切迫早産で入院する基準とは?検査内容や必要な持ち物を解説
記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「切迫早産で入院することになったけど、どんな検査をするの?」
「入院するときにはなにを準備すればいいの?」
「切迫早産の入院費用はどのくらいかかる?」
上記のように悩んでいるのではないでしょうか。
突然の入院宣告で不安になりますが、事前に知識をもっておくことで冷静に対処できるようになります。
そこでこの記事では、おもに以下の内容を解説していきます。
・切迫早産で入院する基準
・入院時に行われる検査内容
・入院に必要な持ち物と費用の目安
この記事を読むと、切迫早産での入院に対する不安を軽減し、適切な準備ができるようになりますよ。
切迫早産とは

切迫早産とは、妊娠22週〜37週未満の時期に、胎児が早く生まれてしまう危険性が高まっている状態のことです(※1)。
つまり、まだ胎児がお腹のなかで育つべき時期なのに、早産になりかかっている状況をさしています。
おもな症状としては、以下のようなものがあげられます。
・お腹が規則的に張ったり痛む
・少量の出血
・水っぽいおりもの
・破水 など
上記のような症状と同時に、子宮口が少し開いてきたり、子宮頸管と呼ばれる部分に変化が見られることも特徴です。
切迫早産は「早産の一歩手前」であり、かならずしもすぐに胎児が生まれるわけではありません。
しかし、適切な治療や管理を行わなければ早産となってしまう可能性があるため、医師による観察と治療が必要になります。
早期発見と適切な対応をすれば、妊娠を継続して胎児の健康を守れるでしょう。
(※1)出典:厚生労働省委託事業|働く女性の心とからだの応援サイト「切迫早産(妊娠22週以降)」
切迫早産で入院する基準

切迫早産での入院の判断は、子宮収縮の頻度や強さ、子宮頸管の状態で決まります。
・子宮口が開いていない
・子宮収縮が弱い、不規則
である場合は、自宅で様子を見て、通院による経過観察や治療が行われます。
しかし子宮収縮が強く、子宮口の開大が進んでいる場合は入院が必要です。
具体的には、
・お腹の張りが1時間に3~4回以上(※2)
・子宮頸管長が20mm以下(※3)
・子宮の出口が2cm以上開く(※4)
などの症状が見られた場合に入院をすすめられるケースがあります。
(※2)出典:社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 大阪府済生会中津病「切迫早産ってなあに??」
(※3)出典:日本赤十字社 松山赤十字病院「切迫早産」
(※4)出典:公益社団法人 日本産科婦人科学会「早産・切迫早産」
切迫早産で入院したときの検査内容

切迫早産と診断され、入院した際は次のような検査をします。
超音波エコー検査
子宮口の開きや子宮頚管の長さ、胎児の状態を確認します。
お腹の上から観察する(経腹超音波検査)と、膣の中に細長い超音波機械を入れ観察する(経膣超音波検査)があります。
通常の妊婦健診で行われる検査と同様です。
NST(ノンストレステスト)
ベッドで安静にしている状態でお腹にPCのマウスほどの機械を2個付け、お腹の張り具合と胎児の心拍数を観察、確認します(※5)。
20〜40分安静にしている状態で行われ、痛みはありません(※5)。
▼NSTについて詳しい記事はこちら
(※5)出典:川崎市立多摩病院「妊婦健診」2020年3月改定
血液検査
感染症や他の病気の原因判断のため行われます。
・膣分泌物培養検査
・早産マーカー検査
・破水の検査(破水の可能性のある場合)
膣内からおりものを採取して培養し、感染症・早産リスク・破水の有無を検査します。
尿検査
感染症や他の病気の原因判断のために行われます。
血圧、脈拍、体温の検査
切迫早産で入院した際は、
・血圧
・脈拍
・体温測定
も、基本的な検査として実施されます。
切迫早産で入院する際の持ち物
突然入院になると、何を用意して持ってきてもらったらいいのか戸惑いますよね。
切迫早産は誰にでも起こりうる症状であるため、安定期に入ったら家族ともしものときに必要になるもの、持ってきて欲しいものを確認しておくとよいでしょう。
入院する医療機関にによって異なりますが、入院時に「必要なもの」「あると便利なもの」を一覧にしているため、確認して見てくださいね。
必要になるもの
・パジャマ(前開き)
・下着
・洗面用具
・お風呂用具
・タオル
・ティッシュボックス
・ゴミ袋
・ペン
・現金
・サンダルやスリッパ
・箸
・スプーン
・ストロー
・コンタクトや眼鏡
・洗濯物を入れる袋
・充電器
・生理用品
・マスク
・ヘア用品
あると便利なもの
・上着
・手鏡
・ハンガー
・耳栓
・音の出ない置き時計
・ポケットWi-Fi
・本
・ケトル
・イヤホン
・ノート
▼出産が近付いた時にも役立つ!陣痛バッグや入院バッグの中身について詳しい記事はこちら
入院費用

切迫早産で入院した際の費用については、医療機関によって異なり、明確な金額は提示されていません。
健康保険加入者であれば、手術代や投薬代は「3割負担」です(※6)。
また1か月間に一定額を超える医療費がかかった場合、高額療養費の制度も利用できます。
ただし、切迫早産による平均在院日数は「約35日」といわれるため、多額の費用がかかる可能性も(※7)。
切迫早産で入院することになった際は、事前に医療機関で費用の確認をしておくと安心です。
(※6)出典:共立女子大学・共立女子短期大学「出産費用は想像よりかからないって、ほんと!?」
(※7)出典:独立行政法人 国立病院機構 佐賀病院「令和2年度病院情報」
【経験談】切迫早産で入院

私自身、第一子が妊娠7か月の時に切迫早産を経験し入院しました。
数日腰痛が続いていただけで、とくに体調に変化がなかったので横になったりしながら様子をみていましたが、入院となった当日は39℃の発熱と嘔吐、どうにもできない背中の痛みで病院を受診しました。
通院していたクリニックは個人病院だったため、一応連絡しましたが「個人病院では処置ができないかもしれないので、今から総合病院へ行ってください」と教えていただき即総合病院へ。
なかなか順番にならず4時間待ちましたが、途中で熱も下がり吐き気も落ち着き普通に歩けるようになったので「もうこのまま帰ってもいいかな?だだの食あたりだったかな?」と思っていました。
ようやく診察になり症状が改善していることも伝えましたが一応NST(胎児心拍数モニタリング)をすることになりました。
この時は10分ほどで終わり先生から「お腹張ってるのわかるかな?切迫早産で陣痛に似た痛みや収縮が始まってるから今から入院ね」と言われ「え?陣痛?始まってるの?いま生まれたら生きられないよね?もっと早く病院に来てたら大丈夫だったの?」と一瞬でパニックに。
私の場合は7か月で、赤ちゃんがまだ小さかったからかまったくお腹の痛みは感じませんでした。
切迫早産での入院に関するQ&A
ここでは切迫早産での入院について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。
病院によって内容は異なりますが、以下のようなことが制限されることがあります。
・長時間の歩行や立ち仕事
・入浴(シャワーのみに制限されることも)
・外出や面会の制限
・性交渉
「動いてはいけない」と言われると不安になりますが、赤ちゃんを守るために必要な休養と考えて、体をゆっくり休めてくださいね。
薬や安静で子宮の状態が安定して、医師が「大丈夫」と判断すれば退院できます。
無理に早く退院するよりも、赤ちゃんが安全に育つ環境を整えることが一番大切です。
長い入院生活は不安や退屈を感じやすいですが、病院では赤ちゃんの状態をしっかり見守ってくれるので安心してください。
面会やリモートで家族と気持ちをつなぐ工夫をすると、前向きに過ごしやすくなりますよ。
まとめ
出産時の入院は必ず考えなければいけないと思いますが、予期せぬ入院になったときのためにも妊娠中期頃から家族と話し合っておくことをおすすめします。
すでに子どもがいる場合は、預け先や送迎方法、家族の食事や行事等の確認、入院からそのまま出産になってしまった時の新生児の準備等も必要になる場合もあるでしょう。
お腹の赤ちゃんのためにもゆっくりと体を休め、切迫早産の期間を乗り越えて下さいね。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。
高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ
総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所
研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。
研究所
無料パンフレットをお送りします!
さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。
この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー
