立ち会い出産で良かったこと・後悔したこと |夫に伝えるべき注意点とは?
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「立ち会い出産をするか迷っている…」
「立ち会い出産のメリットやデメリットを知りたい」
「後悔しないためにはどんな準備が必要なの?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
実際に、日本トレンドリサーチが行った調査によると、出産経験者のうち約32%の人が立ち会い出産を経験していると報告されています(※1)。
立ち会い出産は夫婦にとって貴重な体験となる一方で、十分な準備なしに臨むと期待と現実のギャップから後悔につながる場合もあります。
しかし事前にメリット・デメリットを把握し、適切な準備をすれば、より良い出産体験にできるでしょう。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・立ち会い出産を選択する3つのメリット
・立ち会い出産の2つのデメリット
・立ち会い出産で後悔しないためのポイント
この記事を読むと、立ち会い出産について正しい知識を身につけられ、夫婦で納得のいく判断ができるようになりますよ。
(※1)出典:PRTIMES|日本トレンドリサーチ「日本トレンドリサーチ・立会い出産に関する調査」
立ち会い出産の流れ

一般的な立ち会い出産の、おおまかな流れは以下の通りです。
1.陣痛開始~産院へ
2.立ち会う人の健康状態を確認(風邪症状がないかなど)
3.陣痛室で、分娩が進むのを待つ
4.子宮口が全開になり、分娩予想時間が近づいたら分娩室へ移動
5.分娩
6.赤ちゃんのへその緒切除
7.母親の胎盤排出・会陰切開の縫合などの処置
立ち会い出産の注意点
立ち会い出産をするにあたり、いくつか注意点があります。
まず立ち会う人に、
・数日以内の発熱
・風邪症状
などがあると、立ち会えない可能性があります。
また産院によって条件は異なりますが、立ち会い出産時は、マスク着用を求められる場合も。
立ち会い出産時の写真や動画撮影は、病院ごとに可能・不可能があります。
撮影OKでも、病院スタッフが写りこまないようにするなど、産院によって配慮が必要な場合もあります。
そして、
・分娩時の会陰切開
・吸引分娩
・緊急帝王切開
などの処置が必要になった場合は、立ち会う人の一時退出が求められたり、立ち会い出産自体が中止になったりする場合も。
いずれも産院によって条件やルールが異なるので、あらかじめ出産する産院に立ち会い出産の注意事項を確認しておくとよいでしょう。
立ち会い出産を選択する3つのメリット

立ち会い出産を選択するメリットとして、おもに以下の3つがあげられます。
・夫の精神的サポートが得られる
・夫婦の絆を深められる
・緊急時の対応ができる
順番に見ていきましょう。
メリット1:夫の精神的サポートが得られる
出産は想像以上に大変な体験であり、長時間つづく陣痛や分娩への不安を一人で乗り越えるのは心細いもの。
立ち会い出産では、夫が側にいることで心理的なサポートが得られ、手を握ってくれるだけでも安心感が得られるものです。
実際に分娩時の不安を和らげることによって、
・スムーズな分娩
・陣痛促進剤を使用する確率が低減
・母子ともに健康な出産を迎えられる
といった効果が得られると報告されています(※2)。
また陣痛中や分娩中は手をつないでもらうと、精神的に心強いだけでなく力を逃がすこともでき、マッサージや汗を拭き取ってもらうなどのサポートも受けられます。
信頼できるパートナーがそばにいることで、リラックスして出産に向かい合えるようになるのです。
(※2)出典:高知県「5.出産・子育てへのメッセージ」
メリット2:夫婦の絆を深められる
立ち会い出産では、夫が妻をサポートすることで夫婦の絆が強まり、その後の育児も助け合っていけるといったメリットもあります。
夫の立場から見ると、自身がお腹を痛めていないため、見聞きしなければ出産の苦労をわかってあげられません。
しかし想像を超える命懸けの出産を実際に近くで見ることで、今後の父親としての自覚や子育てへの参加に意欲的になるでしょう。
実際に徳島大学が行った研究では、
・わが子を迎える喜びと感動が湧いた
・父親としての意識が芽生えた
・母親となる妻へ称賛の念を抱く
という報告も(※3)。
苦労を伴う出産に夫婦で向き合うことで、より絆を深められるでしょう。
メリット3:緊急時の対応ができる
出産では、
・緊急で帝王切開になる
・赤ちゃんが出産直後に泣かない
・妊婦が危険な状態になる
といった状況になる場合もあります。
立ち会い出産をしていない場合、急な出産方法の変更などに夫の理解が追いつかなくなって対応が遅れてしまう場合があるのです。
しかし出産途中に問題が起こり、帝王切開をすることになった際など、夫が同じ空間にいると緊急性が伝わりやすく、医師から同意書などの記載を求められた際に納得して対応できるでしょう。
【経験談】立ち会い出産をしてよかったこと
立ち会い出産は体験した妊婦さんによって印象はさまざまですが、次のような感想があげられました。(※3)
・一緒になって、呼吸法をしていた
・背中をさすってくれた
・ずっと声をかけたり、手を握ってくれたりして、できる限り一緒に頑張っていた
・想像していたよりかなりしっかりしていて気遣いもよくしてくれ、私の実母が感心するほどだった
・おろおろどうしていいかわからなそうだっだが、それなりにはげましてくれた
・男は生理などの出血の経験もないので、子供が生まれた瞬間は強烈に目に焼き付いたようだ
(※3)出典:PRTIMES|日本トレンドリサーチ「日本トレンドリサーチ・立会い出産に関する調査」
立ち会い出産の2つのデメリット

立ち会い出産には、以下のようなデメリットも存在します。
・夫への精神的な悪影響
・理想と現実のギャップによる後悔
順番に見ていきましょう。
デメリット1:夫への精神的な悪影響
立ち会い出産は夫にとって、不安やうつ、トラウマといった精神的に悪い影響を与える可能性があります。
男性は出産に対して「生々しい」「怖い」といった負のイメージをもっている場合が多く、実際の出産場面を目の当たりにすることで、予想以上の精神的な衝撃を受けることがあるのです。
実際に立ち会い出産では、パートナーが「妻のそばにいてもなにもできなかった」と感じるケースが約4割にも上るともいわれています(※4)。
そのため産後の夫婦関係に影響を及ぼすケースも報告されており、事前の準備や覚悟が必要になります。
デメリット2:理想と現実のギャップによる後悔
立ち会い出産におけるデメリットとして、妻側の理想と違った場合に後悔が残る点もあげられます。
妻が期待していたようなサポートを夫から受けられなかった場合、その失望感は出産後もつづいてしまうケースも。
「夫から期待していたサポートがされなかった」という感情が、その後の夫婦関係に悪影響を与えるケースも少なくありません。
【経験談】立ち会い出産をして後悔したこと
デメリット面の感想として、実際に以下のような声があげられます。(※5)
・出産に時間がかかり、私よりもしんどそうにされた。しんどいのはこっち!!!と言いたくなった!
・ただ横で突っ立っていただけで何の役にも立っていなかった。あとで感想を聞いたが、それさえもなかったので意味がなかったなと思った
・一つ一つ指示をしないと、何もサポートしてくれなかった
・出産の時に痛すぎて私が叫んでいたことを、恥ずかしかったと家族に話していた
・人が苦しんでいるのに寝てしまった
(※5)出典:PRTIMES|日本トレンドリサーチ「日本トレンドリサーチ・立会い出産に関する調査」
立ち会い出産で後悔しないためのポイント

上記の体験談を踏まえ、立ち会い出産で後悔しないためにも、以下のようなポイントを押さえておきましょう。
ポイント1:夫に立ち会い出産時のサポート方法を勉強してもらう
夫に陣痛中のサポートの仕方を事前に勉強してもらうとよいでしょう。
腰や背中などさする場所や強さ、テニスボール・バランスボール、ストロー付カップなどの必要な道具など、知っているのと知らないのでは対処のしかたが全く異なります。
立ち会い出産を希望する人は、入院時に持っていくものリストに立ち会い時に必要な道具も加えておきましょう。
夫に、それをどこに入れておくか伝えておくことも大切です。
また、いきみ逃がしの呼吸を夫婦で勉強しておくと、立ち会い出産時のサポートにおおいに役立ちます。
陣痛バッグや入院バッグの中身については、こちらの記事で詳しく確認できます。
ポイント2:夫に立ち会い出産時に注意すべきことを勉強してもらう
夫に、立ち会い出産時に注意すべきことを勉強してもらいましょう。
長時間の付き添いが必要になるかもしれないこと、会陰切開などの医療措置、血液、羊水などを目にしたり、臭いがしたりすることなど、事前に情報を入れておくことが大切です。
とくに上の子どもを同席させるときは、トラウマにならないように、十分な事前説明が必要となります。
祖父母に預けるなど、無理に立ち会わせない配慮も必要です。
上の子どもを祖父母に預ける場合には、夜中に陣痛が起きた場合も想定し、段取りを考えておくことも大切です。
立ち会い出産に関するQ&A
ここでは立ち会い出産について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
手を握ったり、背中をさすったり、声をかけたりするだけでも大きな支えになります。
また、陣痛の合間に水分を渡したり、呼吸を整えるのを一緒にしてくれたりすることも役立ちます。
特別なことをしなくても「一緒に頑張っている」という気持ちが伝わるだけで心強いですよ。
例えば「両親学級への参加が必要」「当日の感染対策のルール」などがあることもあります。
また、当日は慌てやすいので、母子手帳や入院グッズの場所を夫婦で共有しておくと安心です。
出産の流れや呼吸法を一緒に学んでおくと、サポートしやすくなります。
ただし、病院によって「立ち会える人数」「対象者」が決まっているので、必ず確認が必要です。
実母や義母がそばにいることで安心できる妊婦さんも多いですし、逆に気をつかってしまう方もいます。
自分が一番リラックスできる相手を選ぶことが大切です。
まとめ
立ち会い出産は夫が妻の出産に付き添い、精神的にサポートする出産方法で、夫婦の絆を深める機会だといえるでしょう。
立ち会い出産は母親の心理的安定がおもな目的で、3割強の夫婦が選択しています。
立ち会い出産には、以下のようなメリット・デメリットがあります。
| 項目 | メリット | デメリット |
| 母親への影響 | 精神的サポートによる安心感 | 期待と異なる場合の失望感 |
| 夫への影響 | 父親としての自覚の芽生え | 精神的ショックやトラウマ |
| 夫婦関係 | 絆の深まりと感動の共有 | 理想と現実のギャップによる関係悪化 |
後悔しないためには、夫への事前教育が有効です。
・陣痛中のサポート方法(腰のマッサージ、いきみ逃がしの呼吸法)
・必要な道具の準備
・医療措置への心構え
などを夫婦で学習しましょう。
また産院ごとに立ち会いルールが異なるため、事前確認も重要です。
適切な準備により、立ち会い出産を夫婦にとって意義深い体験にできるでしょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
