妊娠初期にカフェインを摂っても大丈夫?目安量や注意点も解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期にカフェインはどのくらいまでとっても大丈夫?」
「妊娠初期にカフェインを摂取してしまった…赤ちゃんに影響はない?」
このように悩んでいる妊婦さんも、多いのではないでしょうか。
朝のコーヒーや午後のお茶など、日常生活に欠かせないカフェイン飲料ですが、妊娠中の摂取については不安になりますよね。
じつは妊娠中のカフェイン摂取には適切な量があり、守るべき注意点も存在します。
そこで本記事では、以下の内容を解説します。
- 妊娠初期のカフェイン摂取量の目安
- 品目別のカフェイン含有量一覧
- カフェイン過剰摂取が胎児に与える影響
この記事を読むと、妊娠中も安心してカフェインと付き合える方法がわかりますよ。
妊娠初期のカフェイン摂取量の目安
妊娠中のカフェイン摂取については、完全に避ける必要はありませんが、適切な量を守ることが大切です。
厚生労働省が公表している資料によると、健康に悪影響が生じないと推定されるカフェインの摂取許容量/日は、人によって影響度が異なることなどから、国際的に明確な設定はない状況です。
ただし、世界保健機関(WHO)などをはじめ、妊婦さんの1日あたりのカフェイン摂取量は下表の通りに推奨されています。(※1)
妊婦のカフェイン摂取量の目安 | |
世界保健機関(WHO) | コーヒー3~4杯まで |
英国食品基準庁(FSA) | コーヒーをマグカップで2杯程度(200mg) |
カナダ保健省 (HC) | コーヒーをマグカップ(約240 ml)で約3杯(300mg) |
カフェインの含有量は、コーヒー(60mg/100ml)、紅茶(30mg/100ml)、緑茶(20mg/100ml)と飲み物によって異なります。
注意したいのは、コーヒーや紅茶だけでなく、エナジードリンクや栄養ドリンクなどにもカフェインが含まれている点です。
妊娠中の水分摂取は重要ですが、カフェイン入り飲料をとりすぎないよう注意が必要です。
(※1)出典:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
【品目別】カフェイン含有量と一覧
日常的に摂取する飲み物のカフェイン含有量は、以下のとおりです(※2)。
ただし、商品によってカフェイン含有量は異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。
品目 | 100mlあたりに含まれるカフェイン量 |
エナジードリンク | 32~300mg |
インスタントコーヒー | 80mg |
ドリップコーヒー | 60mg |
抹茶 | 48mg |
紅茶 | 30mg |
せん茶 | 20mg |
ほうじ茶 | 20mg |
ウーロン茶 | 20mg |
玄米茶 | 10mg |
上記で示した以外の品目でも、 カフェインが含まれているものはあります。
食事や飲み物をとる際は、栄養表示を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
(※2)出典: 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
妊娠初期のカフェイン過剰摂取が胎児に与える3つの影響
妊娠初期にカフェインの過剰摂取をしてしまうと、胎児に以下のような影響が出る可能性があります。
- 出生時の体重が軽くなる
- 頭囲が小さくなる
- 流産のリスクが高まる
順番に解説していきます。
影響1:出生時の体重が軽くなる
北海道大学によると、カフェイン摂取量が多い妊婦さんから生まれる赤ちゃんは、出生時の体重が軽くなる傾向があるといわれています(※3)。
同大学の研究では、カフェインの代謝が速いタイプの妊婦さんが1日300mg以上のカフェインを摂取すると、赤ちゃんの出生時体重が277g少なくなることも明らかにしています。
カフェインの代謝速度は遺伝子型によって異なりますが、日本人の「約4割」が代謝速度の速いタイプといわれているため、胎児への影響が出る可能性も高いといえるでしょう。
(※3)出典:北海道大学 環境健康科学研究教育センター「赤ちゃんの出生サイズには、妊婦さんのカフェイン摂取量と代謝酵素が関係している」
影響2:頭囲が小さくなる
カフェインの過剰摂取は、生まれてくる赤ちゃんの頭の大きさにも影響を与える可能性があります。(※4)
北海道大学の研究によれば、カフェイン代謝が速い妊婦さんが、1日に300mg以上のカフェインを摂取すると、赤ちゃんの頭囲が0.8cm小さくなるという結果が出ています(※4)。
頭囲は脳の発達と関連があるため、カフェイン摂取量が過剰にならないよう気をつけましょう。
(※4)出典:北海道⼤学 環境健康科学研究教育センター「カフェインって?妊娠中のカフェインはダメなの?」
影響3:流産のリスクが高まる
厚生労働省が公表している資料によると、妊娠中のカフェイン過剰摂取は、自然流産のリスクを高めたり、胎児の発育を妨げる可能性もあると指摘しています(※5)。
なかでもカフェインの代謝物である「パラキサンチン」が、流産や子宮内胎児発育遅延のリスク上昇に関与していることが研究で示されています(※6)。
(※5)出典:厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~」
(※6)出典:北海道⼤学 環境健康科学研究教育センター「カフェインって?妊娠中のカフェインはダメなの?」
妊娠初期のカフェイン摂取に関するQ&A
ここでは妊娠初期のカフェイン摂取について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

完全にカフェインを避ける必要はありませんが、麦茶やルイボスティーなどのノンカフェイン飲料は安心して飲むことができるでしょう。

しかし、妊娠中はカフェインの過剰摂取が胎児に影響を与える可能性があるため、1日200mg程度に抑えるよう心がけましょう。

高カカオのチョコレートの方がカフェインが多く含まれています。
しかし、チョコレートの糖分や脂質の取り過ぎにも気を付けた上で、適切な量を食べる分には問題ありません。
まとめ
妊娠初期のカフェイン摂取については、完全に避ける必要はありませんが、適切な量を意識しましょう。
具体的には、1日あたりのカフェイン摂取量を200〜300mg未満に抑えることが推奨されています。
飲み物(100mlあたり)のカフェイン含有量をおさらいすると、以下のとおりです。
- インスタントコーヒー:80mg
- 紅茶:30mg
- 緑茶:20mg
また妊娠中のカフェイン過剰摂取は、胎児に以下の影響を与える可能性があります。
- 出生時の体重減少
- 頭囲の縮小
- 流産リスクの上昇
妊娠中は水分摂取を心がけつつ、カフェイン入り飲料の摂取量に注意し、栄養表示を確認する習慣をつけましょう。
カフェインが気になる人は、ノンカフェイン飲料への切り替えも検討しましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー