前駆陣痛と便意は似ている?違いを見分ける5つのポイントと対処法

助産師 坂田陽子 先生

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「これって前駆陣痛?それとも便意?」
「お腹の痛みの正体がわからず不安になる…」
「前駆陣痛と便意を正しく見分ける方法が知りたい」

上記のように悩んでいるのではないでしょうか。

妊娠後期になると、前駆陣痛と便意による痛みが似ているため、判別に困る場合もあります。

とくに初産婦さんにとっては、どちらの症状なのか判断がむずかしく、不安を感じやすいものです。

しかし前駆陣痛と便意にはそれぞれ違いがあり、見分け方を知ることで冷静に対処できるようになります。

そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。

・前駆陣痛と便意を見分ける5つのチェックポイント
・排便後の症状や痛みの間隔による判別方法
・症状別の適切な対処法と注意点

この記事を読むと、前駆陣痛と便意の違いを理解でき、適切に対処できるようになりますよ。

▼そもそも前駆陣痛って何?陣痛との違いについて詳しい記事はこちら

前駆陣痛と陣痛〜いつから始まるのか〜

前駆陣痛と便意を見分けるチェックポイント

前駆陣痛と便意の見分け方として、以下のようなポイントがあげられます。

チェックポイント 通常の便意 前駆陣痛・陣痛
排便後の便意 排便後には、すっきりと便意がおさまる ・排便後も便意がつづく
・何度もトイレに行きたくなるが排便に至らない
お腹の張りとの関係 便意のみで、お腹の張りは同時に起こらない お腹の張りと便意が継続的に同時に起こる
痛みの間隔 持続的につづく ・前駆陣痛:不規則な間隔
・陣痛:10分以内の規則的な間隔
痛みの強さの変化 排便で解消されれば痛みも治まる ・前駆陣痛:強弱の変動が大きい
・陣痛:時間とともに徐々に強くなる
発生時間帯 特定の時間帯に集中しない ・前駆陣痛:夜間に多く、朝に治まる場合がある
・陣痛:時間帯に関係なく出産までつづく

順番に見ていきましょう。

ポイント1:排便後も便意がつづくかどうか

通常の便意であれば、排便後にはすっきりと便意がおさまります。

しかし陣痛の場合は、実際にトイレに行って排便しても便意がつづくという特徴があります。

胎児が下がり、腸や膀胱を圧迫するためです。

また何度もトイレに行きたくなるものの、便器に座ってもなかなか排便にいたらない場合も陣痛の可能性を考える必要があります。

さらに便意を感じているにもかかわらず、排便できなかった場合は、前駆陣痛の可能性があります。

このような症状がつづく場合は、お腹に手を当て、お腹の張りの間隔を確認し、前駆陣痛や陣痛がきていないか注意して観察してください。

ポイント2:お腹の張りと便意が同時に起こるか

確認してほしいポイントとしては「継続的にお腹の張りとともに便意を感じるか」です。

この組み合わせが継続的に10分以内の間隔で起こる場合、陣痛の可能性が高くなります。

前駆陣痛でも軽い便意に似た痛みを感じることがあるため、お腹の張りと便意が同時に現れる症状は見逃せないサインといえるでしょう。

とくに正産期にこのような症状が現れた場合は、陣痛の可能性も高まるため、注意深く観察しましょう。

ポイント3:痛みの間隔に規則性があるか

前駆陣痛の特徴として「不規則性」があげられます。

痛みの間隔がバラバラで、一定ではありません。

また陣痛は規則的で、10分以内の間隔になったら分娩の始まりとされています(※1)。

便意による痛みは基本的に持続的です。

しかし陣痛の場合は、波のように間隔で痛みが訪れるのが特徴です。

痛みや便意に波(間隔)があるかどうかをチェックし、10分以内の間隔で規則正しくきている場合は陣痛の可能性が高いといえるでしょう。

(※1)出典:国立研究開発法人国立成育医療研究センター「おしるし、破水、陣痛について」

ポイント4:痛みの強さが時間とともに変化するか

前駆陣痛は痛みの強さも変動が大きく、弱く感じたり強く感じたりを繰り返します。

そこまで強い痛みではない場合が多く、我慢できる程度の痛みとして感じられます。

一方、陣痛は徐々に痛みが強くなり、下腹部全体に広がるのが特徴です。

通常の便意による痛みは、排便によって解消されれば痛みも治まります。

しかし、陣痛による痛みは時間の経過とともに強くなっていく傾向があります。

痛みの程度に注目し、段々と強くなっているようであれば陣痛の可能性があるでしょう。

ポイント5:痛みを感じる時間帯の特徴

前駆陣痛は夜間に感じることが多く、朝になると自然に治まるケースもあります。

しばらく安静にすると、痛みがなくなることがほとんどです。

一方で、便意は食事のタイミングや生活リズムに関連して起こることが多く、特定の時間帯に集中することは少ないでしょう。

【症状別】前駆陣痛と便意の適切な対処法

上記のポイントから前駆陣痛と便意の区別がついたら、それぞれに適した対処を行いましょう。

順番に解説していきます。

前駆陣痛と判断した場合の対処法

前駆陣痛であれば、歩いたり姿勢を変えると痛みが和らぐ場合があります。

ほかにも対処法として、

・温かいお風呂に入る
・音楽鑑賞をする
・深呼吸する

など、リラックスできる状況をつくると痛みが和らぎやすくなります。

ただし痛みが規則的になってきたり、強くなってきた場合は、本格的な陣痛の可能性があるため、すぐに医療機関に連絡しましょう。

便意の場合の対処法

便意があっても我慢せず、ゆっくりとトイレに向かいましょう。

排便時は力まず、自然に出るのを待つことが大切です。

いきむとお腹に圧力がかかり、痔になったり、子宮が収縮して切迫早産の原因になる可能性があるためです(※2)。

また便秘を防ぐためにも、食物繊維を多く含む野菜や果物を摂取して、十分な水分補給を心がけましょう。

便秘がつづく場合は市販薬を使わず、医療機関で相談してください。

▼妊娠中の便秘解消法について詳しい記事はこちら

妊婦さんは便秘薬を使っても大丈夫?薬に頼らない5つの解消法や体験談も紹介

(※2)出典:三田市役所「妊娠中の便秘は赤ちゃんに影響しますか?トイレでのいきみも気になります。」

判別がつかない場合の対処法

前駆陣痛と便意の判別がつかない場合は、まず症状の記録をとるとよいでしょう。

みの間隔や強さ、持続時間を測定し、規則性があるかどうかを確認してください。

不安な場合は、遠慮せずに医療機関で相談することをおすすめします。

前駆陣痛と便意に関するQ&A

ここでは前駆陣痛と便意について、よくある3つの質問をまとめました。

順番に見ていきましょう。

妊娠中に便秘がつづくのですが市販の浣腸はつかってもいい?
坂田先生
刺激性のある便秘薬や浣腸は子宮の収縮を引き起こす可能性があり、注意が必要です。

医師に相談すれば、妊娠中に使える緩やかな処方薬や整腸剤(酸化マグネシウムなど)を出してもらえることが多いです。

前駆陣痛中に実際に便が出ることはある?
坂田先生
前駆陣痛や陣痛の初期には、腸が刺激されることで便意を感じたり、実際に排便があることがよくあります。
特に朝方の張りや軽い痛みとともに便が出ることは珍しくなく、お産が近づいているサインの一つとして現れる方も多いです。
便意が強いのは出産が近いサイン?
坂田先生
妊娠後期になると、赤ちゃんの頭が骨盤に下がってくることで直腸が圧迫され、便意を感じやすくなることがあります。

また、出産直前には、子宮収縮による腸の刺激やホルモンの変化によって、強い便意を感じる人もいます。

反対に、便意だけでお腹の張りや痛みがなければ、お産までまだ時間があるケースも多いです。

まとめ

陣痛と便意の見分け方は以下のとおりです。

項目 陣痛の特徴 便意の特徴
排便後の感覚 排便しても便意がつづく 排便後はすっきりする
お腹の張り 便意と同時に継続的に発生 通常は同時に起こらない
痛みの間隔 波のように規則的(陣痛は10分以内) 持続的で間隔はない
痛みの強さ 時間とともに強くなる 排便で解消される
発生時間 前駆陣痛は夜間が多い 食事や生活リズムに関連

適切な対処法として、以下を心がけましょう。

・前駆陣痛の場合:温かいお風呂、音楽鑑賞、深呼吸などでリラックスを心がける
・便意の場合:我慢せず自然に排便し、食物繊維と水分補給を行う
・判別困難な場合:症状を記録し、不安があれば医療機関で相談する

また正産期に継続的なお腹の張りと便意が同時に現れた場合は、陣痛の可能性が高いため注意深く観察しましょう。

▼陣痛ってどんな感じ?陣痛がきたときの対処法について詳しい記事はこちら

陣痛とはどんな痛み?特徴や対処法など基礎知識を解説

赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?

赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。

幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。

さい帯・さい帯血保管のポイント!

  1. 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
  2. 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
  3. どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
  4. 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
  5. それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。

実際に保管・利用した方のお声

出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま

さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています

元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。

さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。

その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。

医師からのメッセージ


総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生

応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療

近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。

さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。

保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」

株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。

ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

どうやって保管するの?
ステムセル
研究所
出産時に産科施設で採取されたさい帯・さい帯血は、ステムセル研究所の高レベルのクリーンな環境で専門スタッフが処理・検査を行います。国内最大級の細胞保管施設にて、約-190℃の液体窒素タンク内で長期間大切に保管されます。また、ステムセル研究所は厚生労働省(関東信越厚生局)より「特定細胞加工物製造許可」を取得しており、高品質と安全性を実現しています。
保管したさい帯血は何に使えるの?
ステムセル
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国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

さい帯・さい帯血保管は高いと聞いたのですが…
ステムセル
研究所
さい帯またはさい帯血のどちらか一方を10年間保管する場合、月々2,980円(税込)で保管することができます。出産時にしか採取・保管することができない貴重な細胞なので、お子さまの将来に備えて保管される方が増えています。

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さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。

赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者

助産師 坂田陽子 先生

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー