高齢出産で胎児がダウン症になる確率は?|検査の時期や種類を紹介

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

高齢出産はダウン症児のリスクが高まる?出生前判断とは?リスクを下げる方法は?
1, 高齢出産と呼ばれるのは何歳から?
高齢出産と呼ばれる年齢は、明確にはっきりと決まっているわけではありませんが、日本産婦人科学会によると、35歳以上で初めて妊娠・出産する人のことを「高年初産」といって、注意が必要としています。「高齢」で出産することのリスクは、体力や身体機能によって個人差がありますが、以下のようなものがあります。
- 妊娠しづらい
- 流産率の上昇
- 子宮筋腫などができやすくなる
- 妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクが上がる
- ダウン症や心疾患などの先天異常の赤ちゃんが生まれやすい
日本では年々晩婚化が進んでおり、高齢出産になる人も増えてきています。そのため、事前に様々な知識を身につけて赤ちゃんを迎える準備をすることが大切です。
出典元:公益社団法人 日本産婦人科医会
出典元: 厚生労働省 2 晩婚化・晩産化の状況
2, ダウン症とは
ダウン症の正式名は「ダウン症候群」で最初の報告者であるイギリス人のジョン・ラングドン・ダウン医師の名前により命名されました。通常、21番目の染色体が1本多くなってダウン症になることから「21トリソミー」とも呼ばれます。
ダウン症の特徴は、筋肉の緊張度が低く、知的な発達に遅れがあることが多いです。また、全体的にゆっくり発達しますが、発達の道筋は、通常の場合とほぼ同じです。また、心疾患などになることも多いですが、近年では、ほとんどの人が普通に学校生活や社会生活を送っています。
出典元:公益財団法人日本ダウン症協会
3、 高齢出産で胎児がダウン症になる確率とは
母体の年齢ごとのダウン症になる確率は以下の表のとおりになります。年齢が上がるにつれてダウン症のリスクが上昇することがわかります。
年齢 | ダウン症の確率 |
25歳 | 1/1250人 |
30歳 | 1/952人 |
35歳 | 1/385人 |
40歳 | 1/106人 |
45歳 | 1/30人 |
49歳 | 1/11人 |
出典元:厚生労働省 – 「不妊に悩む方への特定治療支援事業等のあり方に関する検討会」報告書 参考資料 より一部抜粋
4, ダウン症であることはいつわかるの?検査の時期と種類
(1)出生前診断について
ダウン症や染色体異常を事前に防ぐ方法は、現代の医療では解明されていませんが、「出生前診断」によって、赤ちゃんの染色体異常を調べることができます。この「出生前診断」には何種類かあり、検査の時期や方法、診断の制度などが異なります。「出生前診断」をすることで、先天性疾患をもつ赤ちゃんを育てるための準備や、母体へのリスクを考慮し、人工妊娠中絶をするなどができます。
(2)出生前診断の種類と検査時期など
出生前診断の種類と検査時期、だいたいの費用などは以下の通りです。出生前診断には、検査の結果に基づいて診断が確定できる「確定的検査」と、診断が確定できない「非確定的検査」にわけられています。
・検査の結果に基づいて診断が確定できる「確定的検査」の種類は以下です。
検査名 | 検査時期 | おおよその費用 | 診断内容
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羊水検査
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15 週以降 | 約10~20万円 | 染色体数的異常・構造異常/遺伝
子異常/子宮内感染等
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絨毛検査
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11~14 週 | 約10~20万円 | 染色体数的異常・構造異常/遺伝子異常等 |
出典元:厚生労働省 NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書
・結果により確定はできない非確定的検査の種類は以下です。
検査名 | 検査時期 | おおよその費用 | 診断内容 |
母体血清マーカー検査 | 15 週~20 週 | 約2~3万円 | 21 トリソミー/18 トリソミー/神経
管閉鎖障害等の疾患の確率を年齢なども加味して算出
|
NIPT | 9~10 週頃 | 約12~21万円 | 13、18、21 番染色
体の3つのトリソミー
|
胎児超音波検査 | 11週頃以降 | 約3万円~5万円 | 胎児の形態学的
異常等の確認 |
出典元:厚生労働省 NIPT 等の出生前検査に関する専門委員会報告書
5, 高齢出産で胎児がダウン症になるリスクを下げるには?予防法はある?
(1)早めに妊娠する計画を立てる
高齢出産は、胎児のダウン症だけでなく、他の染色体異常のリスクが年齢とともに上がるといわれます。また流産、妊娠高血圧症候群などの母体リスクも高まるため、妊娠の計画を早めに立てることが必要になります。
(2)葉酸を摂取する
妊娠初期に葉酸が不足すると胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが高まります。ダウン症児が必ず生まれないとは言えないが、リスクを下げる可能性はありますので、妊娠を考えたときから葉酸を摂取することをおすすめします。
6, まとめ
出産時の母体年齢が高齢になるほど、胎児がダウン症児になる確率は高まります。また他の染色体異常のリスクや、母体リスクも高まります。現代社会では様々な生き方や働き方が存在し、女性の出産のタイミングもそれぞれ十人十色です。将来、ご妊娠や出産をご検討されているならば、こういうこともあるのか、という知識を置きながら、参考になさっていただければと思います。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー