赤ちゃんの発熱。ようすを見る?受診させる?

記事監修者:坂田陽子
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

待ちに待った赤ちゃんとの生活。授乳やミルク、おむつ替え、お風呂。寝かしつけに苦戦するママやパパも多いと思います。
そんな日々の生活でさえ慣れるまでは大変なのに、赤ちゃんが急に体調を崩すとママもパパもびっくりしますよね。赤ちゃんが泣き止まない、機嫌が悪い、発熱がある等、いつもと違う様子があると、心配で胸が押し潰されそうになることでしょう。
ここでは、体調不良を疑う症状の代表格、「発熱」についてのお話をします。乳児期の発熱について正しく知っておけば、いざという時に慌てず対処できるかもしれません。
【なんだか熱い?発熱を疑ったら…】
乳児期の赤ちゃんは、発熱しやすいと言われています。なぜなら、乳児期の赤ちゃんはまだ脳の体温調節機能が完成しておらず、体温をコントロールするのが難しいからです。大人であれば少し暑い部屋にいたとしても体温は変わりませんが、乳児期の赤ちゃんは少し厚着をしただけで体温が上がることもあります。
「顔が赤いかな?少し熱がある?」と思った時は、まず部屋の温度や着せているものが暑すぎないかを確認してみましょう。顔を真っ赤にして泣く赤ちゃんが、窓をあけて涼しい風を浴びせたり服を一枚脱がせたりしただけで、嘘のように泣きやむことはよくあります。
そして、実際に熱を測ってみて37.5℃以上の場合は、発疹が出ていないか、水分がとれているか等、他の症状が無いかをチェックしてみましょう。そして、ここからの経過はメモしておくことをおすすめします。日時と体温、その他の症状を記録しておくと、受診した際に経過を正しく冷静に伝えることができます。乳児の体温や体調を記録できるアプリを活用するのも良いでしょう。
【病院へ行った方が良いか迷ったら】
赤ちゃんに熱があるととても心配になるものですが、発熱は必ずしも危険なものというわけではありません。熱があっても機嫌よく過ごしている場合などは、家で様子をみていても良いでしょう。それでも心配な時のために、発熱した際の受診目安をご紹介します。
《生後3か月以上の乳児》
・39℃未満で、機嫌は良い…家でとりあえず様子をみても良い
・39℃以上だが水分はとれている…診療時間内に受診を
・発熱から1日以上経過している…診療時間内に受診を
・食欲がない、機嫌が悪いなど、いつもと違う様子がある…診療時間内に受診を
・発疹がある…事前に病院へ連絡を入れたうえで診療時間内に受診を
《生後3か月未満の乳児》
38℃以上の発熱がある場合…診療時間外でも至急受診を
【時間外受診に迷ったら、一度相談を!】
月齢に関わらず、ひきつけを起こしている場合や意識がない場合、激しいおう吐や下痢を伴っている場合などは、救急車を呼んで良いでしょう。その際は、経過をメモしたもののほか、保険証や母子手帳、お薬手帳を忘れずに準備しましょう。
それ以外で、発熱に加えて次の状況・症状がある場合には、夜間や休日などの診療時間外でも受診することをおすすめします。
《診療時間外でも受診する目安》
・生後3か月未満の乳児
・ぐったりしている
・無表情、活気がない
・一日中ウトウトしている
夜間や休日でも受診した方が良いのか判断に迷った場合には、小児救急電話相談に電話相談してみることをおすすめします。
《小児救急電話相談 #8000》
これは全国同一の短縮番号になりますが、夜間や休日の診療時間外にそれぞれの地域の窓口につながり、小児科医師や看護師に相談することができます。どういった処置が必要か、時間外でも受診した方が良い症状か、どこの病院へ受診したら良いか等のアドバイスを受けることが可能です。発熱に限らずさまざまな症状が起きやすい乳児期には、この《小児救急電話相談 #8000》を覚えておくと良いでしょう。スマートフォンからもつながります。
現在、全国的に時間外の小児診療数はとても多い状況にあります。しかし内訳をみると、小児救急医療受診者のうち9割以上が軽症者です。本当に医師の手助けが必要な患者さんのためにも、医療がひっ迫してしまうことは避けなければいけません。しかし、言葉も通じず症状から推測するしか手掛かりのない乳児期においては「もし、うちの子がその1割の重症者だったら…」と心配になるママやパパの気持ちも理解できます。その状況で出来るだけ落ち着いて的確に判断するためにも、受診の目安を参考にする、電話相談をするといった方法を活用できると良いですね。
【まとめ】
乳児期にはさまざまな要因で起こりやすい発熱ですが、ママもパパもびっくりして不安になることでしょう。まずは発熱を疑ったら、どういう経過をたどったのかを落ち着いて説明できるように、メモしておくことが大切。そして受診目安を確認し、診療時間外に迷った場合は《小児救急電話相談#8000》も活用しましょう。
発熱自体は赤ちゃんの体力を奪う症状ですが、決して危険なものとは限りません。水分をとって体を冷やしてあげながら、落ち着いて対応できると良いですね。
参考文献:新訂版 赤ちゃんの病気全百科(学研ヒットムック)
参考HP:日本小児科学会「こどもの救急」kodomo-qq.jp
参考HP:厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)について」https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/10/tp1010-3.html
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー