10~13kg
BMI25.0以上30.0未満(肥満1度) 7~10kg
BMI30.0以上(肥満2度以上) 5kgまでを上限に個別対応

出典:日本産婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドラインー産科編2023」

なおBMIは、

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

の計算式で、もとめられます。

体重の増え方にはつわりの有無などの個人差も大きいため、神経質になり過ぎないことも大切ですが、定期的な確認は欠かさないようにしましょう。

方法2:食事を分割して摂取する

妊娠中の体重管理において、食事を何回かに分けて摂取する方法も有効です。

食事回数を増やして摂取すると血糖値の上昇幅が小さくなり、食欲をコントロールしやすくなります。

また一度に大量の食事を摂取せず、少量ずつ食べることで消化器官への負担も軽減されるでしょう。

一方で食事を抜くと、体がエネルギーを節約しようと脂肪を蓄え、太りやすくなってしまうため注意が必要です。

方法3:バランスを意識した食事をする

食欲が変化する妊娠初期は、主食・主菜・副菜のバランスがとれた食事が体重管理の基本です。

妊娠初期は、

・主食1品
・主菜1品
・副菜1-2品

を基本とし、具だくさんの汁物や乳製品、果物を摂取することが推奨されています(※3)。

また体重が増え過ぎている場合は、

・主食を適量にする
・脂肪の少ない肉を使用する
・調理に使う油の量を減らす
・菓子の量を見直す

などの対応が有効です。

質のよいたんぱく質やカルシウムなど、胎児の発育に必要な栄養素はしっかりと確保しながら、エネルギー過多にならないよう調整しましょう。

▼妊娠中の体重管理についてもっと詳しく!摂取カロリーの目安や運動についても解説

妊娠中の体重や摂取カロリーの目安は?増えすぎ・痩せすぎに注意

(※3)出典:堺市南区市役所ホームページ「食の情報 妊娠期・授乳期の食生活」

妊娠初期の食欲変化で受診すべき症状

妊娠初期の食欲変化は自然な現象ですが、症状が重くなった場合は医療機関での相談が必要です。

つわりが悪化して激しく嘔吐し、水分や食事がまったく摂れない状態がつづく場合「妊娠悪阻」という重篤な病気の可能性があります。

妊娠悪阻では体重が大幅に減少し、

・脱水症状(口の乾き・尿量の減少)
・倦怠感や頭痛
・意識がもうろうとする症状
・肝臓の働きが悪くなる肝機能障害

などが現れることもあるため注意が必要です。

適切な治療を受けなければ、生命に危険が及ぶこともあるといわれています(※4)。

また食欲変化に伴って治まらない腹痛や張り、出血などの症状が現れた場合も受診が必要です。

とくに妊娠初期では流産や子宮外妊娠の可能性も考えられるため、これらの症状を見逃さないことが大切です。

体からの異常サインを感じ取り、早めの対応を心がけることで、母体と胎児の健康を守れるでしょう。

(※4)出典:北海道大学(能代 究)「妊娠中から産後の栄養状態が胎児と妊婦転帰に及ぼす影響の検討」2023年3月

妊娠初期の食欲に関するQ&A

ここでは妊娠初期の食欲について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

妊娠初期のとまらない食欲をおさえるにはどうしたらいい?
坂田先生
妊娠初期はホルモンの変化で食欲が急に強くなることがあります。

どうしても食べたくなるときは、低カロリーで栄養のある食材(野菜スティックや果物、ヨーグルトなど)を選んだり、少量を数回に分けて食べたりすると安心です。

水分をしっかりとることも食欲を落ち着かせる助けになります。

ただし、つわりの時期は「食べられるものを食べる」で大丈夫です。

無理に栄養バランスを整えようとせず、体調が落ち着いてから管理していけば問題ありません。

妊娠初期に食欲が増える人と減る人、どちらが多い?
坂田先生
妊娠初期の食欲の変化は人によって大きく異なります。

つわりで食欲が落ちる方が多いですが、逆に「食べていないと気持ち悪い」と感じて食欲が増える方もいます。

ホルモンの変化や血糖の変動など生理的な反応の違いによるもので、どちらも珍しいことではありません。

妊娠初期の食べ過ぎは赤ちゃんに影響する?
坂田先生
一時的に食べ過ぎても、すぐに赤ちゃんに悪い影響が出ることはほとんどありません。

ただし、体重が急に増えると妊娠糖尿病や妊娠高血圧症候群などのリスクが高まることがあります。

バランスの良い食事を意識しながら、無理に我慢しすぎず、少しずつ調整していくことが大切です。

まとめ

妊娠初期の食欲変化は、ホルモンバランスの急激な変化がおもな原因です。

胎盤の元になる組織から分泌されるhCG(ヒト絨毛性性線刺激ホルモン)が嘔吐中枢を刺激し、つわりによる食欲不振や「食べづわり」による食欲増加を引き起こすと考えられています。

適切な体重管理には、以下の3つの方法を実践しましょう。

方法 内容
適正体重把握 BMIに応じた体重増加量を確認
食事の分割 少量ずつ複数回に分けて摂取し、血糖値上昇を抑制
バランスのとれた食事 主食・主菜・副菜の組み合わせで栄養バランスを維持

ただし、以下の症状が現れた場合は早急な受診が必要です。

・激しい嘔吐で水分・食事が摂れない状態
・体重の大幅な減少
・頭痛や意識障害
・治らない腹痛

妊娠悪阻は生命に関わる重篤な状態となる可能性があるため、体調変化を見逃さず、早めの対応で母体と胎児の健康を守りましょう。

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
研究所

国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

無料パンフレットをお送りします!

さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー