高齢出産前に検査は受けるべき?5種類の検査内容を徹底解説

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「高齢出産だから、赤ちゃんのリスクについて検査した」「出産前にはどんな検査が受けられるのか知りたい」と思っていませんか。

出産前に受けられる検査は大きく5種類あり、胎児の健康状態を事前に把握できます。

ただし、検査のなかには流産のリスクのある検査も含まれるため、注意が必要です。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

● 出生前検査とは
● 高齢出産の際は検討したい5種類の検査
● 高齢出産では出生前検査を受けるべきか

この記事を読むと、高齢出産の際に受けるべき検査を判断できるようになりますよ。

妊娠中で不安に思っている人は、ぜひこの記事で検査について知り、安心してくださいね。

 

出生前検査とは?高齢出産で受ける人は約60%

出生前検査とは、胎児の健康状態を調べる検査をさします。

高齢出産では赤ちゃんにさまざまな先天的な障害や病気が起きやすくなるリスクがあるため、多くの高齢出産者が検査を受けています(※1)。

実際、厚生労働省が公表したデータによると、出産時の年齢が40歳以上である人の「約60%」が出生前検査を受けていることがわかりました(※2)。

 

出典
(※1) 視点 妊娠・出産適齢期|参議院
(※2) 女性から見た出生前検査|厚生労働省

 

高齢出産の際は検討したい|5種類の出生前検査

出生前検査は大きく分けて5種類あり、2種類の確定検査と3種類の非確定検査に分けられます。確定検査では、検査の結果に基づいて診断が確定できるもので、非確定検査とは診断が確定できないことをいいます。また、確定検査は診断を確定できますが、流産などのリスクがある(※3)場合があります。

2種類の確定検査と3種類の非確定検査について、それぞれ解説します。

 

出典
(※3) 高齢妊娠における不安と選択|J-STAGE

 

2種類の確定検査

確定検査には、妊娠15週以降に羊水を採取する羊水検査と、妊娠11~14週に実施可能で胎盤絨毛を採取する絨毛検査法があります。

・羊水検査法

・絨毛検査法

 

確定検査1:羊水検査

妊娠15週以降に経腹的に羊水を採取する方法です(※4)。

染色体分析の場合は約20mlの羊水を採取して、そこに含まれる胎児由来の細胞を培養して増やし分析します(※5)。

細胞を分析可能なまでに増やすため、検査をしてから結果が出るまで2~3週間程度を要します(※6)。

羊水検査の合併症として最も頻度が高いのは、穿刺孔からの羊水流出によると考えられる破水で、それにより300~500分の1の頻度で流産や死産に至るといわれています(※7)。

出典
(※4、7) NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書|厚生労働省
(※5) 入院診療計画書|岩手医科大学附属内丸メディカルセンター臨床遺伝科
(※6) 羊水検査とは|出生前検査認証制度等運営委員会

 

確定検査2:絨毛検査法

羊水検査よりも、もっと早い時期に胎児の遺伝的情報を得る方法が絨毛検査法です。

妊娠11~14週に実施可能で、経腹的もしくは経膣的に胎盤絨毛を採取します(※8)。

経腹的とは、腹壁を通じて採取する方法で、経腟的とは膣から子宮頸管を通じて採取する方法です。

羊水検査に比べると検査時期が早く、検査結果も早く得られるという利点があるのです。

一方で、母体組織の混入や、胎盤の染色体と胎児の染色体が一致しない胎盤モザイクの問題がありあます。

また、日本では実施している施設が羊水検査に比べて圧倒的に少なく、一部の施設で集中して行われているという現状です。

出典
(※8) NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書|厚生労働省

 

3種類の非確定検査

非確定検査には、母体の腹部などに機械をあて胎児の様子を投影し診断する超音波検査、妊娠15週~20週に採血による母体血中のα胎児由来蛋白(AFP)、ホルモンやタンパク質を測定する母体血清マーカー検査、採血検査により血漿中のDNA断片の塩基配列を解析するNIPT (※1)があります。

※1 NIPT

 

非確定検査1:超音波検査

母体の腹部などへ機械をあてることで胎児の身体の様子を投影し診断する検査です。画像から診断する検査で、流産のリスクのない検査です。骨や臓器の形、動き、大きさなどを調べて、異常の有無を評価します。妊娠11週頃以降の時期に行われます(※9)。

妊娠11週~13週頃には、様々な臓器が形成されるので全身の形態、心臓の構造、四肢の確認など形の状態を確認します。妊娠18~21週には、形成された臓器が発育する時期ですので、心臓や内臓、さい帯や胎盤を詳細に確認します。

 

出典
(※9) NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書|厚生労働省

 

非確定検査2:母体血清マーカー検査

妊娠15週~20週に妊婦の採血をし、母体血中のα胎児由来蛋白(AFP)、ホルモンやタンパク質を測定します(※10)。

 

らに母体体重や妊娠週数、家族歴などの情報をくわえて胎児が13・18・21トリソミーである可能性を確率で表し、さらに神経管閉鎖障害の可能性が高いかどうかを示す検査法です(※11)。

出典
(※10、11) NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書|厚生労働省

 

非確定検査3:NIPT

この検査では母体血漿中のDNA断片の塩基配列を解析して、その断片がどの染色体由来かを判別し、すべてのDNA断片の由来染色体を決定します。

その中には胎児由来のDNA断片が含まれており、いずれかの染色体のトリソミー児を妊娠していると、そのトリソミーの染色体由来成分が多くなります。

このことを利用して胎児の染色体数異常を推定するのです。

また、母児間にある一塩基多型の違いを利用して胎児の染色体数異常を推定する方法も用いられています。

精度は高いですが確定検査ではないため、さまざまな要因で偽陽性が出現するケースも。

現在の日本では臨床研究という位置づけで限られた施設で13、18、21番染色体の異数性のみを対象にした検査として行われています(※12)。

出典
(※12) NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書|厚生労働省

 

高齢出産では出生前検査を受けるべき?

超音波検査以外の出生前検査は、希望者のみが受ける検査です。

また、出生前検査では全ての先天異常を見つけることはできません。

高齢出産と関わりの深い染色体異常の有無については羊水検査まで受ければ、ほぼ確定診断がつきます。

・流産などのリスクもあること
・検査結果が出たときにどうしたいか

をパートナー間でよく相談しておく必要があり、病院のカウンセリングなどで、十分に説明を受けましょう。

そのうえで、出生前検査を受けるかどうか決めることが大切です。

 

【体験談】私が受けた出生前検査

高齢出産ではないものの、私も出生前検査を受けた経験があります。

私の場合、妊婦健診の超音波検査で羊水の量が少ないことが判明し、かかりつけの産婦人科から大学病院の超音波外来を受診するよう指示されました。

くわしい超音波検査の結果、胎児の神経に障害があることがわかり、他の先天性異常がないか確認するために羊水検査を受けました。

そして、生まれてきた赤ちゃんの治療がすぐに行えるよう専門のスタッフがいてNICUのある大学病院で、病巣を傷つけないように予定帝王切開で出産することになったのです。

赤ちゃんに障害があることがわかった当時は、絶望的な気持ちで検査を受けたことを後悔するような思いもありました。

しかしあらためて考えると、出生前検査によって事前に赤ちゃんの状態を知ることができたことで、母子ともに安全な出産ができ、出生後の赤ちゃんが迅速に適切な治療を受けられたのだと思います。

 

まとめ

出生前に受けられる検査は、大きく5種類あり、胎児の健康状態を事前に把握できることができます。高齢出産と関わりの深い染色体異常の有無については、羊水検査まで受ければほぼ確定診断がつきます。しかしながら、流産などのリスクもあることや、検査結果が出たときにどうしたいかといった点については、医師からの説明をきちんと受け、パートナーとよく話し合っておくことが大切です。

 

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▼さい帯血保管について、もっと詳しく

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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