早産はいつから?その要因や兆候・予防策など徹底解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「早産は、いつからのこと?」
「早産のリスクにはどんなものがある?」
「早産を防ぐために、できることはあるのだろうか」
このような疑問をもっているのではないでしょうか。
早産は、妊娠22週から36週の間に起こる出産のことをさします。
早産には、さまざまな要因があり、その兆候を知ることで早期発見・対応が可能です。
そこで本記事では、以下の内容について解説していきます。
・早産の定義と種類
・早産の兆候と要因
・早産の予防策
これらの情報を知れば、早産のリスクを軽減し、安心して妊娠生活・出産を迎えられるようになりますよ。
早産は妊娠22~36週の出産
「早産」は、妊娠22週0日から36週6日までの間に出産すること、と定義されています(※1)。
早産は全妊娠の「約5%」を占めているため、決して珍しい事象ではありません(※2)。
ちなみに妊娠22週未満の出産は「流産」であり、安全に出産できる「正期産」は、妊娠37週0日から41週6日までです(※3)。
なお早産には以下2種類があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
自然早産 | 自然に陣痛が始まって出産する |
人工早産 | 母体や胎児の健康上の理由から医療的判断で行われる |
(※1,2,3)出典:和歌山県立医科大学 産科婦人科「早産とは」
早産の可能性がある5種類の兆候
早産の兆候を知っておくと早期発見・対応できるため、早産を防げる可能性が高まります。
早産の可能性がある兆候は、以下のとおりです。
兆候 | 詳細 |
1.お腹の張りや痛み | 規則的かつ頻繁に起こる |
2.性器出血 | 少量でも持続的な出血がある |
3.破水 | 膣からの水のような液体の流出がある |
4.おりものの変化 | 量が増えたり、色や臭いが変わる |
5.胎動の減少 | 普段より明らかに少なくなる |
上記の症状が見られた場合、すぐに医療機関で受診しましょう。
早産の可能性を高める6つの要因
早産を引き起こすおもな要因として、以下の6つがあげられます。
要因 | 詳細 |
1.子宮内感染 | ・早産の最大の要因で早産の「20~50%」を占める(※4) ・細菌感染により子宮内に炎症が起こると、早産のリスクが高まる |
2.多胎妊娠 | 双子や三つ子などの多胎妊娠は、単胎妊娠に比べて早産のリスクが高まる |
3.子宮頸管無力症 | 子宮頸管が開きやすくなる状態で、早産の原因に |
4.既往歴 | 早産を経験した人は、次回妊娠でも早産のリスクが高まる |
5.生活習慣 | ・喫煙 ・過度の飲酒 ・ストレス ・過労などの生活習慣で早産のリスクが高まる |
6.母体の疾患 | 糖尿病や高血圧などの基礎疾患がある場合、人工早産のリスクが高まる |
(※4)出典:J-STAGE|鹿児島市立病院(波多江正紀)「早産、低出生体重児出生のメカニズム」
早産の胎児の生存率
厚生労働省が公表している資料によると、早産の胎児の生存率は以下のとおりです。
在胎週数 | 生存率 |
22~23週 | 66.1% |
24~25週 | 86.5% |
26~27週 | 94.0% |
28~29週 | 96.7% |
30~31週 | 97.5% |
平均 | 92.3% |
上表から、母体にいる週数が長いほど生存率が高まるといえるでしょう。
しかし、生存率が高くなっても、早産児には以下のような発達上のリスクがあります。
リスクのある部位 | 詳細 |
呼吸器 | 肺が未発達なため、呼吸窮迫症候群などのリスクがある |
脳の発達 | 脳室内出血や脳性麻痺のリスクがある |
視力 | 未熟児網膜症のリスクがある |
消化器 | 壊死性腸炎のリスクがある |
免疫系 | 感染症にかかりやすくなる |
上記のリスクは、出生時の週数が早いほど高くなる傾向があります。
出典:厚生労働省(平成30年度子ども・子育て支援推進調査研究事業)「低出生体重児保健指導マニュアル」平成31年3月 みずほ情報総研株式会社
早産のリスクを下げる7つの予防策
早産を完全に予防することはむずかしいですが、リスクを軽減するために、以下の予防策を心がけましょう。
予防策 | 詳細 |
定期的な妊婦健診 | 感染症や子宮頸管の異常を早期に発見 |
栄養摂取 | バランスの取れた食事を心がける |
禁煙・禁酒 | 少しだけなら、と油断しない |
適度な運動 | 過度の運動や労働を避けて、散歩などの軽めの運動を取り入れる |
ストレス解消 | 自分なりの解消法をもっておく |
感染予防 | 手洗いやうがいを徹底 |
性行為は控える | 性行為を控えるか、医師に相談 |
妊娠中の食事に不安のある人は、下記を参考にしてみてくださいね。
早産に関するQ&A
ここでは早産について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


早産児の退院後のケアで注意すべき点は?
早産児は免疫力が弱く、感染症リスクが高いため、清潔な環境、適切な温度調整、適切な授乳や沐浴方法について医療スタッフの指導を受けましょう。

健康的な生活習慣を心がけ、定期的な妊婦健診を受けましょう。
まとめ
早産は妊娠22週0日から36週6日までに出産することをさし、その兆候と要因には以下のようなものがあげられます。
兆候 | 要因 |
・お腹の張りや痛み(規則的かつ頻繁) ・性器出血(少量でも持続的) ・破水 ・おりものの変化 ・胎動の減少 |
・子宮内感染 ・多胎妊娠 ・子宮頸管無力症 ・既往歴 ・生活習慣 ・母体の疾患 |
早産のリスクを軽減するための予防策としては、
・定期的な妊婦健診
・バランスの取れた栄養摂取
・禁煙・禁酒
・適度な運動
・ストレス解消
・感染予防
・性行為を控える
などがあります。
これらの対策を心がけて、できるだけ安全な出産を迎えましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー