妊娠中に多いげっぷやおならの原因は? 7つの対処法や注意点も解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠してからおならやげっぷが増えた」
「妊娠後期に入ってもおさまらない」
「人前で我慢できないときもあるため恥ずかしい」
と悩んでいませんか。
妊娠中はホルモンバランスや環境の変化により、げっぷやおならが出やすくなります。
しかし正しい方法で対処を行えば、げっぷやおならを減らせるのです。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期や後期におなら・げっぷが出やすい原因
・妊娠中におなら・げっぷが出やすいときの対処法
・おならやげっぷが出やすいときの注意ポイント
この記事を読むと、げっぷやおならを減らせるため、安心して妊娠生活を送れるようになりますよ。
妊娠初期におなら・げっぷが出やすくなる4つの原因
妊娠初期におなら・げっぷが出やすくなる原因としては、おもに以下の4つがあげられます。
・ホルモンバランスの変化
・自律神経の乱れ
・食事回数の増加
・唾を飲み込む回数の増加
妊娠初期は、体にさまざまな変化が起こる時期で、おなら・げっぷもその変化の一部です。
順番にくわしく見ていきましょう。
原因1:ホルモンバランスの変化
妊娠をすると「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれる、妊娠を継続させるために欠かせないホルモンの分泌量が増加します。
しかし消化器官の機能を抑制する作用もあるため、腸の動きが低下して便が停滞しやすくなり、腸内環境が悪化しやすくなります。
結果として腸の悪玉菌が増殖し、有害物質やガスの発生が増加しておならやげっぷが出やすくなるのです。
また、プロゲステロンの増加によってガスが溜まりやすくなることも、おならやげっぷが増える要因のひとつです。
原因2:自律神経の乱れ
妊娠中はホルモンバランスや生活リズムの変化から、自律神経が乱れがちになります。
げっぷが出そうで出ないという感覚や喉の奥が詰まったような感覚は自律神経の乱れが原因です。
また、ストレスが原因で胃腸の働きが鈍ってしまったり、消化不良を起こしておならが出やすくなったりする場合もあります。
妊娠初期はとくに体調が不安定で、ストレスを抱えやすいため、胃腸にも影響が出やすくなるのです。
原因3:食事回数の増加
つわりの時期は一度に沢山食べられず、食事の回数が増えるケースもあるでしょう。
食事の回数が増えると、食べ物と一緒に空気を飲みこむ機会も増えるため、げっぷやおならの頻度が上がります。
また空腹になると気持ちが悪くなってしまう、食べつわりの妊婦さんも食べ物を口にする機会が多くなるため、げっぷやおならが増えてしまいがちです。
食べ物や飲み物自体にも空気は含まれているため、食べる量が増えると、おなかの中に空気やガスも溜まってしまいます。
原因4:唾を飲み込む回数の増加
つわりのある妊婦さんは吐き気を催したとき、無意識に唾を飲み込んで紛らわすこともあるでしょう。
唾の飲み込み回数が増えると、空気も一緒に飲み込んでしまい、げっぷやおならの回数も増えてしまいます。
また、よだれつわりといって唾液過多の症状に悩まされる妊婦さんもいます。
口内に苦味やネバネバとした不快感があるため、唾の飲み込みが多くなり、げっぷやおならの原因となります。
妊娠後期におなら・げっぷが出やすくなる2つの原因
妊娠後期は、以下の2つの原因からげっぷやおならが出やすくなります。
・ホルモンの影響
・子宮の成長
順番に解説していきます。
原因1:ホルモンの影響
妊娠中に増加する女性ホルモンの一種である「プロゲステロン」には胃腸の機能を抑えてしまう作用があります。
妊娠後期までプロゲステロンの分泌が増えるため、胃腸の働きが弱くなり消化不良を起こしやすい状態になります。
結果、おなかの中でガスが発生しやすく、げっぷやおならが出やすくなるのです。
原因2:子宮の成長
妊娠経過に伴い子宮が成長すると、大きくなった子宮が腸を圧迫します。
腸は圧迫されると動きが悪くなり、ガスが溜まりやすくなります。
その結果、おならやげっぷが出やすくなるのです。
ほかにも、
・胃腸の不快感
・嘔気、嘔吐
・食欲不振
といった症状も現れる場合があります。
妊娠中のげっぷやおならを抑える方法【7選】
妊娠中のおならやげっぷを抑える方法を7つご紹介します。
・消化のよい食事をする
・ゆっくり食べる
・炭酸飲料の飲用は控える
・唾は飲みこまずに吐き出す
・横になるときは右側を下にする
・音楽・映画鑑賞をする
・軽めの運動を取り入れる
順番に内容を解説していきます。
方法1:消化のよい食事をする
消化不良を起こすとげっぷやおならが出やすくなってしまうので、消化の良い食事を心がけましょう。
おすすめの食事例は以下のとおりです。
・おかゆ
・うどん
・豆腐
・卵
・白身魚
・鶏のササミ
・りんご
・バナナ
食材はできるだけ細かく切り、火を通してやわらかくすると消化されやすくなります。
食物繊維を多く含む食品は、消化するときにガスが発生しやすいため注意が必要です。
また妊娠中は、母子の健康のためにも体重管理が大切です。
以下の記事では、妊娠中の体重管理の基準や食事で気をつけたいことを解説しています。
これからの妊娠生活を安心して過ごすためにも、目をとおしておくとよいでしょう。
方法2:ゆっくり食べる
早食いをすると空気を大量に飲み込んでしまいます。
胃腸の機能が低下している妊婦さんにとっては、消化不良を起こす原因にもなります。
よく噛んでゆっくり食べることで消化も良くなり、満腹中枢も刺激され食べ過ぎも防げますよ。
小分けにして食べると、げっぷやおならの改善に繋がります。
方法3:炭酸飲料は控える
炭酸飲料は口当たりがよいため、つわり中の妊婦さんに人気の飲み物です。
しかし炭酸飲料を飲むと、げっぷやおならが増えてしまうため飲む量には気をつけましょう。
少量ずつ飲むのがおすすめです。
げっぷを効果的に出すために、あえて炭酸飲料を飲む方法もありますが、空気も一緒に入ってくるため、げっぷを出したいときだけにしましょう。
方法4:唾は飲み込まずに吐き出す
唾の飲み込みは、げっぷやおならの原因になるため、唾液過多の症状がある妊婦さんはなるべく唾は飲み込まずに、こまめに吐き出すようにしましょう。
ただし、頻繁な唾の吐き出しは口腔内の乾燥をまねく可能性があるため、適度な水分補給も忘れずに行いましょう。
方法5:横になるときは右側を下にする
「幽門」という胃の出口部分が体の右側にあります。
そのため右側を下にして寝ると、胃の内容物を腸へ流す働きを促せます。
反対に左側を下にして寝ると、胃に内容物がとどまってしまい、つわりやげっぷ・おならを悪化させる原因になるため注意しましょう。
方法6:音楽・映画鑑賞をする
自律神経の乱れがげっぷやおならの原因になっている場合は、リラックスすることが大切です。
唾がたくさん出ることに神経質になりすぎると、余計に唾が出てしまいます。
音楽・映画鑑賞など、ほかのことに気持ちが向くようにして、リラックスするよう心がけましょう。
方法7:軽めの運動を取り入れる
自立神経の乱れによる、げっぷ対策には運動も効果的です。
とくに有酸素運動は、交感神経と副交感神経のバランスを改善してストレスを軽減する効果が期待できます。
妊婦さんが取り入れやすい有酸素運動としては、以下のようなものがあげられます。
・ウォーキング
・マタニティスイミング
・マタニティヨガ
・ピラティス
自身が取り入れやすいと感じるもので構いません。
ただし妊娠中に運動を行う際は、以下の注意点を守るようにしましょう(※1)。
・運動時間は「30分/日」
・3~4回/週
・水分摂取を忘れない
・体調が悪いときは行わない
また運動を取り入れる際は、主治医に相談して、許可を得てから始めるようにしましょう。
(※1)出典:国立研究開発法人 国立成育医療センター「妊娠と妊娠糖尿病」
【かならず確認】妊娠中のげっぷやおならに伴う注意したい症状
妊娠中は体の変化に伴ってげっぷやおならが出やすくなりますが、以下のような症状がある場合は、逆流性食道炎の可能性があります。
・胃痛
・胸焼け
・呑酸(酸味や苦味を感じるげっぷや)
・胃もたれ
・むかつき
逆流性食道炎は胃酸により食道粘膜の炎症を引き起こします。
気になる症状が見られる場合には、自己判断せず病院で受診するようにしましょう。
妊娠中のおなら・げっぷに関するQ&A
ここでは妊娠中のおなら・げっぷについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


特にプロゲステロンの上昇が胃腸運動を低下させるため、つわりの時期に症状が顕著になることが多いです。
つわりが終わる妊娠中期に入ると、症状が落ち着く場合が一般的ですが、妊娠後期まで続くケースもあります。
妊娠後期では、胎児の位置が下がり、胃腸への圧迫が軽減されることでおならやげっぷの症状が和らぐこともあります。

これは、ホルモンバランスの変化により腸内の消化活動が低下し、腸内細菌がガスを生成しやすくなるためです。
また、腸が子宮によって圧迫されることも原因となり得ます。
これにより便秘が起こりやすく、ガスの臭いが強くなる傾向があります。
適度な運動や消化に良い食品を摂取し、腸内環境を整えることが予防や軽減に役立ちます。

さらに、腸内環境の悪化や胃腸障害のリスクが高まる可能性もあります。
これらは自然な生理現象であり、体に害を及ぼさないため、無理に我慢せず、体の自然な反応に任せることが推奨されます。
参考論文
1.Van der Woude, C. J., et al. (2015): Gastrointestinal symptoms during pregnancy and their relationship with hormone levels and gastrointestinal motility.
2.Harvey, M. A., et al. (2014): Impact of digestive discomfort on pregnancy-associated changes in gastrointestinal function.
3.El-Nafees, A., et al. (2019): Understanding pregnancy-related constipation and its management.
まとめ
妊娠中のげっぷやおならはホルモンバランスの変化や自律神経の乱れ、さらにはつわりの影響により多くの妊婦さんが経験する症状です。
つわりの時期が終わると同時に、げっぷやおならが気にならなくなるケースも多いです。
また妊娠後期のげっぷやおならも、出産が近付き子宮が下がってくると、自然とおさまることもあります。
神経質になり過ぎず、今回ご紹介したげっぷやおならを抑える方法を試してみてください。
げっぷの量が増えたことで何も食べられない、水分が摂れない、精神的につらいといった状態が長く続く場合は、つわりが悪化して「妊娠悪阻(おそ)」と呼ばれる状態になっている恐れがあります。
一人で悩まず、妊婦健診などで医師や助産師に相談してくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー