高齢出産前に検査は受けるべき?5種類の検査内容を徹底解説

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「高齢出産だから、赤ちゃんのリスクについて検査したい」「出産前にはどんな検査が受けられるのか知りたい」と思っていませんか。

出産前に受けられる検査は大きく5種類あり、胎児の健康状態を事前に把握できます。

ただし、検査のなかには流産のリスクのある検査も含まれるため、注意が必要です。

この記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・出生前検査とは
・高齢出産の際は検討したい5種類の検査
・高齢出産では出生前検査を受けるべきか

この記事を読むと、高齢出産の際に受けるべき検査を判断できるようになりますよ。

妊娠中で不安に思っている人は、ぜひこの記事で検査について知り、安心してくださいね。

高齢出産における5つのリスク

高齢出産には、おもに以下5つのようなリスクがあります。

・流産のリスク上昇
・染色体異常(ダウン症候群など)の可能性増加
・妊娠高血圧症候群の発症リスク増加
・妊娠糖尿病の発症リスク増加
・帝王切開分娩の可能性増加

順番に見ていきましょう。

リスク1:流産のリスク上昇

年齢が高くなるにつれて、妊娠初期の流産率は上昇します。

杏林大学が公表している研究論文によると、35歳未満の妊婦さんと比較した場合の流産率は、

・35歳~39歳:2倍
・40歳以上:2.4倍

上昇していることがわかっています(※1)。

これは加齢による卵巣機能や、子宮機能の低下がおもな原因です。

また同研究では、年齢が高くなると、ダウン症候群をはじめとした染色体異常の頻度が増加するため、それが流産の一因になるともいわれています。

(※1)出典:J-STAGE|杏林大学医学部産科婦人科学(古川 誠志)「高齢妊娠に伴う諸問題」杏林医学会雑誌 2016 年 47 巻 1 号 p. 77-79

リスク2:染色体異常(ダウン症候群など)の可能性増加

母体年齢が高くなると、胎児の染色体異常が起こる確率も上昇します。

昭和大学の資料によると、年齢によるダウン症候群の発生確率は、以下のとおりでした(※2)。

妊婦さんの年齢 ダウン症候群の発生頻度
30 1/959(0.104%)
35 1/338(0.296%)
36 1/259(0.386%)
37 1/201(0.498%)
38 1/162(0.617%)
39 1/113(0.885%)
40 1/84(1.190%)
41 1/69(1.449%)
42 1/52(1.923%)
43 1/37(2.703%)

年齢とともにダウン症候群の発生頻度が高まるのは、卵子が年齢とともに老化し、卵子が作られる過程で染色体がうまく分かれなくなるためです。

ダウン症以外にも、成長障害や小頭症が見られる、18トリソミーや13トリソミーといった染色体異常の頻度も、年齢とともに増加することが明らかになっています。

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(※2)出典:昭和大学医学部産婦人科学講座(関沢明彦)「出生前診断」平成30年5月10日

リスク3:妊娠高血圧症候群の発症リスク増加

妊娠高血圧症候群は、妊娠中に血圧が高くなる病気です。

40歳を超えると妊娠高血圧症候群の発症頻度は「約8%」となり、35歳未満の妊婦さんの約2倍に上昇します(※3)。

妊娠高血圧症候群が重症化すると、

・母体の痙攣(子癇)
・脳内出血
・死亡

につながるリスクもあるのです。

(※3)出典:J-STAGE|杏林大学医学部産科婦人科学(古川 誠志)「高齢妊娠に伴う諸問題」杏林医学会雑誌 2016 年 47 巻 1 号 p. 77-79

リスク4:妊娠糖尿病の発症リスク上昇

妊娠糖尿病とは、妊娠中に初めて見つかる血糖値の異常のことです。

高齢妊娠では、代謝機能の低下や血管の柔軟性が低下しやすくなり、妊娠糖尿病のリスクが高まります。

35歳以上では20〜24歳の「約8倍」・30〜34歳の「約2倍」も、発症頻度が高いことが報告されています(※4)。

妊娠糖尿病になると、

・羊水が増えすぎる
・胎児が大きくなりすぎる
・出産後に赤ちゃんの血糖値が下がりすぎる

などの合併症が起こる可能性があるのです。

(※4)出典:J-STAGE|杏林大学医学部産科婦人科学(古川 誠志)「高齢妊娠に伴う諸問題」杏林医学会雑誌 2016 年 47 巻 1 号 p. 77-79

リスク5:帝王切開分娩の可能性増加

高齢出産では、帝王切開での出産になるリスクも高まります。

妊娠高血圧症候群や、前置胎盤などの合併症が増えることが一因です。

また国立成育医療研究センターが行った研究によると、45歳以上では30〜34歳と比較して、帝王切開のリスクが「約1.71倍」に上昇することが明らかになりました(※5)。

とくに初めての出産となる初産婦では、年齢が高くなると帝王切開のリスクが上昇することもわかっています(※6)。

▼どんなときに帝王切開になる?リスクも解説

帝王切開が適用される理由とは?4つのリスクや適用される確率も解説

(※5,6)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「日本における超高齢妊婦の妊娠予後を検証」

出生前検査とは?高齢出産で受ける人は約60%

出生前検査とは、胎児の健康状態を調べる検査をさします。

高齢出産では赤ちゃんにさまざまな先天的な障害や病気が起きやすくなるリスクがあるため、検査を受ける人も多くなっています。

実際、厚生労働省が公表したデータによると、出産時の年齢が40歳以上である人の「約60%」が出生前検査を受けていることがわかりました(※7)。

(※7)出典:厚生労働省「女性から見た出生前検査」

高齢出産の際は検討したい|5種類の出生前検査

出生前検査は大きく分けて5種類あり、2種類の確定検査と3種類の非確定検査に分けられます。

確定検査では、検査の結果に基づいて診断が確定できるもので、非確定検査とは診断が確定できません。

また確定検査では流産などのリスクも存在します(※8)。

2種類の確定検査と3種類の非確定検査について、それぞれ解説します。

(※8)出典:J-STAGE|立教大学社会福祉研究所 明治学院大学社会学部付属研究所(菅野 摂子)「高齢妊娠における不安と選択」学術の動向 2017 年 22 巻 8 号 p. 8_40-8_45

2種類の確定検査

確定検査には、妊娠15週以降に羊水を採取する羊水検査と、妊娠11~14週に実施可能で胎盤絨毛を採取する絨毛検査法があります。

・羊水検査法
・絨毛検査法

順番に見ていきましょう。

確定検査1:羊水検査

妊娠15週以降に経腹的に羊水を採取する方法です(※9)。

染色体分析の場合は約20mlの羊水を採取して、そこに含まれる胎児由来の細胞を培養して増やし分析します(※10)。

細胞を分析可能な量まで増やすため、検査をしてから結果が出るまで2~3週間程度かかります(※11)。

羊水検査の合併症として最も頻度が高いのは、穿刺孔からの羊水流出によると考えられる破水で、それにより300~500分の1の頻度で流産や死産に至るといわれています(※12)。

(※9,12)出典:厚生労働省「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

(※10)出典:岩手医科大学附属内丸メディカルセンター臨床遺伝科入院診療計画書

(※11)出典:出生前検査認証制度等運営委員会羊水検査とは

確定検査2:絨毛検査法

羊水検査よりも、さらに早い時期に胎児の遺伝的情報を得る方法が絨毛検査法です。

妊娠11~14週に実施可能で、経腹的もしくは経膣的に胎盤絨毛を採取します(※13)。

経腹的とは、腹壁を通じて採取する方法で、経腟的とは膣から子宮頸管を通じて採取する方法です。

羊水検査に比べると検査時期が早く、検査結果も早く得られるという利点があるのです。

一方で、母体組織の混入や、胎盤の染色体と胎児の染色体が一致しない胎盤モザイクの問題があります。

また、日本では実施している施設が羊水検査に比べて圧倒的に少なく、一部の施設で集中して行われているという現状です。

(※13)出典:厚生労働省NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

3種類の非確定検査

非確定検査には、

・母体の腹部などに機械をあて胎児の様子を投影し診断する「超音波検査」
・採血による母体血中のホルモンやタンパク質を測定する「母体血清マーカー検査」
・採血検査により血漿中のDNA断片の塩基配列を解析する「NIPT」

があります。

非確定検査1:超音波検査

母体の腹部などへ機械をあてることで胎児の身体の様子を投影し診断する検査です。

画像から診断する検査で、流産のリスクのない検査です。

骨や臓器の形、動き、大きさなどを調べて異常の有無を評価し、妊娠11週頃以降の時期に行われます(※14)。

妊娠11週~13週頃には、さまざまな臓器が形成されるので全身の形態、心臓の構造、四肢の確認など形の状態を確認します。

妊娠18~21週は、形成された臓器が発育する時期ですので、心臓や内臓、さい帯や胎盤を確認可能です。

(※14)出典:厚生労働省「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

非確定検査2:母体血清マーカー検査

妊娠15~20週に妊婦の採血をし、母体血中のα胎児由来蛋白(AFP)、ホルモンやタンパク質を測定します(※15)。

さらに年齢、母体体重や妊娠週数、家族歴などの情報をくわえて胎児が13・18・21トリソミーである可能性を確率で表し、さらに神経管閉鎖障害の可能性が高いかどうかを示す検査法です(※16)。

(※15,16)出典:厚生労働省「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

非確定検査3:NIPT

この検査では母体血漿中のDNA断片の塩基配列を解析して、その断片がどの染色体由来かを判別し、すべてのDNA断片の由来染色体を決定します。

その中には胎児由来のDNA断片が含まれており、いずれかの染色体のトリソミー児を妊娠していると、そのトリソミーの染色体由来成分が多くなります。

このことを利用して胎児の染色体数異常を推定するのです。

また、母児間にある一塩基多型の違いを利用して胎児の染色体数異常を推定する方法も用いられています。

精度は高いですが確定検査ではないため、さまざまな要因で偽陽性が出現するケースも。

現在の日本では臨床研究という位置づけで限られた施設で13、18、21番染色体の異数性のみを対象にした検査として行われています(※17)。

(※17)出典:厚生労働省「NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書

高齢出産では出生前検査を受けるべき?

超音波検査以外の出生前検査は、希望者のみが受ける検査です。

また、出生前検査ではすべての先天異常を見つけることはできません。

高齢出産と関わりの深い染色体異常の有無については羊水検査まで受ければ、ほぼ確定診断がつきます。

・流産などのリスクもあること
・検査結果が出たときにどうしたいか

をパートナー間でよく相談しておく必要があり、病院のカウンセリングなどで、十分に説明を受けましょう。

そのうえで、出生前検査を受けるかどうか決めることが大切です。

【体験談】出生前検査を受けた感想

高齢出産ではないものの、私も出生前検査を受けた経験があります。

私の場合、妊婦健診の超音波検査で羊水の量が少ないことが判明し、かかりつけの産婦人科から大学病院の超音波外来を受診するよう指示されました。

くわしい超音波検査の結果、胎児の神経に障害があることがわかり、他の先天性異常がないか確認するために羊水検査を受けました。

そして、生まれてきた赤ちゃんの治療がすぐに行えるよう専門のスタッフがいてNICUのある大学病院で、病巣を傷つけないように予定帝王切開で出産することになったのです。

赤ちゃんに障害があることがわかった当時は、絶望的な気持ちで検査を受けたことを後悔するような思いもありました。

しかしあらためて考えると、出生前検査によって事前に赤ちゃんの状態を知ることができたため、母子ともに安全な出産ができ、出生後の赤ちゃんが迅速に適切な治療を受けられたのだと思います。

高齢出産の検査に関するQ&A

ここでは妊娠初期について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

高齢出産では通常の妊婦健診以外に特別な検査が必要?
坂田先生
35歳以上の妊娠は「高齢妊娠」と言われますが、必ず特別な検査が必要になるわけではありません。

ただし、年齢とともに染色体の変化によるリスクが少し高くなるため、希望に応じて出生前検査を紹介されることがあります。

出生前検査はあくまで任意です。

不安や気持ち、ご家族の考え方などに合わせて、医師と相談しながら選ぶことができます。

どの検査を受ければいい?
坂田先生
「どれを受ければ正解」というものはなく、目的・精度・タイミング・費用をふまえて選びます。

主な検査はこちらです。

・超音波検査(エコー):妊婦健診で行う基本の検査
・母体血清マーカー検査:血液から染色体異常の可能性を推定
・NIPT(新型出生前検査):血液検査で染色体の状態を詳しく調べる
・羊水検査・絨毛検査:先天異常を確定できる検査

どの検査が合うかは、妊娠週数や体調にもよります。

迷ったときは、かかりつけ医に相談するのがおすすめです。

どの検査が一番正確?
坂田先生
確定診断ができるのは、羊水検査・絨毛検査です。

ただし、妊婦さんの負担があるため、実施には医師の判断が必要です。

NIPTは採血だけで受けられ、非確定検査の中では精度が高いとされています。

ただし、陽性の場合は確定検査が必要です。

どの検査もできること・限界があるため、「何を知りたいか」を整理し、医師と話しながら選ぶと安心です。

まとめ

出生前に受けられる検査は、大きく5種類あり、胎児の健康状態を事前に把握できます。

高齢出産と関わりの深い染色体異常の有無については、羊水検査まで受ければほぼ確定診断がつきます。

しかしながら、流産などのリスクもあることや、検査結果が出たときにどうしたいかといった点については、医師からの説明をきちんと受け、パートナーとよく話し合っておくことが大切です。

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この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー