二度の陣痛の後に生まれた感情はどんなものだったか

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「どんなバースプランにしますか?」
後期の母親学級で助産師さんにされた、「どんなバースプランにしますか?」という質問。
はてさて本当にやることがないぞ、となった時にふと思い出したのが先ほどの助産師さんの言葉。「どんなバースプランにしますか?」
当時、夫は飛行機を乗り継いだ先に長期出張に出ており、突然の陣痛で連絡しても立ち合いに間に合うかは分かりませんでした。ですからどんなバースプランが希望かと聞かれても(きっと思った通りにはいかないだろうな)と半ば諦めていたのです。しかし何もすることがなかった私は出産テキストを引っ張り出し、改めておなかの子のバースプランを考えてみることにしました。
この子が産まれ出てくる時間、何をしようかな。何をしてあげようかな。好きな音楽をかけても良いですよと助産師さんは仰っていましたが、当時の私はこれと言ってはまっている音楽もなくこれは却下。ご主人に何をしてもらいたいですか?とも聞かれましたが、夫がその場にいる確証もなかったのでこれも却下。それからも必死に考え、ようやくひとつのプランを絞り出した私は、出産テキストに記入を始めました。
「胎盤を見てみたいです」
あれだけ考えて出てきたプランがこれかと、自分でも呆れるほどでしたが、何もないよりはマシかと思いその日はそのままテキストを入院バッグの中にしまいました。
それから数日後、布団に入り眠ろうかとした夜の23時頃、強い整理痛のような痛みが走りました。これは!これが世に聞く陣痛か?!私は眠くなり始めた目をこすり、慌てて携帯を準備してタイムを計り始めました。15分。14分。17分。13分。うんうんよしよし。これは来たぞ、いよいよ私にも来たぞ。私は握りしめていた携帯でそのまま病院へ電話をしました。「陣痛が来ました!」
そして助産師さんの指示の通りに荷物を持ち、父と共にタクシーに乗り込み、夜間通用口から産婦人科のフロアまで上がりました。そして促されるまま内診室へ入るのですが、ここでそわそわしていた父が間違えて入室しようとしてしまったことは家族の誰にも話していない事実です。しかしそこから一向に陣痛は進まず、むしろ弱くなっていく一方でした。そう、これは前駆陣痛だったのです。私と父は少しがっかりしながら帰宅し、ゆっくりと眠りにつきました。
陣痛が来ました!本当に!
それから一週間後のお昼頃、公園を散歩中に定期的に痛みを感じ始めました。そして夜の20時頃、たまたま休暇中で帰省した夫も一緒に、実家でビーフカレーを食べていた時でした。今までとは比べ物にならないほどのおなかの痛みが私を襲ったのです。なんだこれは?!これが本物の陣痛か?!冷や汗を垂らしながらうずくまりながら必死に耐えました。再び病院まで行って前駆陣痛でしたのパターンはなんとしても避けなくてはいけない、本物である確証を得られてから電話するのだ!と必死に自分に言い聞かせ耐えること1時間。痛みは治まるどころか増す一方で、立つこともままならなくなった私はようやく病院へ電話をしました。「陣痛が来ました!本当に!」
這うようにしてなんとかたどり着いた陣痛室で、私は大きなボールを抱えながら何度も襲ってくる激しい痛みに耐えていました。15分間隔だった痛みは徐々に短くなり、いよいよ8分間隔になった頃、助産師さんが現れ、モニターを確認して言いました。「進みが遅いですね。」いやな予感。案の定それから陣痛は進まず、10分間隔に戻っていきました。しかしこれが不思議なことに、痛みは全く減らないのです。むしろ強くなっている(ように感じる)のです。いつまでこの痛みが続くんだ、本当にこれから産まれてくるのか、私は今ここで何をしているんだ。そんなことを考えながら気が付くと朝の5時になっていました。「8時になったら先生がいらっしゃるので、そこで薬を入れるか判断を仰ぎます」という助産師さんの言葉に、あと3時間、あの激痛を18回は無言で耐えなきゃいけないのかと恐怖に震えたことを覚えています。
しかしそこからなんとか持ち直した私は、ぼろぼろの体に鞭を打ち、朝の9時頃には分娩台に上ることが出来ました。よし、やっと産める!この痛みともおさらばだ!ようやく私は解放される!と思ったのもつかの間、私の子宮口を確認した助産師さんが「きっとお昼には産まれるわよ。」なんということだ。今はまだ朝ですよ?私の体は一体どんな作りになっているんだ?!これほどの痛みなのにまだ産めないと言うのか?!
ちゃんと叶った!私のバースプラン
そこからは今までの人生で一番痛かった記録を優に超える痛みの繰り返しで、分娩台を何度も蹴りつけ、助産師や先生の皆さんに押さえつけられ、予言通りの13時34分に無事に長女を出産することが出来ました。延べ25時間41分の陣痛でした。ようやくすべての痛みから解放され、真っ赤でまだ生っぽい匂いのする我が子を抱いている私のところに担当してくださった助産師さんが声をかけてきました。
「これがあなたの胎盤ですよ。ママと赤ちゃんを繋いでくれていたんですよ。」
半ば適当に書いた私のバースプランを、助産師さんはしっかり叶えてくださったのです。
助産師さんの見せてくれたそれはとても生々しく、お世辞にも綺麗といえるようなものではありませんでした。それでも長い妊娠生活の間、そして意識の遠のくような陣痛の時間を経て役割を全うした姿に、自然と「ありがとう」と声をかけていました。
あれから6年。今月末6歳になる長女は、私も赤ちゃん欲しいなと言っています。妊娠とはどんなものか、陣痛とはどんな痛みか、今はまだ秘密にしておこうと思います。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー