妊娠後期における嘔吐の原因とは?5つの対策や体験談も紹介

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠後期に入り嘔吐するようになった」
「気持ち悪くつらい状態が続いているが、原因は何?」
などと悩んでいませんか。
妊娠後期におきる嘔吐は、ホルモンの分泌がおもな原因です。
嘔吐をおさめ、楽に過ごしたいと思いますよね。
妊娠後期の嘔吐には、対策があります。
この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠後期におきる嘔吐の原因
・嘔吐への5つの対策
・私が経験した妊娠後期の嘔吐
この記事を読むと、妊娠後期の嘔吐への対策が分かり、楽に妊娠後期を過ごせるようになりますよ。
妊娠後期の嘔吐はホルモンが原因
妊娠後期になると出産に向けた準備が体の中で起こり始めます。特にこの時期は、プロゲステロン(黄体ホルモン)というホルモンの分泌が多くなります。
妊娠後期にはプロゲステロンが胎盤から分泌されるようになります。
このホルモンには、子宮の筋肉を緩めることで胎児の成長に合わせて子宮を大きく広がるようにする働きがありますが、同時に胃腸など消化器系の筋肉も緩めてしまいます。
その影響で胃腸の働きは弱くなり、胃酸の逆流が起こりやすくなることで吐き気や嘔吐をしやすくなります。
もちろんそれ以外にも出産に対する不安によるストレスや、大きくなった子宮による圧迫感、激しくなる胎動によって吐き気が起こることもあります。
妊娠後期におきる嘔吐への対策【5選】
お腹の大きくなる妊娠後期には基本的に体をゆっくりと休めることが大切です。
しかしそうしても実際に治まらない嘔吐に悩む方への対策を5つご紹介します。
対策1:食事を複数回に分ける
一度に多くの食べ物が胃に入るとそれだけ多くの胃酸を分泌する必要があります。
ホルモンの影響で胃酸の逆流を防ぐための「弁」の筋肉も緩んでいているため、多くの胃酸が分泌されると食道に逆流してしまいます。
そのため、一回の食事の量を少なくしてこまめに食べるという方法で胃酸の量を抑えることができます。
対策2:消化のよい食事をとる
ホルモンの影響でいつもと違う状態になっている胃腸なので、食事の内容も胃腸にやさしい消化の良いものを多く取り入れましょう。
油分(ナッツ類、バター、ベーコンなどの加工肉、ばら肉など)
香辛料(カレー粉、唐辛子など)
繊維の多いもの(海藻類、キノコ、ゴボウなど)
これらのものは避けましょう。
対策3:さっぱりした食事をとる
ヨーグルト、豆腐、バナナ、リンゴ、ささみなどの脂身の少ない肉など消化に良くさっぱりした食事にしていくことを心がけます。
さっぱりというと柑橘類など少し酸味があった方が食べやすい方もいると思いますが、胃酸の分泌が増えかえって胃のムカつきがおきる場合がありますので注意が必要です。
対策4:食後すぐ横にならない
胃腸の働きが落ちていることに加え、胃酸の逆流を抑える弁も弱くなっています。そのため、食後にすぐ横になると胃酸の逆流が起こり嘔吐につながることがあるので避けましょう。
対策5:横になる際は左側を下にする
横になる時の、体の向きで吐き気が楽になることがあります。大きくなった胎児が入っている子宮が母体の肝臓や、子宮の後ろにある大きな血管をつぶしてしまうことを防ぐために左側を下に向けてください。
妊娠後期の嘔吐で胎児に悪影響はないのか?
妊娠後期の吐き気、嘔吐は基本的に心配する必要はありません。
先述した通り、胃腸の働きが弱まったり子宮に胃が圧迫されたりすることなどが原因であり胎児に影響はありません。
ただし、あまりにも続く嘔吐や胃の痛みには以下のような原因が潜んでいることもあるので心配でしたら受診をしてください。
こんなときは注意!妊娠後期の嘔吐の症状
・発熱、頭痛、下痢、腹痛を伴う…食中毒や胃腸炎
・重度のむくみ、体重増加、高血圧、頭痛を伴う…妊娠高血圧症候群
【私も経験した】妊娠後期における嘔吐の体験談
妊娠後期の健診では体に問題がないのに「私だけ吐き気を感じているのでは」と悩んでいる人もいるかと思いますが、安心してください。
私も、よく吐き気を感じていました。
私の場合は、妊娠初期の頃は重いつわりで、入院しなくてはならないくらいでした。
妊娠後期になると、初期のつわりのような状態はほとんどなくなったのですが、吐き気・胸の気持ち悪さのようなものは、頻繁に感じていました。
緑茶を飲んだり、海苔を食べたりすると気持ち悪くなったり、疲れすぎると吐き気を感じたり。
胃を圧迫される、ムカムカする、表現の仕方が難しいのですが「とにかく気持ち悪い」そのような状態が妊娠後期にも続いたのです。
逆流性食道炎や妊娠高血圧症候群の症状でも吐き気があるのですが、健診で異常を指摘されることはありませんでした。
出産後もこのような吐き気が続くのではと心配になるくらいでしたが、産後はまったく感じませんでした。
それから、夫が調べて教えてくれたある一文に妙に納得した、勇気づけられたことがありましたので、みなさんにもお伝えしたいです。
それは吐き気は、順調に赤ちゃんがおなかの中で大きくなっている、誕生の準備をしているサインだということ。
自分の身体の中で赤ちゃんを育んでいるという特別な身体の変化、負担が起きていることから生じる身体の状態だということです。
辛い吐き気も、順調な赤ちゃんの成長の証と考えれば、気持ちが楽になりました。
出産が終わるまでもう少し吐き気と向き合い、赤ちゃんが順調に育っている証だと考え、おおらかな気持ちで、乗り越えてくださいね。
まとめ
妊娠後期にやってくる嘔吐には、大きくなる子宮による圧迫や出産のためのホルモンの影響があることが分かりました。
稀に胃腸炎や食中毒、妊娠高血圧症候群という場合もあるのでひどい場合には受診すべきですが、嘔吐してしまうこと自体はお腹の中の胎児に大きな影響はありません。
ムカムカと続く妊娠後期の対応としては、胃腸にやさしい食べ物をこまめに食べたり体の体勢に気を使ったりしてうまく乗り越えていけると良いでしょう。
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医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
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この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー