胎動とは?妊婦さんが知っておきたい基礎知識や胎児の健康状態の確認方法も解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「胎動っていつから感じるの?」
「胎動にはどんな種類があるの?」
「胎動で赤ちゃんの健康状態を確認する方法はある?」
上記のように考えているのではないでしょうか。
胎動は胎児の成長と健康を実感できる貴重な指標ですが、初めての妊娠ではわからないことが多く、不安に感じることも多いですよね。
胎動には時期による特徴があり、適切な観察方法を知ることで胎児の健康状態を把握できます。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・胎動の基礎知識と感じ始める時期
・妊娠時期別の胎動の変化と種類
・胎動カウント法による健康チェック方法
この記事を読むと、胎動について正しく理解でき、安心して妊娠生活を送れるようになりますよ。
胎動とは?知っておきたい基礎知識
胎動とは、母体がお腹にいる胎児の動きを感じられることをさし、健康状態を知るための大切な目安にもなる行動です。
胎動を感じ始めるタイミングには個人差がありますが、一般的に早い人では「妊娠5か月頃」から感じるようになります(※1)。
実際胎児は、妊娠の早い時期から動いていたのですが、成長とともに力強くなった手足の動きが、母体にも伝わるようになったものです。
また、夜になると胎動が活発になったように感じるため、 夜中に胎動が激しくて眠れないという人もいます。
これは、日中はお母さんも体を動かしているから胎動が分かりにくく、夜はお母さんが横になったり、リラックスして過ごしているため胎動を感じやすくなっているからです。
このように胎動は、胎児の成長と健康を実感できる貴重な指標なのです。
(※1)出典:高知県子ども・福祉政策部 子育て支援課 母子保健・子育て支援室|こうちプレマnet「ママと赤ちゃんの10ヶ月」
【妊娠初期・中期・後期】胎動の感じ方の違い
妊娠時期別の、胎児の成長・動きと、それに伴う胎動の感じ方について解説します。
妊娠初期の胎動
妊娠初期の胎児は、まだ小さくて力も弱く子宮も小さいため、母体が胎動を感じることはほとんどありません。
多くの人がはっきりと胎動を感じ始めるのは、妊娠中期に入ってからです。
敏感な人であれば、
・腸の中で空気が動くような感覚
・腸の動きと似た軽い振動
・腸がグルグルする感覚
を感じる場合があります。
妊娠中期の胎動
妊娠中期に入ると、胎児の骨格や筋肉が発達して活発に動くようになるため、胎動を感じやすくなるでしょう。
羊水の中で上下左右にグルグルと自由に回転したり、体をさかさまにするほどしっかりした動きを見せるようになります。
また胎児のしゃっくりも胎動として感じられる場合も。
さらに妊娠が進むと、お腹に手を当てることで、母親以外の人にも胎動がわかるようになってきます。
妊娠後期の胎動
妊娠後期になり胎児が大きくなると、子宮の中が狭くなり大きな動きは少なくなります。
しかし手足の力が強くなるため、おなかを突き破られそうと感じたり、膀胱や肋骨を蹴られて痛みを感じる場合も。
臨月に近づくにつれて胎動が減ったように感じる場合もありますが、胎児が健康に育っている証拠でもあるため、心配しすぎないようにしましょう。
胎動の種類でわかる!胎児の動き
胎動の感じ方には
・お腹がモニョモニョする
・お腹をムニューっと押される
・肋骨や膀胱が痛いほどの強い衝撃
・定期的な痙攣のような動き
など、さまざまな種類があり、そこから胎児の動きが推測できます。
モニョモニョする・ムニューっと押される胎動→手足の曲げ伸ばし
お腹がモニョモニョしたり、内側からムニューっと押される感じがするときは、胎児が手足の曲げ伸ばしをしていると考えられます。
妊娠後期になると、胎児は大きく成長して子宮の中でなかなか大きく動くことができないため、手足を大きく曲げ伸ばしすることが多くなります。
痛い・激しい胎動→キックやパンチ
強く胎動を感じるときは胎児がキックやパンチを繰り出しています。
肋骨を蹴られて痛かったり、時にはおなかに足の形がわかるくらい飛び出たりすることも。
軽くおなかを叩くとその場所をキックしてくる、という遊びもできることがあるのでコミュニケーションをとってみてくださいね。
痙攣のような胎動→しゃっくり
あまり激しい動きではありませんが、ピクッピクッと何度も痙攣のように胎動を感じることがあります。
慣れないうちは何か異常があるのではと心配になりますが、じつはこの痙攣のような連続した動きは胎児のしゃっくりなのです。
産まれた後の赤ちゃんも同じようによくしゃっくりをするので「おなかの中でしていたのはこれね」とわかるでしょう。
ブルブルする胎動→おしっこ
ブルブルと小刻みに震えるような胎動は、胎児がおしっこをしているときに感じられる動きと考えられます。
妊娠中期頃から胎児は羊水を飲み込むようになり、そのあと排泄する際にブルブルとした胎動として感じられる場合があるのです。
この動きは痙攣のように見えることがあるため、初めて経験する人は心配になるかもしれません。
しかし、これは胎児の成長過程で見られる自然な動きであり、基本的に心配は不要です。
胎動で胎児が元気に育っているか確認する方法|胎動カウント
胎動で胎児が元気に育っているか確認する方法として「胎動カウント」と呼ばれる方法があります。
一般的には「10カウント法」という方法が使われており、胎児が10回動くまでにかかる時間を測定する方法です(※2)。
まず、リラックスできる環境を整えましょう。
横になって楽な姿勢を取り、静かな場所で胎動に集中します。
テレビを消して、穏やかな音楽をかけながら行うのも効果的でしょう。
カウント方法としては、胎動を感じたらそれを1回目として数え始めます。
「ぽこ」と連続して動いた場合は1回とカウントし、「ぽこぽこ」と感じた場合は2回として数えてください。
はっきりとわかる胎動のみを対象とし、赤ちゃんのしゃっくりや弱い動きは含めません。
正常な赤ちゃんであれば、10回の胎動を感じるまでに10~20分程度かかります(※3)。
10カウント法を行うなかで、
・まったく胎動を感じられない
・1時間以上胎動を感じられない
・いつもと異なる動きがつづく
・計測に 60 分以上かかる
といった場合は、すぐに医療機関に連絡しましょう。
(※2)出典:獨協医科大学病院「産科外来の案内」
(※3)出典:国家公務員共済組合連合会 佐世保共済病院「診療について」
胎動に関するQ&A
ここでは胎動について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。

妊娠後期になると、赤ちゃんの力も強くなり、膀胱や肋骨のあたりを蹴られて“ズキッ”としたり、胃をグリグリされるような感覚になることがあります。
赤ちゃんが元気に動いている証拠ではありますが、無理に我慢せず、痛みがつらいときは横になる・体勢を変えるなどで和らげましょう。
「動きが激しい=性格が活発」と言われることもありますが、医学的には関連性は証明されていません。
個性としてやさしく見守ってあげてくださいね。

・下腹部や膀胱のあたりでポコポコと胎動を感じる
・胃のあたりでの「しゃっくり」を感じやすい(=赤ちゃんの頭が上にあるため)
といった違いがみられることがあります。
逆子は自然に戻るケースも多いですが、36週を過ぎても戻らない場合は、帝王切開を選択することもあるため、経過をしっかりみていきましょう。

胎動は、赤ちゃんが寝ていたり、ママが忙しく動いているときは気づきにくくなることがあります。
ただし、次のような場合はすぐに産院に相談してください。
・横になって安静にしていても1時間以上胎動を全く感じない
・これまで活発だったのに、急に静かになった
・胎動カウント(1時間に10回未満など)で明らかに減っている
胎動は「赤ちゃんの元気のバロメーター」。
“なんとなく心配”でも、受診して大丈夫です。
おわりに
妊娠中はマイナートラブルも多く大変なお母さんにとって、毎日感じることのできる胎動は赤ちゃんとの大切なふれあいのプレゼントです。
出産が終わっておなかの中で動く赤ちゃんを感じられなくなると、少し寂しく思うかもしれません。
忙しい日々の中でも、のんびりできる時間をとって赤ちゃんとのコミュニケーションを楽しんでください。
▼臨月や陣痛前になると胎動が減るって本当?注意すべき胎動の変化について詳しい記事はこちら
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー