妊娠後期に仰向け寝になってしまうリスクとは?睡眠を快適にする方法も解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠後期に仰向けに寝るとよくないって本当?」
「夜中に目が覚めると仰向けになっていて心配…赤ちゃんに影響はない?」
「妊娠中の正しい寝方って何だろう?」
上記のような悩みを抱えているのではないでしょうか。
大きくなったお腹による睡眠中の不快感は多くの妊婦さんが経験するものです。
安心して眠れる環境づくりは母子双方の健康に大切なポイント。
じつは妊娠後期の睡眠姿勢には適切な方法があり、少しの工夫で快適に過ごせるようになります。
そこで本記事では、以下の内容を解説していきます。
- 妊娠後期に仰向けで寝るリスク
- 妊娠後期に快適な睡眠を得るための3つの方法
- 妊娠中の睡眠姿勢に関するよくある疑問
この記事を読むと、妊娠期間をより快適に過ごせるようになりますよ。
妊娠後期に仰向け寝になってしまうリスクとは?
妊娠後期に仰向けの姿勢で寝てしまうと、成長した子宮の重さで背骨の右側にある「下大静脈」を圧迫する場合があります。
下大静脈は下半身から心臓へ血液を戻す血管で、圧迫されると血液の流れが妨げられてしまうのです。
血流が悪くなると心臓に戻る血液量が減少し、母体の低血圧や心拍数異常を引き起こす「仰臥位低血圧症候群」と呼ばれる状態になるリスクがあります(※1)。
めまいや吐き気などの症状が現れる場合も。
母体の血液循環が悪化すると、子宮への血流も減少し、胎児に影響が及ぶ恐れもあります。
ただし、睡眠中は無意識に体勢が変わるため、朝起きたときに仰向けになっていても過度に心配する必要はありません。
大切なのは、お腹が強く圧迫されるような体勢を避けることです。
(※1)出典:ハイパフォーマンススポーツセンター「妊娠期について」
妊娠後期の睡眠を快適にする3つの方法
妊娠後期の睡眠を快適にする方法としては、以下の3つがあげられます。
- シムス位(左側臥位)を基本姿勢にする
- 抱き枕やクッションの活用
- 寝具の素材を見直す
順番に解説していきます。
方法1:シムス位(左側臥位)を基本姿勢にする
シムス位とは、体の左側を下にして横向きに寝る姿勢のことです。
左側を下にして横向きに寝ると、成長した子宮による下大静脈への圧迫を防ぎ、心臓や子宮への血流がスムーズになります。
シムス位の取り方は、以下のとおりです。
- 体の左側を下にして横になる
- 下側の左足を楽な位置に伸ばす
- 上側の右足は太ももの付け根から曲げ、左足より前に出す
上側の右手は肘で曲げて前に出し、下側の左手は体の後ろで自然に伸ばすと安定した姿勢になります。
また枕にのせる頭の位置をいつもよりやや高めにすると、胸やけの軽減につながります。
シムス位は腰痛対策にも効果的で、お腹の重みを感じにくくなるというメリットも。
シムス位を意識して寝ることで、母体と胎児への負担を軽減できるでしょう。
方法2:抱き枕やクッションの活用
大きくなったお腹を支えるためには、抱き枕やクッションの活用も有効です。
お腹の左側を床につけて横になり、
- 厚みがないクッションを使う
- 右足と左足の間にもクッションを挟む
と安定感が増して、腰への負担を軽減できるでしょう。
専用の抱き枕がなくても、家にある通常のクッションで代用可能です。
また妊娠中だけでなく産後の授乳クッションとしても使えるものを選ぶと、長期間活用できて経済的でしょう。
自分に合ったクッションで体をしっかりサポートしましょう。
方法3:寝具の素材を見直す
寝具の素材選びは「寝返りのしやすさ」と「体温調節」の2点を意識しましょう。
妊娠後期はお腹の重みで体動が制限されやすいため、摩擦の少ない滑らかな素材を選ぶと、寝返りをうちやすくなります。
具体的には、以下のような素材がおすすめです。
素材 | 特徴 |
シルク | ・肌なじみがよい ・夏は涼しく冬は暖かい ・静電気が発生しにくい |
ガーゼ | ・肌触りが柔らかい ・吸水性、通気性が良い |
コットン | ・吸湿性が高く通気性がよい ・オーガニックコットンなら肌刺激が少ない |
寝具選びでは、素材にくわえ、サイズにも注目しましょう。
パジャマは体を締め付けないゆとりのあるサイズを選ぶと、血流を妨げず安心して寝返りがうてます。
夜間の冷えが気になる人は、シルクの腹巻きを重ねて温度管理するのも効果的です。
妊娠後期の睡眠時の姿勢に関するQ&A
ここでは妊娠後期の睡眠時の姿勢について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

また妊婦さん自身も息苦しさを感じるため、自然とうつ伏せ寝をしなくなることが多いです。
どうしてもうつ伏せ寝をしたい場合は、クッションなどを利用しながら短時間で息苦しくならない程度にするのがおすすめです。

しかし、ママがすぐに左向きになって、症状が改善すれば、赤ちゃんへの血流も戻ります。

また妊娠初期のつわり症状の緩和や、腰や背中の痛みの軽減にも効果的と言われています。
まとめ
妊娠後期に仰向けで寝ると下大静脈が圧迫され、血流低下による「仰臥位低血圧症候群」のリスクがあります。
ただし、睡眠中無意識に体勢が変わることは自然なことで、過度に心配する必要はありません。
快適な睡眠を確保するための方法は、以下の3つです。
方法 | ポイント |
シムス位 | 左側を下にして横向きに寝て血流を確保 |
抱き枕・クッション | お腹や足の間に配置して体を安定させる |
寝具の工夫 | 素材:シルク・ガーゼ・コットンなど滑らかな素材で寝返りをしやすく
サイズ:体を締め付けないゆったりしたサイズ |
今回紹介した姿勢と環境づくりで母体への負担を軽減し、より快適な妊娠後期を過ごしてくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー