無痛分娩の痛みはどれくらい?体験者の声も紹介

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「無痛分娩は、本当に無痛なのだろうか」
「無痛分娩にすると、痛みの程度はどれくらいになるの?」
無痛分娩を決めた人や無痛分娩にしようか迷っている人が一番気になるポイントですよね。
結論からいうと、痛みを感じるかは個人によります。
麻酔のタイミングや効き目によっても、痛み具合は変わるのです。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・無痛分娩で痛みを感じる理由
・無痛分娩をした人の体験談
この記事を読むと、無痛分娩で出産するかを検討できるようになりますよ。
無痛分娩の痛みは麻酔で緩和される
無痛分娩で使用される代表的な麻酔は「硬膜外麻酔」であり、
背骨の奥にある硬膜外腔にカテーテルを入れて麻酔を行う方法です。
カテーテルとは医療用の柔らかいチューブをさします。
痛みの強さは最初にチクッとするだけで、予防接種程度です。
しかし硬膜外腔はとてもデリケートな箇所であるため、少しでもずれると大変なことに。
そのため、硬膜外麻酔は専門の麻酔科医が行うことの多い麻酔なのです。
そのほかにも「点滴麻酔」がありますが、効き目が弱いため硬膜外麻酔がメインに使用されています。
無痛分娩で痛みを感じる3つの理由
無痛分娩で痛みを感じる理由として、以下の3つがあげられます。
・麻酔の効き方に個人差があるため
・完全無痛ではなく痛みをコントロールする方法であるため
・ カテーテルの位置や技術的に問題があるため
順番に見ていきましょう。
理由1:麻酔の効き方に個人差がある
前述したように、無痛分娩では硬膜外麻酔という方法で痛みを和らげますが、この麻酔の効き方には個人差があります。
・体質
・体型
・過去の手術歴
などによって、同じ量の麻酔薬を使用しても効果に違いが現れるのです。
また麻酔への感受性も個人差があるため、人によっては十分な痛みの軽減が感じられない場合があります。
そのため麻酔薬の追加投与や、硬膜外カテーテルの位置を調整するなどの対応が必要になることもあるのです。
理由2:完全無痛ではなく痛みをコントロールする方法である
「無痛分娩」という名称から完全に痛みがなくなると思われがちですが、実際には痛みを完全に取り除くのではなく「耐えられる程度にコントロールする」方法です。
分娩進行を妨げないよう、低濃度の麻酔薬を使用するため、生理痛程度の軽い痛みは残ることが一般的です。
胎児の下降感や子宮の収縮をある程度感じながら、タイミングを合わせて「いきむ」必要があるためです。
和歌山県立医科大学が発行している資料では、無痛分娩により痛みがそれまでの2割程度まで軽減したと回答する妊婦さんが多かったとされており、完全に痛みがなくなるわけではないとわかります(※1)。
(※1)出典:和歌山県立医科大学「硬膜外無痛分娩とは?」
理由3:カテーテルの位置や技術的の問題
無痛分娩では背中から硬膜外腔に細いチューブ(カテーテル)を挿入しますが、カテーテルの位置に問題があると十分な効果が得られません。
カテーテルが誤って抜けてしまったり、位置がずれてしまうと麻酔薬が適切な場所に届かず痛みが残ってしまうのです。
またカテーテルの先端位置がずれると、麻酔の効果に偏りが生じ、一部の領域で痛みを感じつづける場合も。
技術的な問題が発生した際には、必要に応じてカテーテルの位置調整や入れ替えが検討されます。
痛みはどれくらい我慢すればいいの?無痛分娩で麻酔を入れるタイミング
無痛分娩で麻酔を入れるタイミングは、一般的には子宮口が3~5cm程度に開いた頃です(※2)。
医療機関の方針や、分娩の進み具合によって異なります。
陣痛は一定の間隔で起こり、出産が近付くほど間隔が短くなっていきます。
一般的に初産の場合は時間がかかり、人によっては陣痛から出産まで1日かかることも(※3)。
麻酔のタイミングは、出産する医療機関で確認し、心の準備をしておくとよいですね。
出典:
(※2)独立行政法人国立病院機構 京都医療センター「麻酔科医が担当する硬膜外無痛分娩」
(※3)独立行政法人労働者健康安全機構 愛媛労災病院「赤ちゃん誕生」
無痛分娩の痛みは分娩が進むと強くなることも
子宮口が全開となり、ついに赤ちゃんが産まれるときが、最も痛い場面です。
ここでは、麻酔がしっかり効いてくれないと困りますよね。
じつは、痛みの強さに合わせて麻酔の量は調節するものなのです。
しかし「いきむ」ためには、運動機能が麻痺するほどの麻酔はかけられません。
無痛分娩のニーズ増加に伴い、熱心に訓練された産科医が麻酔をするケースが増えています。
しかし痛みの経過を見ながら麻酔の量をコントロールするには、専門家がいて、人員が整っていることも重要です。
医療機関を選ぶ際は、常駐の麻酔科医(できれば産科専門の麻酔科医)がいるところを選ぶと安心です。
【体験談】無痛分娩の痛み、実際のところどうだった?
実際に、無痛分娩を体験した人たちから、痛みの感じ方について体験談を聞きました。
「私の場合、計画無痛分娩だったのですが、前日から弱い陣痛が始まっていました。そのため診察を終えて麻酔を打つころには、もうかなり陣痛がきつくなっていて。我慢できない生理痛のような痛みが、3~5分間隔くらいできていました。10分程して先生がきてくれて、麻酔を打ってもらうと、ほんの数分で痛みがすーっとなくなりました。子宮がキューっと収縮しているのはわかるのですが、痛みはまったくないという不思議な感覚。1人目のときは自然分娩で、この痛みのピークに1日以上耐えたことがしんどくてトラウマ級だったので、無痛分娩にして本当によかったです。(30代女性)」
「無痛分娩にしましたが、初めは効きが悪かったのか、あまり痛みがなくなりませんでした。手元のボタンで自分で麻酔量を調節できたので、麻酔を少し増やすと痛みがなくなりました。ただ今度はいきむ感覚がわからなくて、助産師さんの掛け声にあわせていきんだものの、出産した実感が湧かず。無痛分娩にしてよかったですが、私は出産の思い出としてはちょっと物足りないものになりました。(30代女性)」
いずれも個人の感想ですが、「痛みがなくなってよかった」という意見もある一方、「痛みがなかったことで物足りなかった」と感じる人もいるようです。
いずれも、麻酔が効き始めるまでは、多少の痛みを感じることがあるようです。
無痛分娩の痛みに関するQ&A
ここでは無痛分娩の痛みについて、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

また一部のケースでは、麻酔の位置がわずかにずれてしまうことで「効きにくい」「麻酔が片側だけしか効かない」ということもあります。
多くの医療機関では、麻酔の効き具合を適宜チェックしながら、必要に応じて調整してくれるので、「切れる」というよりは「効きが浅くなることがある」という程度に考えておきましょう。

陣痛のピーク時でも、「圧迫感」や「生理痛のような痛み」にとどまる方が多く、また赤ちゃんが下がってくる時の「押し出される感覚」や「いきみ感」は感じることが一般的です。
多くの方が「我慢できる程度の痛み」を感じると言われます。

痛みを感じたときは、我慢せず「効きが弱いかも」とスタッフに伝えましょう。
まとめ
無痛分娩は硬膜外麻酔を使います。
特に自然分娩を経験した妊婦さんにとっては痛みが軽減されていることが比較できますが、初産の場合はその痛みの度合いを想像するのは簡単ではないでしょう。
処置には技術が必要ですが、一度カテーテルを通せば麻酔の量を調整することも可能です。
無痛分娩であっても初めから全く痛みが無いわけではありませんが、陣痛が自分にとって耐えられない痛みである時は、医師へ相談し麻酔を増やすなど痛みをコントロールすることができます。
特に痛みに弱いことで出産に不安を感じているのであれば無痛分娩を選択することを検討してみると良いでしょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー