妊娠初期のつわりはいつから始まりいつまで続く?おもな症状や対処法も解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期のつわりはいつから始まるのだろう」
「いつまでこのつらさが続くの?」
「対処法があれば知りたい」
妊娠の喜びも束の間、つわりで日常生活がつらいこともありますよね。
つわりの時期や症状には個人差があり、適切な対処法を知ることで少しでも楽に過ごせる可能性があります。
そこで本記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
- 妊娠初期のつわりが始まる時期と続く期間
- 一般的なつわりの症状とその原因
- つわりを和らげるための効果的な対処法3つ
この記事を読むと、つわりの見通しが立ち、少しでも楽に過ごすためのヒントが得られますよ。
妊娠初期のつわりは5~16週まで続く場合が多い
東京山手メディカルセンターが公表している資料によると、妊娠初期のつわりは「妊娠5~6週」から始まり「16週」に落ち着くケースが多いといわれています(※1)。
一方で、株式会社エムティーアイが運営するルナルナが行ったアンケート調査では、「出産までつわりが続いた」という妊婦さんが少ないながらも「6.3%」いました(※2)。
つわりが終わる時期には、個人差があるといえるでしょう。
なおつわりのピークは「妊娠8〜10 週」ともいわれています(※1)。
(※1)出典:東京山手メディカルセンター 産婦人科 「ママノート」
(※2)出典:PR TIMES|株式会社エムティーアイ「「“つわり”について」の調査結果〜妊娠と共にやってくる“つわり”という試練を乗り越えよう!~」
妊娠初期におけるつわりの症状
妊娠初期におけるつわりの症状は個人によってさまざまです。
なかでも、つらかった症状について、初産婦を対象にしたアンケート調査を雪印ビーンスターク株式会社が行ったところ、以下のような結果に(※3)。
つわり症状 | 割合 |
吐き気 | 87.6% |
食べ物の匂い | 56.9% |
嘔吐 | 56.9% |
食べ物の嗜好の変化 | 44.8% |
食欲不振 | 39.4% |
前述したようにつわりの症状には個人差があるため、あくまでも参考として捉えておきましょう。
(※3)出典:PR TIMES|雪印ビーンスターク株式会社「【つわりに関する調査結果】一人目、二人目ともにつわりを経験した人は約8割!」
妊娠初期につわりが起こる原因
妊娠初期に多くの人が経験するつわりは、じつは原因がまだ完全に解明されていません。
もっとも有力とされる要因は、胎盤から分泌される「hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)」というホルモンの影響です(※4)。
このホルモンが胃腸の働きや自律神経に影響を与え、吐き気や嘔吐などの症状を引き起こすと考えられています。
妊娠中に分泌されるプロゲステロンが、消化器官の動きを鈍くさせることも関連しているようです。
また、最近の研究で胎児が産生するGDF15というタンパク質がつわりに関連していることが示唆されており、妊娠中のホルモンの変化や様々な要因がつわりに影響していると考えられます。
さらに、妊娠による体の変化にくわえ、心理的なストレスや不安もつわりを悪化させる要因になります。
(※4)出典:一般財団法人 女性労働協会内(厚生労働省委託事業)「働く女性のつわりについて」
妊娠初期のつわりがない場合もある
つわりは全妊婦さんの「70〜80%」が経験している症状であるという研究論文もあり、多くの妊婦さんが経験する症状だといえるでしょう(※5)。
一方、同調査によると、妊娠初期に「つわりがなかった」と答えた妊婦さんも17%いました。(※6)
つわりの有無や症状には個人差があるため、つわりがないからといって一概に心配する必要はありません。
(※5)出典:環境省|高知ユニットセンター「つわりの程度と胎児の性別、胎児数の関連性について:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)より」
(※6)出典:こうちエコチル調査「つわりの程度と胎児の性別、胎児数の関連性について:子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)より」
妊娠初期のつわりへの3つの対処法
妊娠初期のつわりを乗り切るための対処法を3つ紹介します。
- 食事のとり方を工夫する
- こまめな水分補給を心がける
- 強い匂いを嗅がない
順番に解説していきます。
対処法1:食事のとり方を工夫する
妊娠初期はホルモンバランスの変化により、胃腸の働きが弱くなっている状態です。
そのため食事のとり方を変えると、つわりの症状が軽減する可能性があります。
とくに「食べつわり」と呼ばれる空腹時に吐き気を感じるタイプの人は、1日5〜6回に分けて少量ずつ食べることが効果的です(※7)。
一口サイズのおにぎりやクラッカーなどを、いつでも食べられるよう準備しておくと安心。
消化によい食材を選ぶことも大切で、食物繊維や脂肪分が少ないものが適しています。
吐き気がひどいときは無理に食べず、口当たりのよいものや好きなものを少しでも口にするよう心がけましょう。
栄養バランスよりも「食べられるものを食べる」ようにしてください。
無理せず自分のペースで食事をとりましょう。
出典:(※7)箕面市ホームページ「「つわり」を楽にする対処法」
対処法2:こまめな水分補給を心がける
つわり中は脱水症状に陥りやすく、症状をさらに悪化させる原因になります。
妊娠中は子宮への栄養と酸素を送るための血液量増加や羊水の生成などで、通常より多くの水分が必要な状態です。
脱水状態になると、
- 吐き気
- 嘔吐
- 頭痛
などの症状が悪化する傾向があるため、意識的に水分を摂取しましょう。
一度にたくさん飲むより、少量ずつこまめに飲むことがポイントです。
常に水分を持ち歩き、口で少しずつ飲むよう心がけてみてください。
冷たい飲み物を受け付けない場合は、常温や温かい飲み物を試してみることも有効。
吐き気で水分さえ取れない状況が続く場合は、早めに医療機関で受診しましょう。
対処法3:強い匂いを嗅がない
特定の匂いで気分が悪くなる「匂いつわり」の場合は、窓を開けて頻繁に換気を行いましょう。
新鮮な外気を積極的に取り入れることで、室内に匂いが籠もるのを防げます。
またパートナーや家族には、香水や芳香剤の使用を控えてもらうようお願いしてみてもよいでしょう。
妊娠初期のつわりに関するQ&A
ここでは妊娠初期について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

また、水分も取れないほどつわり症状が酷い場合には、点滴で水分や栄養の補充を行う場合もあります。

歯ブラシを使用すると気持ちが悪くなる場合は、洗口液などでうがいをし、なるべく口腔内を清潔に保つようにしましょう。
また歯磨き粉のフレーバーを変えると吐き気が軽減することもあるので、体調に合わせて工夫してみるのも手です。

つわりのピークは妊娠12週~16週ですが、つわりがなくなっても赤ちゃんは順調に成長していることもあります。
ただし、つわりが急になくなった場合や、出血や下腹部などの症状がある場合には、流産の可能性もあるので医師の診察を受けましょう。
まとめ
妊娠初期のつわりは、「妊娠5〜6週」から始まり「妊娠16週頃」に落ち着くことが一般的です。
しかし、多くの妊婦さんが経験する症状であり、出産まで続くケースもあるなど個人差が大きいといえるでしょう。
つわりのおもな症状としては、以下のようなものがあげられます。
- 吐き気
- 食べ物の匂い・嘔吐
- 食べ物の嗜好変化
つわり対策としては、以下の3点が効果的です。
- 少量の食事を頻回に摂る(とくに食べつわりの場合)
- こまめな水分補給を心がける
- 強い匂いを避け、定期的に換気する
つらい時期ですが、今回紹介した内容を参考に自分のペースでつわりを乗り切りましょう。
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その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
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百枝幹雄 先生
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さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー