第一子出産時の陣痛の間隔が短くなるまでのお話

坂田陽子

記事監修者:坂田陽子

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

私が第一子を出産する時、陣痛の間隔が短くなるまで丸1日かかりました。
出産を体験する前は、「鼻からスイカ」とか「男性なら耐えられない痛み」などと聞いていた痛みの程度について、いまいち想像が出来ずにいましたし、どんな感覚の痛みがどれくらいの間隔でくるのかもピンときませんでした。本や育児ブログなどを読んでも、人によって全然感想が異なるし、予定よりもひと月ほど早く生まれてきたので、前駆陣痛も体験していなかったため、イメージできない痛みとの遭遇がとても怖かったのをよく覚えています。

出産に必要なのは“リラックス”

私の場合は、朝、目が覚めて体を起こそうとしたら突然破水してしまい、陣痛を感じる前に病院へ入ることになりました。お医者さんから、「もし破水したまま陣痛がこなかったら、促進剤やバルーンを使うかもしれない」と言われました。その時点ではまだ認識できていなかったのですが、定間隔で陣痛が始まっていると看護師さんから教えていただき、少しほっとしました。お昼頃には腰までの鈍痛が少しずつ増えてきて、午後3時ごろには6~7分おきにお腹がはる間隔が強くなりました。夕方には生理痛のような、便意のような痛みの陣痛があり、この頃からテニスボールを使って、痛みに耐えつつ、いきみ逃していきました。

出産前の後期マタニティクラスで助産師さんから「陣痛の間隔が短くなって子宮口が開いてくるまでいきんじゃダメ。赤ちゃんがまだ出てこれない時にいきむと、赤ちゃんも痛くて苦しいよ」と教えてもらったので、できるだけ深く息を吸って、吐きながら体の力を抜くように意識しました。日付が変わって、陣痛の間隔が2~3分おきになってもまだ子宮口は1cmほどしか開いておらず、座っている方が痛みを逃すのに楽だったのですが、横になって少しでも休むようにと指導されました。この頃には痛みがくるたびに唸ってしまうくらいには痛みを感じるようになっていて、個人的には結構辛かったのですが、「まだ喋る余裕あるから大丈夫。まだまだだよ~」と助産師さんに言われてしまいました。

横になるとまた6~7分おきに戻り、痛みの合間に目を閉じて休みました。マタニティクラスでもお話があったのですが、この陣痛の間隔がまだそこまで短くなっていないうちは、できるだけリラックスできる状態を作って、少しでも食べられるものを食べたり、眠ったりして、少しでも体力を回復させることがとても重要だそうです。私自身もこの時間がなかったら、いざ出産のタイミングで体力が切れてしまっていたかもしれないと、出産後に思いました。休むといっても、6~7分おきの間隔で痛みがくるので、休むことに集中するのに必死でしたが…。

いよいよ本番!産みの苦しみと感動

朝の5時ごろにようやく2~3分の間隔で陣痛が来るようになり、叫ぶように声を上げてしまうほどになっていました。8時半ごろ、ようやく赤ちゃんが骨盤の方に降りてきてくれているということで、動けるうちに分娩台へと移動しました。この時、陣痛の間隔は1~2分おきになっていたのですが、それでも子宮口はなんと3~4cmしか開いていないと聞いて、意識が遠くなりました。

痛みは凄まじいし、いきんではいけないので、逃すのが本当に大変でした。妊娠前は痛みには強い方の人間だと思っていたので、こんなに叫び散らかすとは自分でも想像できないほどでした。

10時ごろになり、突然赤ちゃんの頭がスポッとハマるような感覚があり、助産師さんを急いで呼んで診てもらうと、一気子宮口が全開になっていました。「お産の準備をするから、あと少しだけいきむの我慢してね」と言われ、テニスボールで手伝ってくれる夫の顔すら見れないほど、汗だくになりながら猛烈な痛みを15分ほど耐えました。できるだけ深く息を吸って、赤ちゃんに酸素を送るようイメージしながら、呼吸に集中していると、赤ちゃんがたくさんお腹の中で蹴ったりパンチをしたりしながら、一緒に頑張ってくれたのをよく覚えています。

「いきんでいいよ−!」と言ってもらった時、「もういきみ逃ししなくていいんだ」と、すごく嬉しかったです。4~5回の陣痛で、息を吸って、止めて、いきんで吐くというやり方を助産師さんから教えてもらい、10時半ごろ、生まれてきました。赤ちゃんが、一緒にお腹の中から出てこようとしてくれている感覚があったのが忘れられません。赤ちゃんの姿が見えた瞬間、すぐに泣いてくれて、命ある状態で生まれてきてくれたことへの安堵と喜びで、思わず涙が出ました。

出産は人それぞれ

私の場合は、陣痛自体の痛みも辛かったですが、激しい便意のような感覚の中、ついいきんでしまいそうになるのを長時間耐え続けるのがとても大変でした。陣痛の間隔が1~2分おきになるまでまる一日かかりましたが、子宮口が全開になってからは早かったです。

「結構時間がかかった方かな」と思いましたが、「正常範囲と考えられる分娩時間」の目安は初産婦で30時間、経産婦で15時間とされているそうです。初産婦では約15~16時間、経産婦では約6~8時間が目安と考えられていますが、一応、正常範囲の時間だったようです。

 

出産のかたちは人それぞれです。出産にかかる時間が早い人も遅い人もいるし、陣痛の痛みへの捉え方も人それぞれです。これからご出産を迎えられるみなさんは、出産にとても不安があると思います。命がけですし、激しい痛みが伴うかも知れません。でもきっと大切な命が一緒に頑張ってくれます。立ち合いもなくお母さんだけでご出産される方も多いかと思いますが、赤ちゃんも一緒です。ひとりきりではありません。どうかお体お大事に、素敵なご出産をお迎えください。

この記事の監修者

坂田陽子

経歴

葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。

日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業

資格

助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

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