後陣痛はいつまでつづく?やわらげる3つの方法やどのような痛みなのかを解説

記事監修者:助産師 坂田陽子 先生
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー

「出産後にも陣痛がある」と聞いたことはありませんか。
妊娠中の人には耳の痛い話ですが、出産後には「後陣痛」と呼ばれる陣痛のような痛みが起こります。
出産後の赤ちゃんへ授乳すると、母親の体に「オキシトシン」というホルモンが分泌されることが主な原因です。
この記事では主に、以下のような内容を解説していきます。
・後陣痛とはどのような痛みなのか
・後陣痛をやわらげる3つの方法
・後陣痛が治まる時期やピーク期
この記事を読むと後陣痛への恐怖がやわらぎ、安心して出産後の生活を送れるようになりますよ。
後陣痛とは【出産後の陣痛】
後陣痛とは、出産後の子宮収縮による痛みで、出産直後から産後数日間継続します。
陣痛のような痛みを伴うことから、「後陣痛」と呼ばれます。
後陣痛は、大きくなった子宮を収縮させて、出産後に元の大きさに戻そうとする役割があります。
授乳中に出るオキシトシンというホルモンが子宮収縮を促すため、授乳中は後陣痛がより強くなるのです。
実際に私も赤ちゃんに授乳ができる喜びと、どうすることもできないお腹の痛みを抱え、複雑な心境で授乳をしていたのを覚えています。
出産したのも束の間、母親はもう一つの陣痛を乗り越えなればならないのです。
後陣痛はどのような痛みなのか?【個人差あり】
後陣痛の感じ方は、個人差があり、
・生理痛のような痛み
・本陣痛のような痛み
・本陣痛以上の痛み
を感じる人もいます。
また、経産婦さんの場合は、初産婦さんより子宮収縮のスピードが速いため、後陣痛の痛みが強くなる傾向にあるといわれています。
【必見】後陣痛をやわらげる3つの方法
出産直後は、赤ちゃんの授乳などで、夜間もゆっくり眠れなかったりと、体が少しでも休まるときが欲しいものです。
そこで、後陣痛をやわらげる3つのおすすめ方法をご紹介します。
・お腹周りを温める
・マッサージする
・リラックスする時間をつくる
方法1:お腹周りを温める
お腹周りを冷やさないようにして、温かいシャワーや湯たんぽ、カイロなどで温めると子宮周辺の血行が良くなり、痛みがやわらぐことがあります。
下着を温かい素材のものに変えたり、腹巻などをすれば、更に効果を期待できます。
とくに就寝時には、湯たんぽをお腹の近くに置くと、夜間の痛みを緩和できるため効果的です。
また産後健診で問題がないと判断された場合は、湯船にゆっくり浸かると全身を温められ、リラックス効果も得られます。
冷たい飲み物や食べ物は体を冷やしてしまうため、白湯を飲んだり、体を温める食材の摂取も有効です。
ただし過度に身体を温めると子宮収縮が弱まり、産後の出血が増える可能性があるため、適度な温め方を心がけましょう。
方法2:マッサージ
痛みを感じる部分をマッサージすることで、痛みがやわらぐ場合もあります。
ただし、強くマッサージしすぎると、痛みが増長されてしまいますので、適度な圧力でのマッサージをおすすめします。
楽な姿勢で深呼吸しながら、優しくマッサージしましょう。
好みの香りつきのマッサージオイルなどを使用すれば、リラックス効果も期待できます。
方法3:リラックスできる環境をつくる
リラックスすることを心がけると、自然に痛みも紛れることもあります。
好きな音楽を聴いたり、アロマの香りを楽しんでリラックスできる環境を整えることも効果的な対策です。
産後は赤ちゃんのお世話で気が張りがちですが、短い時間でも自分の好きなこと・趣味にかける時間をつくれば、痛みから気をそらせます。
深呼吸をしながらゆっくりと体の力を抜くことも、痛みの軽減に役立つでしょう。
産後はなかなか自分の時間がとりづらいものですが、短時間でもリラックスできる時間をつくってみましょう。
後陣痛はいつまでつづく?【ピーク=産後3日間】
後陣痛の痛みは個人差がありますが、出産当日〜3日後までがピークといわれています(※1)。
ピークを過ぎると痛みは次第に治まってきます。
産後6~8週間ほどは、不規則に痛みを感じることがあります(※2)。
(※1)出典:学校法人聖マリアンナ医科大学「患者用パスについて」
(※2)出典:川崎医科大学附属病院「退院後の生活について」R4.5.2 作成
後陣痛は帝王切開をした場合でも起こるのか?
帝王切開で出産した場合でも、通常の出産時同様に、子宮を元に戻そうと収縮が始まるため、後陣痛は起こります。
また帝王切開の場合は、傷口の痛みが麻酔が切れると現れてくるでしょう。
帝王切開の場合には、後陣痛の痛みと、傷の痛みと2種類の痛みがあることになります。
後陣痛とあわせて注意したい症状
後陣痛とあわせて以下のような症状がある場合は、早急に病院で受診してください。
・38度以上の発熱
・乳房の強い痛み
順番に解説していきます。
症状1:38度以上の発熱
38℃以上の熱が、出産後24時間〜10日以内に、2日以上つづく状態は「産褥熱」と呼ばれています。
産褥熱は出産時に生じた傷口から細菌が侵入し、子宮内に感染が広がり炎症を起こして生じます。
放置すると感染が広がり、最悪の場合は命にかかわる「敗血症」に至る恐れもあるため、早期治療が重要です。
産褥熱を引き起こすおもな要因としては、
・糖尿病などの免疫力低下
・性感染症の合併
・子宮筋腫の存在
・破水から分娩までの時間が長い場合
・産科手術
などがあげられます。
発熱とともに下腹部痛や悪露(出産後の子宮からの出血)の異常な臭いがみられたら、すぐに医療機関を受診しましょう。
早期発見・治療により、重症化を防げます。
出典:株式会社杏林舎|日本産婦人科学会雑誌「産科感染症の管理と治療」60巻 6号 2008年 6 月
症状2:乳房の強い痛み
産後に、
・乳房の一部に強い痛み
・赤みや腫れ
・熱感
・リンパ節の痛み
がある場合は「化膿性乳腺炎」の可能性があります。
化膿性乳腺炎は、おもに授乳中の母体に発症する乳房の細菌感染症で、乳頭の小さな傷から黄色ブドウ球菌などの細菌が侵入して発症します。
放置すると数日で膿がたまる「膿瘍」に発展する恐れがあるため、早めの対応が大切です。
治療は抗生物質の服用が基本となりますが、膿瘍ができてしまった場合は切開して膿を出す処置が必要になる場合もあります。
予防には、
・授乳前の手洗い
・乳頭の清潔保持
が効果的です。
出典:株式会社杏林舎|日本産婦人科学会雑誌「産科感染症の管理と治療」60巻 6号 2008年 6 月
後陣痛に痛み止めを使用してもよいのか?
妊娠中とは違い、痛み止めを使用しても赤ちゃんに影響がないため、後陣痛の痛みが強いときは、内服や座薬などの鎮痛剤を使用して痛みをやわらげることができます。
痛みが辛い場合や強い場合は、我慢せず服用しましょう。
だだし、自己判断で市販薬を服用することは避けましょう。
後陣痛に関するQ&A
ここでは後陣痛について、よくある3つの質問をまとめました。
順番に見ていきましょう。


しかしながら、子宮収縮が弱いために痛みを感じない場合もあります。
悪露の量が急に増える、レバーのかたまりのような出血がある、さらさらした赤い出血がある、悪露ににおいがある、といった場合には、子宮の回復に異常が起きている可能性があります。
そのようなときはすぐに医師へご相談ください。

理由としては、妊娠中に大きくなった子宮が周囲の神経を圧迫することや、骨盤の傾きなどによるものと考えられます。

まとめ
出産後も痛みがあると思うと、気が重くなりますよね。
しかし、ご紹介した方法で、後陣痛の痛みがやわらぐ可能性があります。
・お腹周りを温める
・マッサージする
・リラックスする時間をつくる
後陣痛は、赤ちゃんを育んでくれた子宮が自然に元の体に戻ろうと頑張っている証拠です。
痛みが強い場合は我慢せず、医療機関に相談し、鎮痛剤を処方してもらうことも可能です。
産後は赤ちゃんのお世話に追われがちですが、自身の体も大切にしながら過ごしましょう。
赤ちゃんの未来に備える「さい帯・さい帯血保管」を考えてみませんか?
赤ちゃんとお母さんをつなぐ、「へその緒(さい帯)」と、その中を流れる血液「さい帯血」には、体を作るためのもととなる貴重な「幹細胞」が多く含まれていて、赤ちゃんやご家族の将来に備えて長期的に凍結保管することができます。
幹細胞は新しい医療への活用が進められており、もしもの時に役立てられる可能性があります。
- 出産後わずか数分の間にしか採取できない貴重な赤ちゃんのものです。
- 採取の際、お母さんと赤ちゃんに痛みや危険はありません。
- どちらにも幹細胞がたくさん含まれています。
- 再生医療分野など、さまざまな活用が進んでいます。
- それぞれ異なる幹細胞が含まれているため、両方を保管しておくことで将来の利用の選択肢が広がります。
実際に保管・利用した方のお声
出産時にしか採取できない「さい帯血」を、脳性まひのお子さまに対して臨床研究で使用された方のお声をご紹介します。

高知大学の臨床研究で
さい帯血投与を受けたお子さま
さい帯血を保管して
本当に良かったと思っています
元気に産まれたと思っていましたが、生後半年頃から左手をほとんど使おうとしないことに気付き、1歳頃にやはり何かおかしいと思ってMRIを撮ってもらうことにしました。結果1歳5ヶ月で脳性まひとわかりました。
2歳の誕生日にステムセルからハガキが届き、出産時に保管したさい帯血がもしや役に立つのではと思い至りステムセルに問い合わせました。ちょうど臨床試験への参加者を募集していて、運よく2歳5ヶ月のときに参加することができました。
輸血前は左手と左足に麻痺があり、歩けてはいるものの、とても転びやすく、少し歩いては転びを繰り返していました。しかし輸血後、翌日には転ぶ回数が減り、おもちゃを両手で掴めるようになって驚きました。その後もリハビリも継続し、完治したわけではありませんがかなり麻痺が軽くなったように思います。
現在、地域の小学校の普通級に集団登校で通えています。
まさか我が子がさい帯血を使って治療をすることになるとは思っていませんでしたが、保険のつもりでさい帯血を保管しておいて本当に良かったと思います。
さい帯・さい帯血を利用した再生医療の研究が、今まさに国内外で進んでいます。
その他のお声は公式サイトからご覧いただけます。
医師からのメッセージ

総合母子保健センター
愛育病院 病院長
百枝幹雄 先生
応用範囲が広がる
「さい帯・さい帯血」による再生医療
近年、めざましく進歩している再生医療のなかで、さい帯やさい帯血の幹細胞を利用する技術の最大の特徴は、通常は破棄してしまうけれども実はとてもポテンシャルの高い出生時の幹細胞を活用するという点です。
これまで有効性が示されている白血病、脳性まひ、自閉症のほかにも様々な疾患に対して臨床研究が進んでいますし、民間のバンクではご家族への利用も可能になりつつありますので、今後はますます応用範囲が広がることが期待されます。
一方、忘れてはならないのは必要になるまで幹細胞を長期間安全に保管するには信頼できる設備と技術が必要だということで、それにはそれなりのコストがかかります。
コスト・ベネフィットのとらえ方は人それぞれですが、お子様とご家族の将来を見据えてベネフィットが大きいとお考えの方には、信頼できる施設へのさい帯やさい帯血の保管は十分価値のある選択肢だと思います。
さい帯・さい帯血についてより詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
保管するなら、ステムセル研究所の「HOPECELL(ホープセル)」
株式会社ステムセル研究所が提供する「さい帯・さい帯血ファミリーバンクHOPECELL(ホープセル)」は、日本国内で最も選ばれている保管サービスです。
ステムセル研究所は、25年以上の保管・運営実績がある日本初のさい帯血バンクで、国内最多となる累計80,000名以上のさい帯血を保管しています。

研究所

研究所
国内では脳性まひに対する、赤ちゃんご自身やごきょうだいのさい帯血投与の研究が行われています。海外の臨床研究では、投与により運動機能および脳神経回路の改善が報告されています。また自閉症スペクトラム障害(ASD)に対して、さい帯血の投与によりコミュニケーション能力や社会への順応性が向上する可能性が期待されており、大阪公立大学にてお子さまご自身のさい帯血を投与する臨床研究が開始されます。

研究所
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さい帯・さい帯血保管についてより詳しく知っていただけるパンフレットをご自宅へお送りします。
赤ちゃんの将来に備える「さい帯・さい帯血保管」をぜひ妊娠中にご検討ください。

この記事の監修者
助産師 坂田陽子 先生
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー