胎教のすすめ

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

何のために胎教をするの?

「胎教」と聞いて、頭のよい子を育てるために、ママのおなかの中にいる時期から胎児に英才教育することを思い浮かべる方もいるかもしれません。

しかし、胎教とは胎児を早期教育することではありません。
おなかの中にいる時からすでに一人の人間として認め、豊かな人間性を育てるためのベースをつくることなのです。
かつては胎教ということについて根拠がないと軽んじられていたこともありましたが、医学の進歩によって胎児の様子がくわしく研究され、現代では科学的にも胎教の大切さが明らかになりました。

胎児は、すでに精神的に高度な意識や優れた記憶力があるといわれています。自然なお産の場合、生まれてもいい時期になると、子宮口を柔らかくするプロゲステロンというホルモンを放出し、出産を自らコントロールします。赤ちゃんが出産日を決めるなんてすごいですね。また、妊娠中に聴いていた音に反応するということも報告されており、記憶力もすぐれていることがわかります。

新米ママやパパの中には「生まれてきた赤ちゃんにどう接したらいいのか分からない」という方もいますが、生まれる前から胎教をすることで赤ちゃんへの声がけのスキルが上がり、生まれてからもスムーズに育児ができるのです。

ぜひ、積極的に胎教に取り組んでみてください。

どんなことをするといいの?

胎教はママと赤ちゃんのコミュニケーション、そして何よりもママがリラックスできることが大切です。
いくつかの方法を紹介します。

《赤ちゃんに語りかける》

すでに名前が決まっているならば、名前で赤ちゃんを呼んであげましょう。もしくは、妊娠中限定のニックネームを赤ちゃんにつけて呼ぶのもいいでしょう。

一緒にくらしている大人と同じように、「おはよう」「おやすみ」などの挨拶をしたり、「きれいだね」「おいしいね」などのママが感じたことを言葉にしたりしてみましょう。
ネガティブな言葉ではなく、前向きな気持ちになれるような言葉をかけてあげるのがおすすめです。

《絵本の読み聞かせ》

音のリズムが楽しい絵本・読んでいてやさしい気持ちになれる絵本・ママが子供のころに好きだった絵本など、ママが気に入ったものであればなんでもOKです。特に「赤ちゃんに話しかけるのが恥ずかしい」という方にはおすすめです。
話しかける練習になりますし、赤ちゃんと一緒にゆったりとした気分を共有することで絆を深めることができます。

《音楽を聴く》

ジャンルは問いません。ママが好きな音楽を赤ちゃんと一緒に聴いてみましょう。
ママが心地いいと感じた時に分泌するホルモンが胎盤を通して赤ちゃんにも伝わっていきます。

《おなかをさする》

赤ちゃんに優しくふれる気持ちでおなかをさすってみましょう。
赤ちゃんの胎動を感じるようになったら、時には軽くポンポンとたたいてママからの合図も送ってみましょう。赤ちゃんが胎動で返してくれるかもしれません。赤ちゃんの反応には個人差があり、すぐに返す子、ゆっくり返す子、静かに様子をうかがう子…とさまざまです。

《軽い運動》

安定期は無理のない範囲で、散歩をしてみるのもよいでしょう。木々の緑や季節の花、空の様子や風の音にも耳をすましてみてください。妊娠中はいつも以上に感受性が豊かになり五感がとぎすまされます。ママが感じた気持ちを赤ちゃんにも言葉で伝えてあげましょう。
体を動かすのが好きなママは、軽いストレッチやヨガなどをしてみるのもいいですね。
いずれにしてもママが「気持ちいい」と感じることがよい胎教になります。

いつから始めたらいいの?

妊娠初期はまだおなかも大きくなっていないため、赤ちゃんの存在を感じにくい部分もあるかもしれません。食事や睡眠に気を配ったりしつつ、おなかをなでたりして徐々に赤ちゃんへの働きかけをしてみましょう。

妊娠5か月以降の赤ちゃんは聴覚が発達し、おなかの外の音も聞こえていると言われています。そのころから胎教を始める方が多いようですが、妊娠中のママの心身の状態は個人差が大きいもの。無理のないように、始めてみようかな!と思った時から少しずつトライしてみてください。

胎教のすすめ

胎教の究極の目的は、赤ちゃんに「あなたはかけがえのない存在」とメッセージを伝えることなのです。
最初に出会うママが、社会へと続く窓口です。「自分は親から愛されている」という自己肯定感を持つことができれば、困難なことがあってもくじけない強さと、他者を思いやる優しい心を持つ子供に育っていくのではないでしょうか。
胎教はむずかしいことではありません。むしろ、愛情のコミュニケーションをする上でのあたりまえのことなのです。胎教を通じて、親子の絆を大切に育てていきましょう。

注意したいのは、赤ちゃんへの胎教を一生懸命に取り組むあまり、睡眠時間が不規則になってしまうこと、ママがリラックスする時間を失ってしまうようでは逆効果です。
無理のない範囲で、赤ちゃんへの深い愛情を語りかけたり、ママの感じたことを伝えたりしてください。よい胎教をすることで、きっと心身ともに健全な赤ちゃんが生まれることでしょう。

妊娠中から赤ちゃんがすこやかに育つように絶えず愛情を注ぎ、絆を育んでいくことをぜひ楽しんでみてください。

出展
https://woman.mynavi.jp/kosodate/articles/1807

https://junyu-fuku.com/blog/trouble-of-pregnancy/stress-during-pregnancy-effect-on-fetus/

https://www.lion-dent-health.or.jp/mama-anone/pregnancy/article/preg-taikyo1-05.htm

https://event.dai-ichi-life.co.jp/promotion/kodomo/001/index.html?utm_source=other&utm_medium=display&utm_campaign=PCDN4_OUT_gakushi-taikyo&utm_content=_gakushi000020&display_ad_id=2c17483a06d876faa224eb2cec3eb9d3

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「やさしく知る産前・産後ケア」松峯寿美
「誕生を記憶する子どもたち」デーヴィット チェンバレン
「新しい胎教」七田眞
「井深大の胎児は天才だ」幼児開発協会編
「胎児は見ている」トマス バーニー

 

 

 

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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