妊娠初期の体温は上がりやすい?下がる原因や注意点も解説

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「妊娠初期は体温が上がるの?」
「妊娠初期の体温変化について知りたい」
「体温が下がったら、流産してしまうサイン?」
初めての妊娠の場合、この体温変化は正常なのかわからず、心配になってしまいますよね。
じつは、妊娠初期の体温が上がる現象には理由があるのです。
一方で、体温が下がるケースも。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・妊娠初期に体温が上がりやすい3つの原因
・妊娠初期に体温が下がる原因
・妊娠初期における高熱の注意点
この記事を読むと、妊娠初期の体温変化について理解が深まり、適切な対応ができるようになりますよ。
妊娠初期は体温が上がりやすい
妊娠初期は、朝起きてからすぐに測定する「基礎体温」が、通常時よりも高くなる傾向があります。
具体的には排卵後から「約0.3〜0.5℃」上昇して、妊娠が成立すると、この高温期が継続します(※1)。
妊娠していなければ、排卵から2週間程度で基礎体温は低下しますが、妊娠した場合は高温期が約11〜16日つづきます(※2)。
ただし、体温変化には個人差があることも覚えておきましょう。
また上記以上の高熱がある場合は注意が必要です。
風邪やインフルエンザなどの可能性もあるため、大事に至る前に医療機関で受診しましょう。
妊娠初期に体温が上がりやすい3つの理由
妊娠初期に体温が上がるおもな理由として、以下3つがあげられます。
・プロゲステロンの増加
・基礎代謝の上昇
・血液量の増加
順番に解説していきます。
理由1:プロゲステロンの増加
妊娠初期には、妊娠を維持するための役割がある「プロゲステロン(黄体ホルモン)」と呼ばれるホルモンの分泌が増加します。
プロゲステロンには、体温調節中枢に作用して体温を上昇させる効果があるため、体温が上がりやすくなるのです。
プロゲステロンは通常、排卵後に分泌が増加しますが、妊娠が成立すると、分泌量がさらに増加します。
理由2:基礎代謝の上昇
妊娠すると、
・胎児の成長
・胎盤の形成
・母体の適応
など体内でさまざまな変化が起こり、基礎代謝が上昇します。
そのため通常よりも多くのエネルギーを必要として、体内で熱が発生し、体温が上がりやすくなるのです。
基礎代謝の上昇は妊娠の全期間を通じて起きますが、とくに初期には現れやすい変化といえます。
理由3:血液量の増加
妊娠初期に入ると、胎児に十分な酸素と栄養を供給するため、母体の血液量が非妊娠時と比べて「40〜50%」増加するといわれています(※3)。
血液量が増加すると血液循環が活発になるため、体内で熱が発生して体温が上がりやすくなるのです。
また増加した血液量を処理するために、肝臓や腎臓などの臓器の働きも活発になることも体温上昇の要因です。
(※3)出典:日本赤十字社|東京都赤十字血液センター「問診ってなにを聞かれるの?」
妊娠初期の体温は下がる場合もある
妊娠初期は通常、高温期がつづきますが、体温が一時的に下がる場合もあります。
体温低下の原因としては、
・睡眠不足
・ストレス
・体の冷え
などがあげられます。
とくに、つわりの影響で十分な睡眠が取れない場合、体温が下がりやすくなります。
ほかにも、基礎体温の測定方法が間違っていたり、外気温や環境によっても体温が下がるでしょう。
基礎体温の測り方については、下記でくわしく解説しています。
体温の低下のみで心配し過ぎる必要はないですが、腹痛や出血を伴う場合は医療機関へ相談してください。
妊娠初期における39℃以上の体温には注意
極端に高い体温、具体的には「39℃以上」の高熱は、胎児に悪影響を及ぼす可能性があるため注意しましょう(※4)。
国立精神・神経センター武蔵病院が公表した研究論文によると、重症児5,901人のうち、約2.5%にあたる148例の母親に、妊娠中に発熱があったことがわかっています。
これらの母親の発熱は妊娠2~3か月頃にもっとも多く、39~40度台の高熱であったことも報告されています。
妊娠初期の母親の高熱が必ずしも子どもの障がいにつながるとは限りませんが、妊娠初期は胎児の器官形成期であるため、高熱には注意が必要です。
体調管理を適切に行い、異常な高熱がつづく場合は、すぐに医療機関で受診しましょう。
(※4)出典:国立保健医療科学院|国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科(平山義人,鈴木文晴ほか)「障害児における母体環境の異常」平成元年度厚生省心身障害研究
妊娠初期の体温に関するQ&A
ここでは妊娠初期の体温について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


ただし個人差がありますので、あくまで目安としてください。

体温変化だけでなく、出血や腹痛など他の症状がある場合は産婦人科を受診しましょう。

まとめ
体温を測ると体の変化が顕著に表れるので、異変に気付きやすいものです。
妊娠を心待ちにしている方も、現在妊娠中の方も体調の変化に敏感になっていることと思います。
体温を測ることで安心もできますが、反対に不安になってしまうこともありますので、体温の変化だけで一喜一憂せず、リラックスして日々を過ごしてみてくださいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
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高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
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現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
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さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
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研究所

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この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー