痛みや吐き気を伴うこともある陣痛。不安な気持ちをお持ちのプレママさんも多いのではないでしょうか。
心配な気持ちが和らぎますよう、お産の流れを紹介しながら、ステージごとにパパやご家族ができるサポートについても考えてみたいと思います。ご案内役は、現在10歳、5歳の2児を子育て中のママ(私)です。
お産の基本的サイン
・前駆陣痛、陣痛
陣痛のような痛みがきたものの、間隔が不規則だったり、痛みが遠のく場合は、陣痛の予行演習ともいえる前駆陣痛です。生理痛のような痛みに感じる人も多く、もうすぐお産が近づいている、お産の気配、兆候と捉えて良いかと思います。
本格的な陣痛は、痛みが始まった瞬間から、痛みが治まり、次の痛みが始まるまでの時間が10分間隔(痛みの長さはだいたい40~60秒程度)といわれています。
前駆陣痛か、陣痛か、判断が困難な場合もあります。
私も、初産の時はそうでしたが、その際は迷わず産院へ連絡をとりましょう!
・おしるし、破水
おしるし・・・茶色やピンクの粘液状のおりもので、子宮収縮によって卵膜と子宮壁がこすれておこる少量の出血
破水・・・赤ちゃんを包んでいる卵膜が破れて中の羊水が外へ流れ出ること(細菌感染の恐れがあるので、入浴、シャワー等は避けます)
陣痛、おしるし、破水、いずれのお産のサインがあっても、リラックスして慌てずに行動し、ママが直接産院へ電話をかけてください。そして、入院のため、外出の準備に入ってください。
・この時にパパや家族ができるサポート
①陣痛の間隔をメモ、または陣痛アプリを起動させる
②産院までの移動手段の準備(車移動、タクシーの手配など)
③産院へ持っていく荷物の準備(入院セット、さい帯血を採取される場合は保冷バッグ等)
④ご実家へ連絡
⑤上のお子様がいらっしゃる方は、ママの様子を見て不安にならないよう「もうすぐ赤ちゃんと会えるよ」と伝えましょう。上のお子様用のお出かけの用意をしましょう。
お産が始まったら(分娩第1期)
・陣痛
陣痛は、最初は10分間隔ですが、だんだん間隔が短くなり、子宮口が全開になる頃には、1~2分間隔になります。
お産にかかる時間は、初産ならば陣痛が始まってから子宮口全開大までが、10~12時間、さらに分娩室に入ってから出産まで2~3時間といわれています。経産婦さんの場合は、4~5時間で子宮口全開大になり、さらに分娩室に入って約1時間で出産といわれています。
では、この間の陣痛中はずっと痛いの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、陣痛は一定の間隔で規則的に訪れるもので、陣痛と陣痛の間には痛みはありません。
この痛みのない間を、上手く利用して、次の陣痛へ備える、この繰り返しになります。
・吐き気を伴うことも
また、陣痛が起こるタイミングで吐き気を感じることがあります。
私も、陣痛の最中に吐き気を感じ、実際吐いてしまったこともあります。吐くというこに自分自身驚きましたが、疲労や体力消耗によっても引き起こされることがあるようです。
・この時にパパや家族ができるサポート
①腰をさする、マッサージをする、痛みのあるところを押す
②手を握る
③一緒に呼吸法を実践する
④陣痛中は暑いと感じることも多いため、うちわで扇ぐ
⑤水分を補給できるよう、飲み物を準備する
⑥軽食の準備を(場合によっては買い出しに)
⑦上のお子様がいらっしゃる場合は、本やおもちゃなどを持ち込んで、時間が過ごせるようにする
⑧痛みを和らげたり、サポートしたり、その場で臨機応変に対応する
いよいよ赤ちゃん誕生(分娩第2期~3期)
赤ちゃんは、回転しながら、ママの産道を下りてきて、子宮口が2~3cmになる頃には、お母さんの骨盤の形に合わせて、赤ちゃんが斜め横を向きながら、少しずつ骨盤内に入り始めます。子宮口が全開になる頃には、お母さんの背に顔を向けたまま顔を出し、さらに体をひねりながら横向きになって肩を出します。
子宮口全開、陣痛1~2分間隔になったら、赤ちゃんやママの骨盤にストレスがかからないようにいきみを逃します。
ママは、助産師さんからの合図があったら、陣痛の波に合わせて、いきみ始めます。
陣痛は、この時もっとも激しく感じますが、強くなっても合間がありますので、痛みの波が去ったポイントで深呼吸をしましょう。
助産師さんのアドバイス、リードに身を任せるつもりで、赤ちゃんに会えるまで、もう一息の時です。
・この時にパパや家族ができるサポート
①いきむときは、一人で向き合いたいというママもいますし、さすってもらいたい、という方もいますので、引き続き、臨機応変な対応を
②汗を拭く
③水分補給を手伝う
④本当にもうすぐ会えるよ!と応援を!
⑤赤ちゃんに会えるタイミングで写真やビデオを撮りたい方は、ご準備を!
立ち会い出産の際は、このようなサポートが可能かと思いますが、コロナのご時世では、なかなか入室が難しい場合も出てきているかと思います。例え離れていた場所にいたとしても、パパの応援や願いは、ママや赤ちゃんに何ものにも代え難いエールとして、届くはずです。パパも頑張ってください!
さいごに
陣痛とのお付き合いは、痛み、吐き気を伴ったり、ママにとって、お産の最大の山場といえると思います。
また、パパにとっても、とにかく最大級の臨機応変な対応が求められる局面です。陣痛の際に、どのようなことをすればママが楽になるかは、その時の状況を見て個々に考える必要があるからです。
赤ちゃんも、ママのおなかの中で、回転したり、骨盤の中を通ったり、大変頑張って、ママとパパのところに向かってきてくれます。本当に愛しいことです。
ママ、パパ、赤ちゃん、みんなそれぞれ、頑張る時間であると思いますが、赤ちゃんに会えた時の幸福感がすべての汗を流していきます!!
どうぞ良い出産の時をお迎えください。スタッフ一同応援しております。
この記事の監修者
坂田陽子
経歴
葛飾赤十字産院、愛育病院、聖母病院でNICU(新生児集中治療室)や産婦人科に勤務し、延べ3000人以上の母児のケアを行う。
その後、都内の産婦人科病院や広尾にある愛育クリニックインターナショナルユニットで師長を経験。クリニックから委託され、大使館をはじめ、たくさんのご自宅に伺い授乳相談・育児相談を行う。
日本赤十字武蔵野短期大学(現 日本赤十字看護大学)
母子保健研修センター助産師学校 卒業
資格
助産師/看護師/国際認定ラクテーションコンサルタント/ピーターウォーカー認定ベビーマッサージ講師/オーソモレキュラー(分子整合栄養学)栄養カウンセラー